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第一章 港町の設計士
魔術機動・強化装甲
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この世界は滅亡の危機に瀕している。
二十年前、突如として『凶霧』と呼ばれる謎の霧が地上に蔓延し、あらゆる生物を飲み込んでいったからだ。
まず人間とそれに近い種族たちは多くが病に倒れ、そのごく少数が生き延びた。魔物たちは正気を失い凶暴化し、中には突然変異するものまでいた。
その後、凶霧と凶暴化した魔物たちによって、穏やかだった世界は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄と化したのだ。
なんとか生き残った種族たちは、小さな拠点で身を寄せ魔物を狩りながら、毎日を細々と生きている――
「――見つけた」
倒壊した民家の影に隠れたシュウゴが呟く。
この世界で目を覚ましてから十年後、彼はハンターとなっていた。
燃えるような赤髪に精悍な顔つきで、数十メートル前方を回遊する獲物を見据えている。
今回のクエストは、フィールド『廃墟と化した村』で魔物『イービルアイ』二体と『カトブレパス』一体の討伐だ。
「コイツのテストには丁度いい」
そう呟いてシュウゴは廃墟から飛び出し、魔物たちへ向かって駆け抜ける。
その両足には噴射機構付の義足。
左右それぞれの腰側面に、キャノン砲のような短めで四角い噴射バーニアが装着され、ブーツには左右と足の裏にも小さな噴射口が付いている。
義手には、肘から車のマフラーのようなバーニアが伸びており、腕の向きを変えることであらゆる方向へ噴射が可能。
それらは暗めのメタリックカラーでコーティングされており、装備名を魔術機動・強化装甲『隼』、今回が初の実戦だ。
武器としては、全長二メートルほどもあり、刃幅も全身を覆い隠せるほど広い超大剣『グレートバスター』を右肩に乗せている。
「うおぉぉぉっ!」
シュウゴが走り出してすぐに、上空のイービルアイ二体が反応した。
半径一メートルほどの巨大な目玉の後ろに紫の翼を生やし、申し訳程度の足をぶら下げた一つ目玉の怪物だ。
イービルアイたちは接近するシュウゴを見据え、目玉の中央に光の収束を始めた。
「………………そこだっ!」
イービルアイの目から高熱量のレーザーが放たれる寸前、シュウゴは地を蹴ると同時に、炎魔法による『燃焼』と風魔法による『圧縮』を発動し、腰のバーニアを噴射した。
――バシュゥゥゥンッ!
噴射音と共に勢いよく地を蹴った直後、二本のレーザーが地面を焼く。
しかしシュウゴは、既にイービルアイと同じ高度まで飛び上がっていた。
先ほどと同じ要領で腰のバーニアを背面へ噴射し目の前の敵へ肉薄する。
彼の高速な接近に気付いたイービルアイが第二射を諦め、その硬いまぶたを閉じようとするが――
「遅い!」
瞬時に間合いを詰めたシュウゴが巨眼を横一文字に薙ぎ払う。
「キィィィィィッ!」
断末魔の悲鳴を上げ、血をまき散らしながらイービルアイは墜落していった。
シュウゴもまた、次の一体へ迫るべく腕の噴射で向きを変える。
十メートルは離れているもう一体のイービルアイは、既に光を収束させていた。
シュウゴは構わず、腰バーニアを出力全開にして真正面から突っ込む。しかし間に合うこともなく、イービルアイのレーザーが放たれた。
「アイスシールド!」
左腕を前へ突き出し叫ぶと、蒼白く半透明の盾が腕に生成され、レーザーを受け止めた。
「ぐぅぅぅぅぅっ」
レーザーの圧力とバーニアの圧力が均衡する。
だがそれも一瞬。
すぐにレーザーの照射が終わり、シュウゴは左腕を横へ払うと、大剣の切っ先を前方へ向けた。そして全速力で噴射突進し、巨眼の中央へと深く突き刺した。
「キィィィィィッ……」
イービルアイの下瞼を足の裏で蹴り、刃を引き抜くとその死骸は落下していく。
そしてすぐ下、上空での戦いに見向きもしていない、灰色の強靭な外殻と体毛に覆われたカトブレパスを捉える。四足歩行で馬などよりも一回り大きいが、その長い首と重い頭のせいか、地面すれすれまでしか顔を上げられていない。
シュウゴはバーニアを断続噴射して敵の頭上まで移動すると、大剣を両手で振り上げた。
「うおぉぉぉぉぉ!」
急速に落下し、カトブレパスの背中から渾身の一撃を叩きつける。
「グオォォォォォン」
カトブレパスは野太い声で唸り声を上げ、ドスンッと勢いよく倒れた。
カトブレパスは防御力が高く、接近戦ではその重たい頭を振り回し、その目を見た者を石化させるという厄介な魔物だが、上空からの襲撃には滅法弱い。
二十年前、突如として『凶霧』と呼ばれる謎の霧が地上に蔓延し、あらゆる生物を飲み込んでいったからだ。
まず人間とそれに近い種族たちは多くが病に倒れ、そのごく少数が生き延びた。魔物たちは正気を失い凶暴化し、中には突然変異するものまでいた。
その後、凶霧と凶暴化した魔物たちによって、穏やかだった世界は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄と化したのだ。
なんとか生き残った種族たちは、小さな拠点で身を寄せ魔物を狩りながら、毎日を細々と生きている――
「――見つけた」
倒壊した民家の影に隠れたシュウゴが呟く。
この世界で目を覚ましてから十年後、彼はハンターとなっていた。
燃えるような赤髪に精悍な顔つきで、数十メートル前方を回遊する獲物を見据えている。
今回のクエストは、フィールド『廃墟と化した村』で魔物『イービルアイ』二体と『カトブレパス』一体の討伐だ。
「コイツのテストには丁度いい」
そう呟いてシュウゴは廃墟から飛び出し、魔物たちへ向かって駆け抜ける。
その両足には噴射機構付の義足。
左右それぞれの腰側面に、キャノン砲のような短めで四角い噴射バーニアが装着され、ブーツには左右と足の裏にも小さな噴射口が付いている。
義手には、肘から車のマフラーのようなバーニアが伸びており、腕の向きを変えることであらゆる方向へ噴射が可能。
それらは暗めのメタリックカラーでコーティングされており、装備名を魔術機動・強化装甲『隼』、今回が初の実戦だ。
武器としては、全長二メートルほどもあり、刃幅も全身を覆い隠せるほど広い超大剣『グレートバスター』を右肩に乗せている。
「うおぉぉぉっ!」
シュウゴが走り出してすぐに、上空のイービルアイ二体が反応した。
半径一メートルほどの巨大な目玉の後ろに紫の翼を生やし、申し訳程度の足をぶら下げた一つ目玉の怪物だ。
イービルアイたちは接近するシュウゴを見据え、目玉の中央に光の収束を始めた。
「………………そこだっ!」
イービルアイの目から高熱量のレーザーが放たれる寸前、シュウゴは地を蹴ると同時に、炎魔法による『燃焼』と風魔法による『圧縮』を発動し、腰のバーニアを噴射した。
――バシュゥゥゥンッ!
噴射音と共に勢いよく地を蹴った直後、二本のレーザーが地面を焼く。
しかしシュウゴは、既にイービルアイと同じ高度まで飛び上がっていた。
先ほどと同じ要領で腰のバーニアを背面へ噴射し目の前の敵へ肉薄する。
彼の高速な接近に気付いたイービルアイが第二射を諦め、その硬いまぶたを閉じようとするが――
「遅い!」
瞬時に間合いを詰めたシュウゴが巨眼を横一文字に薙ぎ払う。
「キィィィィィッ!」
断末魔の悲鳴を上げ、血をまき散らしながらイービルアイは墜落していった。
シュウゴもまた、次の一体へ迫るべく腕の噴射で向きを変える。
十メートルは離れているもう一体のイービルアイは、既に光を収束させていた。
シュウゴは構わず、腰バーニアを出力全開にして真正面から突っ込む。しかし間に合うこともなく、イービルアイのレーザーが放たれた。
「アイスシールド!」
左腕を前へ突き出し叫ぶと、蒼白く半透明の盾が腕に生成され、レーザーを受け止めた。
「ぐぅぅぅぅぅっ」
レーザーの圧力とバーニアの圧力が均衡する。
だがそれも一瞬。
すぐにレーザーの照射が終わり、シュウゴは左腕を横へ払うと、大剣の切っ先を前方へ向けた。そして全速力で噴射突進し、巨眼の中央へと深く突き刺した。
「キィィィィィッ……」
イービルアイの下瞼を足の裏で蹴り、刃を引き抜くとその死骸は落下していく。
そしてすぐ下、上空での戦いに見向きもしていない、灰色の強靭な外殻と体毛に覆われたカトブレパスを捉える。四足歩行で馬などよりも一回り大きいが、その長い首と重い頭のせいか、地面すれすれまでしか顔を上げられていない。
シュウゴはバーニアを断続噴射して敵の頭上まで移動すると、大剣を両手で振り上げた。
「うおぉぉぉぉぉ!」
急速に落下し、カトブレパスの背中から渾身の一撃を叩きつける。
「グオォォォォォン」
カトブレパスは野太い声で唸り声を上げ、ドスンッと勢いよく倒れた。
カトブレパスは防御力が高く、接近戦ではその重たい頭を振り回し、その目を見た者を石化させるという厄介な魔物だが、上空からの襲撃には滅法弱い。
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