投資家ハンターの資金管理 ~最強パーティを追放された青年は、美少女パーティにせがまれ最強へ導く~ (※ハンターは資金力がすべてです)

高美濃 四間

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第四章 『ヤマト運用商会』結成

乱入者

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 ――キィィィンッ!

「な、なに!?」

「……え?」

 ほんの一瞬のうちに、回転する剣とヤマトの間に割り込んだ黒い影があった。
 金属のぶつかる音が聞こえたかと思うと、ライダの剣は軌道を変え、彼の目の前の地面に突き刺さる。
 束ねられた長い黒髪を横へなびかせ、夜闇に紅い軌跡を描いて現れたのは――

「――このお方は、あなたたちごときが手にかけていい方ではない」

「き、君は……」

 白刃きらめく小太刀を逆手に構え、漆黒の装束を纏った美少女だった。
 小さな体から溢れる雰囲気は凛々しく鋭利で隙がない。
 目を丸くして固まっていたライダは、彼女の姿を見て憤怒の叫びを上げた。

「またお前の女かぁぁぁっ!」

「ちぃっ! 邪魔するなら、ガキだろうと容赦しねぇぞ!」

 血走った目で駆け出すライダは、地面に刺さった剣を抜くと少女へ接近し、その後ろへマキシリオンが続く。
 しかし少女は冷静に腰を落とすと、一瞬でライダの懐へ入り込んでいた。
 ヤマトの目では、もはや追えないほどの俊敏さだ。

「なにっ!?」

 慌てて剣を振り下ろすライダだが、少女はそれを小太刀で受け止め、隙だらけのみぞおちへ拳を打ち込んだ。

「はっ!」

「がはっ!?」

「ちっ! どけぇっ!」

 腹を押さえ悶絶するライダを押しのけ、マキシリオンが前へ出る。
 そして少女へ、力の限り剣を乱れ振るった。

「オラオラオラァッ!」

 闇夜に無数の火花が散り、立て続けに金属音が鳴り響くが、少女は難なく太刀筋を見切り受け流していた。
 どれだけ鬼人の力が強くとも、受け流されては力を発揮できない。
 一瞬の攻防ののち、決着がつく。

「ちぃっ、このぉっ!」

 マキシリオンが渾身の力で剣を振り下ろすが、少女はそれを紙一重で回避。
 彼の手首を思い切り蹴って剣を離させる。
 それでもと拳を振り上げるマキシリオンだったが、その首元には刃の切っ先が当てられていた。

「もう二度と、ヤマト様の目の前に現れるな」 

「てんめぇ……」

 マキシリオンは怒りに燃える瞳でにらみつけるが、彼女の深紅の瞳に見据えられ動けない。
 目の前の光景に唖然とするヤマト。
 ピー助も興奮したように鳴いている。
 ちょうどそのとき、近くにいた騎士二人がようやく駆け寄って来た。

「おい、お前たち! いったいなにをしているんだ!?」

「……クソがっ……」

 マキシリオンはようやく観念し拳を降ろした。
 少女は一歩引くとヤマトを守るように前へ立つ。
 両者の間に入った騎士たちは、ヤマトとマキシリオン、双方を注意深く見回した。

「……おい、これはどういうことだ?」

「これには事情がありまして……」

「聞かせてもらおうか」

 騎士に問いただされ、ヤマトはすべてを話した。
 目の前の二人に突然襲われたこと、そして彼らが監獄から脱走した者ことを。
 普通なら、どちらの言い分も聞いて罪の所在をはっきりさせるところだが、相手が脱走者ともなると騎士も判断に迷いはない。
 そして騎士たちは、暴れるマキシリオンとライダを取り押さえ、駐屯所へ連行していくのだった。

 騎士たちが去った後、ヤマトは漆黒の少女と向き合う。

「君はいったい……」

「ヤマト様、ご無事で良かった。あなたは必ず、私がお守りします――」
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