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第7章 砂漠のエルフ(下)
第116話 第一防壁の攻防
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「アンモス、西の櫓に行って、城壁の外側に張り付いたモンスターを攻撃するよう伝えてくれ」
オレは大声でアンモスに声を掛けた。
「城壁の外側!?」
アンモスはオレの言葉の意味が分からず問い返してきた。
「東の城壁だ! 櫓の兵士なら見えるはずだ! とにかく行ってくれ!」
「分かった。サルダドは?」
「オレはゲネオスと東の櫓に戻る。こちらは任せたぞ」
オレとゲネオスは西側の乱戦地帯から離脱し、第一城壁の東側へと再び走った。
東の城壁に戻る頃には、続々とモンスターがサソリ梯子を使って城壁に侵入してきていた。
城壁の外側には、東西の櫓から間断なく矢が射かけられている。
しかしジャイアント・スコーピオンの固い装甲は矢を全てはじき返していた。
サソリ梯子をよじ登ってくるモンスターたちは流れ矢を浴びてバラバラと元の地上に落下していったが、その程度の犠牲は全く気にしておらぬかのように、次から次へとモンスターが登ってきた。
サソリ梯子にはファイアー・ボールも撃ち込まれたが、その付近のサソリが黒く焼け焦げるだけで、大蠍同士の結束がほどける様子はなかった。
はなから大蠍自体の生死は無視されていて、単なる攻城用の兵器としての意義のみ課せられているかのようだった。
東の櫓の手前の歩廊はやがて乱戦になり、オレもゲネオスもそれぞれ目の前のモンスターとの戦闘で手一杯となってしまった。
打ち上げられてくるモンスターより、自力で登ってくるモンスターの方が断然数が多い。
味方の中には負傷する者が出始め、そのたびにパマーダのいる櫓の中に運び込まれた。
「今はまだやれる。けどこれから厳しくなるぞ」
味方の戦士は、櫓のある方向と第二防壁に繫がる歩廊のある方向に、徐々にではあるが分断されつつあった。
やがてアンモスたちエルフの戦士がこちらに加勢に来てくれた。
「アンモス、そちらは大丈夫なのか!?」
「ええ、先ほどからモンスターが全然上がってこなくなりました」
味方は加勢を得て再び一つにまとまり、サソリ梯子の方向へモンスターを押し返し始めた。
しかしこのときオレは戦況の変化に気付くべきだった。
サソリ梯子のすぐ近くまで来たとき、奴が姿を現したのだ。
「オーガーだ……」
それは間違いなく、先日オレたちがお届けしたオーガーだった。
サソリ梯子が完成したことで、モンスター打ち上げ係の役を解かれ、オーガー自身も戦線に投入されることになったのだろう。
人間よりも重いモンスターを投石機で崖の下から打ち上げるほどの筋力を持つモンスターである。
「こいつは今までのようにはいかないぞ」
オレはミョルニルを強く握り締めた。
丁度そのとき、オレは城壁を登ってきたばかりのオーガーと正対する形になった。
次の瞬間、オレの体は城壁の外に放り出され、モンスター・キャンプに向けて落下している最中だった。
オレは大声でアンモスに声を掛けた。
「城壁の外側!?」
アンモスはオレの言葉の意味が分からず問い返してきた。
「東の城壁だ! 櫓の兵士なら見えるはずだ! とにかく行ってくれ!」
「分かった。サルダドは?」
「オレはゲネオスと東の櫓に戻る。こちらは任せたぞ」
オレとゲネオスは西側の乱戦地帯から離脱し、第一城壁の東側へと再び走った。
東の城壁に戻る頃には、続々とモンスターがサソリ梯子を使って城壁に侵入してきていた。
城壁の外側には、東西の櫓から間断なく矢が射かけられている。
しかしジャイアント・スコーピオンの固い装甲は矢を全てはじき返していた。
サソリ梯子をよじ登ってくるモンスターたちは流れ矢を浴びてバラバラと元の地上に落下していったが、その程度の犠牲は全く気にしておらぬかのように、次から次へとモンスターが登ってきた。
サソリ梯子にはファイアー・ボールも撃ち込まれたが、その付近のサソリが黒く焼け焦げるだけで、大蠍同士の結束がほどける様子はなかった。
はなから大蠍自体の生死は無視されていて、単なる攻城用の兵器としての意義のみ課せられているかのようだった。
東の櫓の手前の歩廊はやがて乱戦になり、オレもゲネオスもそれぞれ目の前のモンスターとの戦闘で手一杯となってしまった。
打ち上げられてくるモンスターより、自力で登ってくるモンスターの方が断然数が多い。
味方の中には負傷する者が出始め、そのたびにパマーダのいる櫓の中に運び込まれた。
「今はまだやれる。けどこれから厳しくなるぞ」
味方の戦士は、櫓のある方向と第二防壁に繫がる歩廊のある方向に、徐々にではあるが分断されつつあった。
やがてアンモスたちエルフの戦士がこちらに加勢に来てくれた。
「アンモス、そちらは大丈夫なのか!?」
「ええ、先ほどからモンスターが全然上がってこなくなりました」
味方は加勢を得て再び一つにまとまり、サソリ梯子の方向へモンスターを押し返し始めた。
しかしこのときオレは戦況の変化に気付くべきだった。
サソリ梯子のすぐ近くまで来たとき、奴が姿を現したのだ。
「オーガーだ……」
それは間違いなく、先日オレたちがお届けしたオーガーだった。
サソリ梯子が完成したことで、モンスター打ち上げ係の役を解かれ、オーガー自身も戦線に投入されることになったのだろう。
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「こいつは今までのようにはいかないぞ」
オレはミョルニルを強く握り締めた。
丁度そのとき、オレは城壁を登ってきたばかりのオーガーと正対する形になった。
次の瞬間、オレの体は城壁の外に放り出され、モンスター・キャンプに向けて落下している最中だった。
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