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第三章 闇の一族
闇の通貨
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「――まさか、『闇通貨』も……」
そのとき、アルビスが呟いた言葉がノベルの興味を引いた。
「アルビスさん、今なんて?」
「闇通貨です。これは後ほど報告しようと思っていたのですが……」
アルビスがルインへ目配せすると、彼は「構わない」と頷いた。
「実は、各国の闇市場を中心に謎の通貨が出回っているのです」
「謎の通貨? テラやジールみたいな国が発行するものとは違うんですか?」
「はい。裏の世界の情報なもので、不確かなことは多いですが……」
「それでも、裏でなにかが動いているのは間違いない、か」
ノベルは陰謀のようなものを感じていた。
それこそ、先ほどマルベスから聞いた、魔人族の存在を感じるほどに。
するとマルベスが告げた。
「言っておくが、アスモデウス家は武器商人だ。魔人族が絡んでいるとしても、別の家系だろうよ」
「まったく、勘弁してほしいですね……」
「お父様……」
ルインが暗い表情で俯き頭を抱える。
もし魔人族が絡んでいるとなると、ただの娯楽という話では済みそうにない。
ノベルは大きくゆっくり深呼吸するとひとり言のように呟いた。
「闇の通貨だなんてものを流通させて、いったいなにが目的なんだ?」
するとマルベスは、薄ら笑いを浮かべながら言った。
「世界中に広まっているってことは……通貨の統一でもするつもりじゃねぇのか?」
「バカな……」
こればかりは、ノベルも顔を盛大にしかめた。
ありえないと一蹴できないのがなによりも怖い。
通貨の統一、もしそんなことにでもなれば、もう見て見ぬふりはできないのだ。
ノベルの胸の奥には、恐怖とは別に怒りも同時に湧いてきた。
「金融の力で世界を支配するつもりか」
現在の基軸通貨はドルガンのリュ―ト。
そして各国にはそれぞれの通貨があり、リュートに対するレートや政策金利がある。
それによって、国の経済活動を左右しているのだ。
もし、国によって管理されている通貨の座を魔人の管理する通貨に奪われでもしたら、国家の権力は失墜し、治安の維持も期待できず、国民は生殺与奪を握られることになる。
ノベルが複雑な感情を抱いていると、アルビスが眉尻を落とし諦観の混じった声で呟いた。
「もし、魔人たちが政治家にまで働きかけているのだとしたら、これはとんでもないことになりまずぞ」
――ドクンッ!
そのとき、ノベルの心臓が跳ね上がる。
魔人、政治家、陰謀という単語が脳裏に浮かび、それがなぜかひらめきを生んだのだ。
「……そういうこと、だったのかっ……」
そのとき、ノベルはなにかに気付いたかのようにハッと顔を上げ、目を見開いていた。
ようやく、求めていた真実に手が届くかもしれない。
ノベルの心は決まった。
ルインはそんなノベルの心境の変化に気付かず、やれやれと首を横へ振る。
「闇の通貨が表に出回るのも時間の問題ですか。しかし、それを知ったところで、私たちにできることはなにもありませんが」
「……なにを弱気なことを言っているんですか? スルーズ商会は、投資商会でしょう?」
ノベルが不敵な笑みを浮かべて告げ、一同は目を丸くした。
しかし今のノベルの心の奥には、別の感情が渦巻いている。
「ノベルさん、まさか……」
「こんな儲かりそうな案件、逃がすものか」
ノベルは力強く言い放ち、立ち上がった。
その瞳には強い意志。
魔人と政治家、真実へ至るためのパーツがそろったかのようだった。
プリステン家の一家暗殺の裏には、もしかすると――
「ルインさん、商会の保有する資産をすべてかき集めてください」
一方的に告げたノベルは、震える腕を押さえていた。
恐怖ではない、武者震いだ。
この一件が片付いたときこそ、復讐を果たすときだと、ノベルは心に誓ったのだった。
そのとき、アルビスが呟いた言葉がノベルの興味を引いた。
「アルビスさん、今なんて?」
「闇通貨です。これは後ほど報告しようと思っていたのですが……」
アルビスがルインへ目配せすると、彼は「構わない」と頷いた。
「実は、各国の闇市場を中心に謎の通貨が出回っているのです」
「謎の通貨? テラやジールみたいな国が発行するものとは違うんですか?」
「はい。裏の世界の情報なもので、不確かなことは多いですが……」
「それでも、裏でなにかが動いているのは間違いない、か」
ノベルは陰謀のようなものを感じていた。
それこそ、先ほどマルベスから聞いた、魔人族の存在を感じるほどに。
するとマルベスが告げた。
「言っておくが、アスモデウス家は武器商人だ。魔人族が絡んでいるとしても、別の家系だろうよ」
「まったく、勘弁してほしいですね……」
「お父様……」
ルインが暗い表情で俯き頭を抱える。
もし魔人族が絡んでいるとなると、ただの娯楽という話では済みそうにない。
ノベルは大きくゆっくり深呼吸するとひとり言のように呟いた。
「闇の通貨だなんてものを流通させて、いったいなにが目的なんだ?」
するとマルベスは、薄ら笑いを浮かべながら言った。
「世界中に広まっているってことは……通貨の統一でもするつもりじゃねぇのか?」
「バカな……」
こればかりは、ノベルも顔を盛大にしかめた。
ありえないと一蹴できないのがなによりも怖い。
通貨の統一、もしそんなことにでもなれば、もう見て見ぬふりはできないのだ。
ノベルの胸の奥には、恐怖とは別に怒りも同時に湧いてきた。
「金融の力で世界を支配するつもりか」
現在の基軸通貨はドルガンのリュ―ト。
そして各国にはそれぞれの通貨があり、リュートに対するレートや政策金利がある。
それによって、国の経済活動を左右しているのだ。
もし、国によって管理されている通貨の座を魔人の管理する通貨に奪われでもしたら、国家の権力は失墜し、治安の維持も期待できず、国民は生殺与奪を握られることになる。
ノベルが複雑な感情を抱いていると、アルビスが眉尻を落とし諦観の混じった声で呟いた。
「もし、魔人たちが政治家にまで働きかけているのだとしたら、これはとんでもないことになりまずぞ」
――ドクンッ!
そのとき、ノベルの心臓が跳ね上がる。
魔人、政治家、陰謀という単語が脳裏に浮かび、それがなぜかひらめきを生んだのだ。
「……そういうこと、だったのかっ……」
そのとき、ノベルはなにかに気付いたかのようにハッと顔を上げ、目を見開いていた。
ようやく、求めていた真実に手が届くかもしれない。
ノベルの心は決まった。
ルインはそんなノベルの心境の変化に気付かず、やれやれと首を横へ振る。
「闇の通貨が表に出回るのも時間の問題ですか。しかし、それを知ったところで、私たちにできることはなにもありませんが」
「……なにを弱気なことを言っているんですか? スルーズ商会は、投資商会でしょう?」
ノベルが不敵な笑みを浮かべて告げ、一同は目を丸くした。
しかし今のノベルの心の奥には、別の感情が渦巻いている。
「ノベルさん、まさか……」
「こんな儲かりそうな案件、逃がすものか」
ノベルは力強く言い放ち、立ち上がった。
その瞳には強い意志。
魔人と政治家、真実へ至るためのパーツがそろったかのようだった。
プリステン家の一家暗殺の裏には、もしかすると――
「ルインさん、商会の保有する資産をすべてかき集めてください」
一方的に告げたノベルは、震える腕を押さえていた。
恐怖ではない、武者震いだ。
この一件が片付いたときこそ、復讐を果たすときだと、ノベルは心に誓ったのだった。
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