俺は善人にはなれない

気衒い

文字の大きさ
350 / 416
第15章 親子喧嘩

第350話 悪神

しおりを挟む
「シンヤさん達、大丈夫かしら」

クーフォは空を見上げながら、小さく呟

く。陽の光が燦々と照りつける中、彼女

は汗一つ浮かべず両手に嵌めている鉤爪

を外した。そんな彼女の足元には無数の

屍が転がっていた。

「クーフォ~もしかしなくても~心配な

の~?」

クーフォが声の聞こえた方へチラリと視

線を向けるとちょうどリームが愛用の武

器であるモーニングスターを肩に担ぎな

がら、やってくるところだった。

「そ、そんな訳ないじゃない!!私はシ

ンヤさんを信じているもの!!」

「でも~不安なんでしょ?」

「うっ……………それは」

痛いところを突かれたとでも言うように

クーフォは途端にしおらしくなり、いつ

もはピンと立った狐耳も今はぺたんと垂

れてしまっている。

「まぁ、でもそれは仕方ないわよ

ね~……………だって、この世界のどこか

ならいざ知らず、天界なんていう訳分か

んないところだもの~」

「そ、そう!!そうなのよ!!だから、

私が不安になったり心配したりしても別

におかしなことじゃ……………はっ!?」

クーフォは話している途中でリームのニ

ヤニヤとした顔が目に入り、そこから先

を思い止まった。

「語るに落ちたね~」

「くっ!?嵌めたわね!!」

「いや、勝手に自爆しただけじゃない~」

クーフォは思わず顔を真っ赤に染めなが

ら、そっぽを向いた。一方のリームはそ

んなクーフォの肩を軽く叩くと耳元で囁

いた。

「ごめんね~ちょっとからかいすぎたみ

たい~」

「ふんっ!!知らない!!」

「だから、ごめんって~………………実は

心配なのはなにもクーフォだけじゃない

のよ」

「えっ!?」

「みんな心配しているのよ~当然じゃな

い。それに今回は今までと違う気がする

の…………何か凄く嫌な予感がするわ~」

思い詰めたような顔で話すリーム。それ

は本人の語尾が一瞬だけおかしくなった

ことからも表れていた。

「…………そうね。リームの気持ちも分か

るわ。なら、尚更、私達はシンヤさん達

を信じてこうして帰りを待つことしかで

きないわ」

「そうよね~……………でも、こういう奴ら・・・・・・もいるし、退屈はしなさそうで良かったじゃない」

「冗談じゃないわ」

リームがモーニングスターで突っついた

のは物言わぬ骸だった。先程まで威勢の

良かったその者達はクーフォ達目掛け

て、いきなり襲いかかってきたのだ。

「全く……………どこから聞きつけたの

か、シンヤさん達がいないと分かった瞬

間、同業者の襲撃が後を絶たなくて嫌に

なるわ」

「それって~アタクシ達が~舐められて

るってこと~?」

「単純に彼我の実力差も分からないバカ

なだけよ……………そういえば、リームの

組は一体いくつのクランを潰したの?」

「ん~……………まだ5つだったような~」

「あら、随分と遅いじゃない。私のとこ

ろはもう9つよ」

ドヤ顔を決めて、リームを見下すクーフ

ォ。それを見たリームはジト目になっ

て、問いかけた。

「…………さっきの仕返し~?」

「さぁ、どうかしらね」

不敵な笑みを浮かべたクーフォはくるり

と身体の向きを変えて、その場を後にし

た。






―――――――――――――――――――――






ところ変わって、ここは天界のとある場

所。長年、囚われていた悪い神…………

いわゆる"悪神"達は捕らえていた側の

ミスにより解き放たれ、上級の神達に不

満が溜まっていた下級の神達と手を組

み、巨大な連合軍と化していた。

「派手にやれ!!」

「今まで溜まったものを最大限、吐き出

せ!!」

「「「「「うおおおお~~~!!!」」」」」

そして、現在……………彼らは天界の至る

ところを襲撃し、上級の神達への報復を

行っていた。もちろん、上級神達もこれ

をただ黙って見過ごすはずがない。配下

達を総動員し、戦場へ次々と送り込んで

いる………………のだが、

「ぐはっ!?」

「な、何だこの強さは!?」

「ま、まるで歯が立たない!!」

彼らの溜め込んだ怒りや恨みはその程度

で退けられるものでは到底なく、救援も

辿り着いた瞬間、塵となってしまってい

た。

「まだだ!!俺達の燃え上がるこの怒り

は、恨みは止まらねぇ!!覚悟しろ、上

級神!!」

そこでは地を駆ける彼らの足音がいつま

でも鳴り響いていた。






―――――――――――――――――――――





「ん?そろそろか?」

「ですね。さぁ、戻りましょうか」

「どのくらい強くなっているのか楽しみ

ですわ」

「腕が鳴るな!!」

「やっと、潰せる」

「ふふふ…………疼きますね」

「待ちくたびれたのぅ」

「来たか。我の進化した槍捌きを披露す

る機会が」

「みんな落ち着けよ。それと俺の獲物は

取るなよ?」

「その台詞、そっくりそのまま返すデス」

「心配しなくても敵は掃いて捨てる程い

るの」

「よ~し!!やるぞ~!!」

「ふんっ。アンタ達、まるで子供

ね………………で?敵はどこ?」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

処理中です...