俺は善人にはなれない

気衒い

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第1章 青年、異世界に降臨す

第3話 契約





――――――――――――――――――――
ティア
性別:女 種族:獣人(狼人種)年齢:16歳

Lv 5
HP        73/85
MP        23/23
ATK      67
DEF      49
AGI       92 
INT       53
LUK    100

固有スキル
獣化・限界突破・紫電・???

武技スキル
剣術:Lv.1

魔法
雷魔法:Lv.1

称号
獣神の加護・辿り着きし者・傅く者・恋する乙女
――――――――――――――――――――


俺は一言断りを入れて、目の前の少女…ティアのステータスを確認させてもらった。すると、種族が紛れもなく獣人と表示されていることや俺とそこまで歳が変わらないこと等が分かった。それ以外でいうと見たことのないスキルがちらほら見受けられる為、好奇心が抑えられない俺はそれらも細かく見ていった。

――――――――――――――――――――

獣化
HPが3割以下になった時に発動できる。一時的に全ステータスの値が1.5倍になり、嗅覚・聴覚・視覚が強化される。

限界突破
一日一回までしか使用できない。一時的に全ステータスの値を2倍にする。また、獣化との重ね掛けは可能

紫電
身体や武器に電気を纏う。AGIに補正がかかる。

???
未だ解放されていないスキル

――――――――――――――――――――

「どれも強そうなスキルばかりだな…さて、次は称号を見てみるか」

――――――――――――――――――――

獣神の加護
獣神ケルヌンノスの加護。AGIの値に補正。

辿り着きし者
自身の目的を見出し、そこへと辿り着いた者に与えられる称号。LUKの値に補正。

傅く者
仕えるべき主に巡り会った者に与えられる称号。全ステータス補正。

恋する乙女
恋する乙女。両想いになる日を夢見て、全速力。全ステータス補正

――――――――――――――――――――


「…最後のはよく分からんが、とりあえず凄いな」

「あ、あの~」

俺がステータスを確認して、ひとしきり唸っているとティアが遠慮がちに声を掛けてきた。

「ん?あぁ、すまん。つい考えごとをしてたわ」

「いえ!滅相もございません!」

「それで…どうした?」

「ゆ、勇者様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「あ、自己紹介もまだだったな。悪い。俺の名前はも…シンヤ・モリタニだ」

「…シンヤ様」

「おう。で、お前はティアだよな?ステータスにはそう記載されていた」

「は、はい!ティアと申します!不束者ですが、どうぞよろしくお願い致します!」

「なんか固いな…まぁ、いいか。それでティアはどうして、こんなところにいたんだ?言い方は悪いが、ゴブリン一匹すら倒せそうになかっただろ」

「あ…はい。その説明をしたいのは山々なんですが、契約上できないことになっているんです。すみません」

「契約?」

「…ここを見てください」

そう言って、ティアが見せてきたのは手の甲に浮かぶ不可解な紋章のようなものだった。ぱっと見、刺青でもなければ、アートでもなさそうだ。

「これは?」

「奴隷契約の証です」

「奴隷契約…」

「はい。この契約によって、私がなぜ、ここにいるのか、どうやってここまで来たのかが話せない状態なんです」

「それは…どうにかならないのか?」

「普通は無理です。契約の破棄や上書きは奴隷商の方々が持っている奴隷契約という固有スキルがないと」

「そうか…ん?待てよ。奴隷契約?」

「どうされたんですか?」

「いや、さっき馬車の近くの死体から奪ったスキルにそんなものがあったような…お、あったぞ!」

「えぇ~~!!…って奪った!?」

「ま、細かいことは後で話すから、まずはその契約を消すのが先決だろ?」

「え…私なんかの為によろしいんでしょうか?」

「さっき、ステータスを見せてくれた礼だ。それと自分のことをそんなに卑下するな。自分の価値が下がっちまうぞ」

「あ、はい…でも、やっぱり、おかしいですよ!私は命まで助けてもらってるんですから」

「その命の恩人が気にするなって言ってんの。いいから、ごちゃごちゃ言わずに手を出せ」

「は、はい!ではお願い致します」

奴隷契約のやり方は称号、ご都合主義のおかげでなんとなく分かったが緊張した。ティアは俺に全幅の信頼を置いてくれている。根拠はないが、なんとなく伝わってくるものがあった。…決して、失敗はできない。

「奴隷契約!」

直後、ティアの手の甲の紋章が掻き消され、新たな紋章が浮かび上がった。…成功か?

「や、やりました!シンヤ様、ありがとうございます!!」

「いや、ティアの方こそ、おめでとう。よく頑張ったな」

「ふえぇぇ…良かった、良かったよ~」

その姿を見て、俺はほっと胸を撫で下ろした。これでもう、ティアを縛るものはなにもない。自由なんだ。

「奴隷契約は破棄されるし、新しい素敵なご主人様が決まるし、良いことだらけだよぉ~」

「ん?」

しかし、喜びを噛み締めているティアの放った言葉の中に聞き捨てならない文を聞いてしまった俺はこのままサラッと流してはいけないと思い、即座に問いただした。

「新しいご主人様って、どういうことだ?」

「言葉通りの意味ですが…奴隷契約が更新されて、主が奴隷商からシンヤ様に変わったので…」

「ちょっと待て。つまり、こういうことか?以前の奴隷契約が破棄された直後、そのまま俺がティアと契約を結んでしまったと」

「はい!私、それがとても嬉しくて…シンヤ様、何から何まで本当にありがとうございます!!」

この喜び様…。口が裂けても言えない。本当はそこまでするつもりはなかったと。この笑顔は何としてでも守りたい…。

「…何で、そんなに嬉しいんだ?」

「それも含めて私の身に一体、何が起こったのかご説明させて頂いてもよろしいでしょうか?大変、お耳汚しな内容となっておりますが…」

「俺にとっては大事な内容だ。お前のことが知りたいから、話してくれ」

「では僭越ながら、私は…」

そこから、ティアによって語られた話は今後の俺の行動を決定付けるに難くないほどのものだった。


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