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第7章 砂漠のエルフ(下)
第110話 三重の防壁
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「私はアンモスといいます。ご一緒してもよろしいですか?」
オレたちが一番外側の城壁をチェックしていると、エルフの戦士が話しかけてきた。
「キミは確かレイモンさんと一緒にいた人だね?」
ゲネオスがすぐに気付いてそう言った。この城に来て最初に出会った3人の戦士の中の一人だ。
「はい、そうです。私はこの第一防壁の守りを言い渡されました」
「へー、ここは第一防壁というのか」
「はい、第二防壁、第三防壁と続きます。あとは単に館と塔と呼んでいます」
「呼び名を統一しておくのは重要だ。ありがとう」
アンモスは少なくとも見かけは非常に若く見える。
「城の構造を確認されているのですか? でしたら私がご案内しましょう」
オレたちはあらためて第一防壁の確認をした。
ここは崖に沿って建てられている城壁だ。崖自体は内側に凹んだカーブを描いており、城壁も必然的にU字型になっていた。
城壁の端にはそれぞれ櫓が置かれていて、櫓の後ろは急峻な斜面になっている。その斜面はパランクスの城塞全体を取り囲んでおり、城後方に高く聳え立つ険しい山々に繫がっていた。
「城壁の端に立つと、城壁が内側に凹んだ部分を外から覗き込むことができるんです。つまりここなら城壁を登ろうとしているモンスターの様子が見えます」
「なるほど。うーん、登ってきたモンスターと直接やり合うなら、もっと内側に陣取ったの方が良いんだけど。ここは弓兵を配置した方がよさそうだね」
第一防壁と第二防壁の間には2本の渡り歩廊がある。渡り歩廊は通常の歩廊と概ね同じ作りだが、途中で人がすれ違えないほど狭くなっているところがあり、強力な戦士を配置することで少人数の戦力でも守り切ることができるようになっていた。
「戦況次第ではここまで防衛線を下げることも考えよう。オレとゲネオスで1本ずつ守るんだ」
ゲネオスもオレの考えに同意した。
第二防壁の櫓はその渡り歩廊と渡り歩廊の内側に位置していた。櫓の下はゲートの様になっていて、ここをくぐり抜けないと第二防壁上の歩廊を行き来できない。第二防壁と第三防壁の間の渡り歩廊は1本だけで、第二防壁の二つの櫓の間にある。
つまり第一防壁から城の中心部まで攻め込もうとしたら、渡り歩廊を通り、櫓を一つくぐり、また一つ渡り歩廊を通る必要があった。
「第一防壁の櫓は防衛線を下げたとしてもその役割を失いません」
アンモスが第三防壁までオレたちを案内した後、振り返って第一防壁の櫓を指差した。
「あの櫓は背後が険しい山なので、周囲に味方がいなくても守り切ることができます。敵の中に浮かぶ孤島となっても、背後から敵を攻撃し、城中心部の仲間を援護することができるのです」
「なるほど……」
「けど孤立した櫓自体には援護がないから、かなり辛いのでは?」
ゲネオスがアンモスに尋ねた。
「はい、もし櫓に残るとしたら、相当の腕前の者が死ぬ覚悟でやらねばなりません。ただ全く援護が望めないわけではありません。あれを見てください」
アンモスが指を指している方向をよく見ると、櫓と櫓の間の空中に何やら細い線のようなものが見えた。
「見えましたか? あれは金属の線を細く束ねたロープです。あそこに滑車を吊るして櫓から櫓へ行き来することができます。ただ魔法を推進力に変えねばなりませんので、魔法使いか、我々のような魔法戦士でないと使えませんが」
アンモスがすまなさそうにオレを見た。魔法が使えないことについて言われるのは慣れていたので、オレはどうとも思わなかったが。
オレたちが一番外側の城壁をチェックしていると、エルフの戦士が話しかけてきた。
「キミは確かレイモンさんと一緒にいた人だね?」
ゲネオスがすぐに気付いてそう言った。この城に来て最初に出会った3人の戦士の中の一人だ。
「はい、そうです。私はこの第一防壁の守りを言い渡されました」
「へー、ここは第一防壁というのか」
「はい、第二防壁、第三防壁と続きます。あとは単に館と塔と呼んでいます」
「呼び名を統一しておくのは重要だ。ありがとう」
アンモスは少なくとも見かけは非常に若く見える。
「城の構造を確認されているのですか? でしたら私がご案内しましょう」
オレたちはあらためて第一防壁の確認をした。
ここは崖に沿って建てられている城壁だ。崖自体は内側に凹んだカーブを描いており、城壁も必然的にU字型になっていた。
城壁の端にはそれぞれ櫓が置かれていて、櫓の後ろは急峻な斜面になっている。その斜面はパランクスの城塞全体を取り囲んでおり、城後方に高く聳え立つ険しい山々に繫がっていた。
「城壁の端に立つと、城壁が内側に凹んだ部分を外から覗き込むことができるんです。つまりここなら城壁を登ろうとしているモンスターの様子が見えます」
「なるほど。うーん、登ってきたモンスターと直接やり合うなら、もっと内側に陣取ったの方が良いんだけど。ここは弓兵を配置した方がよさそうだね」
第一防壁と第二防壁の間には2本の渡り歩廊がある。渡り歩廊は通常の歩廊と概ね同じ作りだが、途中で人がすれ違えないほど狭くなっているところがあり、強力な戦士を配置することで少人数の戦力でも守り切ることができるようになっていた。
「戦況次第ではここまで防衛線を下げることも考えよう。オレとゲネオスで1本ずつ守るんだ」
ゲネオスもオレの考えに同意した。
第二防壁の櫓はその渡り歩廊と渡り歩廊の内側に位置していた。櫓の下はゲートの様になっていて、ここをくぐり抜けないと第二防壁上の歩廊を行き来できない。第二防壁と第三防壁の間の渡り歩廊は1本だけで、第二防壁の二つの櫓の間にある。
つまり第一防壁から城の中心部まで攻め込もうとしたら、渡り歩廊を通り、櫓を一つくぐり、また一つ渡り歩廊を通る必要があった。
「第一防壁の櫓は防衛線を下げたとしてもその役割を失いません」
アンモスが第三防壁までオレたちを案内した後、振り返って第一防壁の櫓を指差した。
「あの櫓は背後が険しい山なので、周囲に味方がいなくても守り切ることができます。敵の中に浮かぶ孤島となっても、背後から敵を攻撃し、城中心部の仲間を援護することができるのです」
「なるほど……」
「けど孤立した櫓自体には援護がないから、かなり辛いのでは?」
ゲネオスがアンモスに尋ねた。
「はい、もし櫓に残るとしたら、相当の腕前の者が死ぬ覚悟でやらねばなりません。ただ全く援護が望めないわけではありません。あれを見てください」
アンモスが指を指している方向をよく見ると、櫓と櫓の間の空中に何やら細い線のようなものが見えた。
「見えましたか? あれは金属の線を細く束ねたロープです。あそこに滑車を吊るして櫓から櫓へ行き来することができます。ただ魔法を推進力に変えねばなりませんので、魔法使いか、我々のような魔法戦士でないと使えませんが」
アンモスがすまなさそうにオレを見た。魔法が使えないことについて言われるのは慣れていたので、オレはどうとも思わなかったが。
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