たらこ

こーちゅけ

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明日に

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崖の絶壁で佇んでいたあの子に声をかけた

君はどこから来たの?

あぁ…僕はあそこからはるばる来たんだ、と彼は傷だらけでかさかさの棒っきれみたいな指を隠すようにさした。

ぼくは少し雲の掛かったずっと下を見下ろす。まだぼくと変わらない歳だろうに、いや少し上の気もする。

へぇあんなところから君はやってきたんだね!でもそんな傷だらけになってまでのぼるなんて無茶苦茶だよ!あそこにロープウェイがあるじゃないか!なんでつかわなかったんだい??

彼はなんだか躊躇い苦笑いをするようにごもごもと、

僕は頑張ってやっと君と同じ場所にこれたんだ…君とは…違うんだ…いや、ごめん大丈夫…!

彼がぼくに何を言いたいのか全くわからない。

どうゆうこと??

そしたら彼は怒るように、

…だから!僕は…!いやいいや…

なんだい?言いたいことあるなら言えばいいじゃないか!ぼくたちもう友達なんだから!

ぼくは彼が「可哀想」に思って不安にならないよう満面の笑顔で「もう友達」だと伝えた。

彼は食い縛った歯の隙間から溜飲を下げ一息つくと諭すように話し始める。

僕は君とは違うよね?だから当然生きてきた道も違うはずだ。僕がこの山の、君のところまでやって来るのにずっと長い時間かかった。何もかも足りない中で登り始めたんだ。身体だって気持ちだってさんざん痛め付けてここまでやって来た。でも君にここで会って分かったんだ。僕はもう限界なんだってことを。君と僕の違い、君には分かるかな…?

漏れた吐息のような問いかけのあと力が抜けたように倒れてしまった。

大丈夫かい!?

ぼくの心配もよそに話し始めた。

君と僕の違いは、スタートラインの差なんだぁ。ぽろぽろ溢れる涙、唇が割けるほど強く食い縛った歯。彼は悔しくて悔しくて悔しくて堪らない中でそのまま静かに息を引き取ってしまった。



その夜、ぼくは家に帰って両親と夕食を囲いながら今日の出来事を話した。

あら、そうなの!

と、にこにこ話を聞いてくた。両親は優しいし大好きなんだ!大きいわんちゃんだっているよ!そしてね、誕生日にはぼくが欲しかったプレゼントだってくれる!それでね、いろんなところにもつれていってくるんだ。学校だっていいところに通ってるの!ぼくってすごいよね!あれ?でも彼の言っていた

「スタートラインの差」

ってなんなんだろ…?    
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