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5.つまりそういうこと!
しおりを挟むそこには真っ白のもふもふ。
碧き瞳のなんと知的なことか。少し楽しむような表情に見えるのは私だけ?
時をも止める衝撃的な出会い。
真っ白の大きめの犬が、そこにはいたのだ。
『…ほう、こやつらが我に会せに連れてくるとは、お主はいったい誰なんだい?』
「…喋った」
『くくく、なんと。驚いたかい?まん丸お目々になっているぞ?』
「…喋るもふもふ」
ねぇ、なにあのもふもふ。喋ってるんだけど。え、何?ファンタジーの世界じゃ当たり前なの?動物喋るの?え、どうしよう。
とりあえず。
「抱き着いてもいいですか?」
『なんと!』
「むぎゅってしてもいいですか?」
『くくく!良いぞ、来るが良い。さぁ、おいで、小さなお姫様』
許可おりた。よし、突撃。
え?前世では、無類のもふもふ好きでございましたが?何か?もちろん、つるつる派も大歓迎です。むしろ動物に自然大好物、愛してる。あ、この思いすでに伝わってました?えへ。
真っ白のお犬様の首元に抱き着くために、少し小走りに。あぁ、身体がもふもふを欲している。
ボフッという音と共に抱き着きつつ、顔をぐりぐり埋めます。
あはーん。最高かよ。天国かよ。あいらぶもふもふ。
『くっくっ、ふはは』
ぐりぐりしつつ手で、こう、もしゃもしゃしていると、くぐもった笑い声が響きます。
『姫は変わり者だな』
「変わり者?」
姫呼びはスルーの方向で。なんだか気にしちゃいけない、恥ずかしくなんかない、私は今、もふもふを愛でるのに忙しい。
『そうさ、初めて会った男に抱き着くなんて、変わっているだろう?』
「…男」
『あぁ、我は男で姫は女。それは間違いないだろう?』
「たしかに…」
言われてみれば淑女として…ダメだな。
とりあえず、抱き着くのを止め、お犬様から2歩ほど離れる。
「失礼しました。一応いち淑女として、はしたなかったです。わたくし、アルマンニース公爵ハルバート・クリムゾン・アルマンニーが次女、アマンダ・バイオレット・アルマンニーでございます。以後お見知りおきを」
ドレスの裾を少し持ち上げつつ膝を曲げて軽くお辞儀。この体勢辛い。貴族のお辞儀好きじゃない。挨拶のたびに筋トレ、うふふ。
『ご丁寧に。小さな姫よ、楽にしてくれ。そうかそうかアルマンニー家のねぇ』
「ありがとうございます、えぇと」
『我の事はノアと呼んでくれ』
「ノア、ね?わかったわ!私の事はアマンダかマンディと」
『ふむ、では我はアンと呼ぼう』
「アン?そう、わかったわ!」
『はは、元気がよろしい。良い事だ』
「ふふ、ありがとうノア。それで、もっと触ってもよろしいかしら?」
『くっくっ…良いぞ、おいで』
「それでは遠慮なく」
もっふもふ~!最高!!!
この出会いにより、私が精霊の力を借りることで術をあやつる、精霊術の使いであることが判明した。
あの飛んでいた光の玉が精霊だったらしい。今ではしっかりとした姿を見ることができるけどね。あと、大事なのは、ノアが聖獣であったこと。深緑の森を守る神様的な存在でありました。そして、犬ではなく狼なんだって、大きいはずだね。
あの後、家族総出で私を探していることをノアが教えてくれ、野原がある場所まで家族を導いてくれた。その時のみんなの顔といったら、もう、笑えた。あんなにびっくりした顔初めて見ましたね。まぁ、そうだろうね、深緑の森の聖獣に抱き着き、もふりたおす末っ子がいたら…驚くだろうね。えへ。
なお、ノアとの出会いにより森への出入りが自由になりました。ひゃっはー!なんでも、聖獣の友という称号をいただきまして、えぇ。加護みたいなものなのかなって思ってます。この加護によって精霊がくっきり見えるようになって、そして光魔法も使えるようになりました。光魔法の価値は物凄いんだよ、ってお兄様に教わったけど自分じゃいまいち実感できてません。治癒できるしケガしても安心だね、って事くらいしか思わなんだ。
森をノアと一緒に大冒険したり、お兄様お姉様に甘えたおしたりしていると、月日は過ぎて、王都に戻る時となりました。離れていても心は繋がっているため、ノアとの会話はできます。なので寂しさはない…なんてことはない!もふもふを触れないじゃないか!!重要だぞ!もふもふ!…とノアに相談すると、なんと魔法で転移ができる扉を作ってくれた。あれ、これって、どこでもド…げふんげふん。やったね、素敵なアイテムをゲットしたぜ!!と喜ぶ私を優しい笑顔で(たぶん笑顔)見守ってくれていたノア。
出会ってくれてありがとう。世界の大きさを教えてくれて、楽しさを教えてくれ、他にもたくさん!本当にありがとう。大好きだよ、ノア。
特にそのもっふもふの美しい白い毛並みは最高。愛してる。あいらぶもふもふ。
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