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第10章 ノトス海戦
第180話 陸を走る船
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さらに数日が経った。城壁の前にはもう通り一つ分しか防衛線を敷くことができない状況だった。
時は夕暮れ。もう間もなく日が落ちるという時間帯だった。暗くはないが、この時間はなんとなく物がかすんで見える。
この頃には敵は夜間攻撃を仕掛けてくることもあったため、それほど交代要員に余裕があるわけではないオレたちは、日に日に消耗していくのを感じていた。
オレとゲネオスは並んで通りを歩き、バリケードの出来映えを確認していた。
「ジリ貧だな」
オレはつぶやいた。
「そうだね……勝つためには起死回生の決定打が必要か」
ゲネオスが答えた。
「パランクスのときのように、一発落としてやったらどうだ?」
オレがニヤリと笑うと、
「あんな偶然《クリティカル》がそんなに頻繁に起きるわけがないだろ? マナ・ストーンが割れて、それでおしまいさ」
ゲネオスは思いのほか不機嫌に言った。
「冗談だよ」
オレは少し決まりが悪くなって、無理矢理誤魔化した。
そのとき背後でドーンッという大きな音がした。すぐに振り返ると、ノトス城の背後に白煙が上がっていた。
さらに大音響が続き、同じような白煙が上がった。
「何だあれは!!」
ノトス城の背後の丘に、何隻もの船があった。その船が次々に丘を駆け下ってノトス城に突っ込んでいたのだ。
「船が山を登って!? え? どういうことだ?」
「戻ろう!」
ゲネオスの冷静な声に現実に引き戻され、オレたちは城に続く坂道を駆け上った。
「パマーダ! マスキロ! 大丈夫か!?」
「大丈夫よ! 早くこっちにまわって支援してあげて!」
パマーダの声に促され、オレたちは城の後部、丘側の城壁へと向かった。
そこには既にモンスターが現れ、白兵戦が始まっていた。
戦いの最前線に向かう途中、マスキロとすれ違った
「モンスターたちが船ごと持ち上げて丘の上から船を落としてきたのだ。だから大型のモンスターが主力だぞ。オーガーやトロールがいた。トロールには気をつけろ。奴の知性はオークやオーガーとは段違いだ。ワシは後ろに下がる。援護はする」
マスキロはすれ違いざまにこれだけ伝えると、さっと後方に身を隠した。
ざっと見た限り、既に丘を滑り降りてきたものも合わせて10隻ほどの船が丘の上からノトス城にかけて展開していた。
「とんでもないことを考えやがる」
おそらく昨晩のうちに入り江の外側に移動し、船ごと担いでノトス市街をぐるりと周り、丘の上にまで押し上げたのだろう。
物理的な攻撃であること、そのインパクト、船を持ち上げるほどの大型モンスターが直ちに戦いに参加できることなど、決して乱暴なだけの作戦ではない。
オレは早速トロールに対峙したが、こいつがとんでもなく強かった。
少々ダメージを与えてもすぐに回復してしまうし、あまりにも力が強いので常に痛恨の一撃をくらっているような感じだ。
時は夕暮れ。もう間もなく日が落ちるという時間帯だった。暗くはないが、この時間はなんとなく物がかすんで見える。
この頃には敵は夜間攻撃を仕掛けてくることもあったため、それほど交代要員に余裕があるわけではないオレたちは、日に日に消耗していくのを感じていた。
オレとゲネオスは並んで通りを歩き、バリケードの出来映えを確認していた。
「ジリ貧だな」
オレはつぶやいた。
「そうだね……勝つためには起死回生の決定打が必要か」
ゲネオスが答えた。
「パランクスのときのように、一発落としてやったらどうだ?」
オレがニヤリと笑うと、
「あんな偶然《クリティカル》がそんなに頻繁に起きるわけがないだろ? マナ・ストーンが割れて、それでおしまいさ」
ゲネオスは思いのほか不機嫌に言った。
「冗談だよ」
オレは少し決まりが悪くなって、無理矢理誤魔化した。
そのとき背後でドーンッという大きな音がした。すぐに振り返ると、ノトス城の背後に白煙が上がっていた。
さらに大音響が続き、同じような白煙が上がった。
「何だあれは!!」
ノトス城の背後の丘に、何隻もの船があった。その船が次々に丘を駆け下ってノトス城に突っ込んでいたのだ。
「船が山を登って!? え? どういうことだ?」
「戻ろう!」
ゲネオスの冷静な声に現実に引き戻され、オレたちは城に続く坂道を駆け上った。
「パマーダ! マスキロ! 大丈夫か!?」
「大丈夫よ! 早くこっちにまわって支援してあげて!」
パマーダの声に促され、オレたちは城の後部、丘側の城壁へと向かった。
そこには既にモンスターが現れ、白兵戦が始まっていた。
戦いの最前線に向かう途中、マスキロとすれ違った
「モンスターたちが船ごと持ち上げて丘の上から船を落としてきたのだ。だから大型のモンスターが主力だぞ。オーガーやトロールがいた。トロールには気をつけろ。奴の知性はオークやオーガーとは段違いだ。ワシは後ろに下がる。援護はする」
マスキロはすれ違いざまにこれだけ伝えると、さっと後方に身を隠した。
ざっと見た限り、既に丘を滑り降りてきたものも合わせて10隻ほどの船が丘の上からノトス城にかけて展開していた。
「とんでもないことを考えやがる」
おそらく昨晩のうちに入り江の外側に移動し、船ごと担いでノトス市街をぐるりと周り、丘の上にまで押し上げたのだろう。
物理的な攻撃であること、そのインパクト、船を持ち上げるほどの大型モンスターが直ちに戦いに参加できることなど、決して乱暴なだけの作戦ではない。
オレは早速トロールに対峙したが、こいつがとんでもなく強かった。
少々ダメージを与えてもすぐに回復してしまうし、あまりにも力が強いので常に痛恨の一撃をくらっているような感じだ。
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