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32話 謎の力は
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俺はたった今起きた現象が、頭の中で理解するのに恐ろしいほどの時間がかかった。
グラの腕が砕け散ったのだ。
それも赤い血を撒き散らしながら、肉が裂ける音を立てて。
「ぐ……ら……」
頭の中で言葉がまとまらない。
俺がやってしまったのか?
俺がグラの腕を引き裂いてしまったのか?
「グラ……腕……ごめん!」
「そんな慌てるな。別に腕は創造で再生出来る」
グラは俺にそう言って笑って見せると、先がなくなってしまった肩に光が集まっていき、元の美しい腕に戻っていった。
「ほらな。これで余の腕は元通りだ」
グラはまた笑ってそう言う。
だが、その笑顔はどこかぎこちない。
腕を引き裂かれる痛みを我慢しながら、俺に負い目を感じさせないために笑ってくれたのだろう。
「おいどうしたんだ!?」
「今グラティオラスの腕吹き飛んだよね?」
少し離れた場所で見ていたジューザラス達は、額には汗を浮かべながら慌てて走ってきた。
「大丈夫だ。別に腕も問題ないしな」
ここでもグラは俺を庇ってくれる。
だが、俺がグラを傷つけたという事実は何も変わらない。
「ライ……どうやった……?」
ルーレルは不思議そうに俺の腕を見てくる。
どうやってグラの腕を吹き飛ばしてしまったのか気になるのだろう。
しかし、それは俺にも分からない。
どうして、俺がグラの腕を吹き飛ばしたのか。
どうやってやったのか。
様々な疑問があるが、分かることなど無いに等しい。
だけど、たった一つだけ分かることがある。
「俺がグラの剣に触れた瞬間……グラの腕が吹き飛んでいった……」
これは俺がこの目で見た出来事だ。
俺の手にグラの剣が触れた感覚は確かにあった。
それでも、俺の手は切れることがなかった。
それどころか、俺はその剣を跳ね返すような感覚があった。
でも俺は、そんな剣を弾き飛ばすような魔法を使っていないし、グラの腕を破壊してしまうような魔法も扱えるわけではない。
「マジでどうなってんだこりゃあ。グラティオラスの腕を壊すなんてよっぽどだぞ」
「本当に……ごめん!」
「別に気にするな。腕も元に戻ったのだしな」
「だけど俺が与えた痛みは消えないだろ……!」
「まぁまぁ、グラティオラスも気にするなって言ってるんだし。私達神にとったらそんな騒ぐことじゃないからさー。というか、ライの方が問題だよ」
「俺?」
「当たり前じゃん。一体どうしたらさっきみたいになるのか、しっかり解明しないとね」
さっきのは何故起こったのか。
この場にいる者全員が下を向き考えるが、当然ながら答えは出てこない。
俺はあの時、特別攻撃しようとも思ったりもしていない。
ただただ剣に触れただけだ。
「一体ライ様がどうやって攻撃……いや、もしかしたら違うかもしれない……」
シェラレイはルーレルの肩に止まったまま、そう静かに呟いた。
「1人で考えてねぇで俺たちにも教えろや」
「皆さん、もしかして、ライ様がグラティオラス様に攻撃した、と思っていませんか?」
ん?
それはどういうことだ?
俺自身も一体どういう事か分かってはいないが、シェラレイの質問だとまるで俺が攻撃していないみたいだ。
だけど、攻撃しないと相手に傷を与えることはできない。
ましてやグラの腕を破壊するなど、到底不可能だろう。
「意味が分からない……」
「俺もルーレルに同感だ。攻撃してねぇのに、一体どうやってグラティオラスの腕を吹き飛ばすっつうんだよ」
「ライ様は攻撃したつもりはない。この事から、ライ様が無意識に攻撃をした、又は跳ね返したということになります」
俺が無意識の間に攻撃……。
それって結構危険じゃないか?
俺が攻撃するつもりはなくても、相手に傷を与えてしまうって事だろ。
「例えば、ライ様が無意識に攻撃した場合、相手は相当な傷を負うことになるでしょう。相手が人間なら、ですが」
「それがどうした」
「ですが、今回腕を吹き飛ばされたのは人間ではなく神です。それも神の頂点に立つ、グラティオラス様です。ライ様がどれだけ強くても、神には及ばない人間。ライ様が与える攻撃で、グラティオラス様の腕が吹き飛ぶでしょうか?」
確かにそうだよな……。
俺の攻撃なんかでグラの腕が飛ぶなら、もうとっくにこの戦いの決着はついていてもおかしくない。
だけど、戦いはグラの腕が飛ぶまで決着はつかず、ましてや俺は押されていた。
つまり、俺にはグラの腕を吹き飛ばすような攻撃は出来ないということだ。
「この事を踏まえて考えると、残る選択肢は1つ。ライ様は己の力で攻撃したのではなく、グラティオラスの攻撃を跳ね返した可能性が高いと考えられます」
「俺がグラの攻撃を跳ね返す?」
「そうです。何故跳ね返せたのかは分かりませんが、これが最も可能性が高いのです」
シェラレイが放った跳ね返すという言葉に、俺を含む全員が目を見開いて呆然としたのだった。
グラの腕が砕け散ったのだ。
それも赤い血を撒き散らしながら、肉が裂ける音を立てて。
「ぐ……ら……」
頭の中で言葉がまとまらない。
俺がやってしまったのか?
俺がグラの腕を引き裂いてしまったのか?
「グラ……腕……ごめん!」
「そんな慌てるな。別に腕は創造で再生出来る」
グラは俺にそう言って笑って見せると、先がなくなってしまった肩に光が集まっていき、元の美しい腕に戻っていった。
「ほらな。これで余の腕は元通りだ」
グラはまた笑ってそう言う。
だが、その笑顔はどこかぎこちない。
腕を引き裂かれる痛みを我慢しながら、俺に負い目を感じさせないために笑ってくれたのだろう。
「おいどうしたんだ!?」
「今グラティオラスの腕吹き飛んだよね?」
少し離れた場所で見ていたジューザラス達は、額には汗を浮かべながら慌てて走ってきた。
「大丈夫だ。別に腕も問題ないしな」
ここでもグラは俺を庇ってくれる。
だが、俺がグラを傷つけたという事実は何も変わらない。
「ライ……どうやった……?」
ルーレルは不思議そうに俺の腕を見てくる。
どうやってグラの腕を吹き飛ばしてしまったのか気になるのだろう。
しかし、それは俺にも分からない。
どうして、俺がグラの腕を吹き飛ばしたのか。
どうやってやったのか。
様々な疑問があるが、分かることなど無いに等しい。
だけど、たった一つだけ分かることがある。
「俺がグラの剣に触れた瞬間……グラの腕が吹き飛んでいった……」
これは俺がこの目で見た出来事だ。
俺の手にグラの剣が触れた感覚は確かにあった。
それでも、俺の手は切れることがなかった。
それどころか、俺はその剣を跳ね返すような感覚があった。
でも俺は、そんな剣を弾き飛ばすような魔法を使っていないし、グラの腕を破壊してしまうような魔法も扱えるわけではない。
「マジでどうなってんだこりゃあ。グラティオラスの腕を壊すなんてよっぽどだぞ」
「本当に……ごめん!」
「別に気にするな。腕も元に戻ったのだしな」
「だけど俺が与えた痛みは消えないだろ……!」
「まぁまぁ、グラティオラスも気にするなって言ってるんだし。私達神にとったらそんな騒ぐことじゃないからさー。というか、ライの方が問題だよ」
「俺?」
「当たり前じゃん。一体どうしたらさっきみたいになるのか、しっかり解明しないとね」
さっきのは何故起こったのか。
この場にいる者全員が下を向き考えるが、当然ながら答えは出てこない。
俺はあの時、特別攻撃しようとも思ったりもしていない。
ただただ剣に触れただけだ。
「一体ライ様がどうやって攻撃……いや、もしかしたら違うかもしれない……」
シェラレイはルーレルの肩に止まったまま、そう静かに呟いた。
「1人で考えてねぇで俺たちにも教えろや」
「皆さん、もしかして、ライ様がグラティオラス様に攻撃した、と思っていませんか?」
ん?
それはどういうことだ?
俺自身も一体どういう事か分かってはいないが、シェラレイの質問だとまるで俺が攻撃していないみたいだ。
だけど、攻撃しないと相手に傷を与えることはできない。
ましてやグラの腕を破壊するなど、到底不可能だろう。
「意味が分からない……」
「俺もルーレルに同感だ。攻撃してねぇのに、一体どうやってグラティオラスの腕を吹き飛ばすっつうんだよ」
「ライ様は攻撃したつもりはない。この事から、ライ様が無意識に攻撃をした、又は跳ね返したということになります」
俺が無意識の間に攻撃……。
それって結構危険じゃないか?
俺が攻撃するつもりはなくても、相手に傷を与えてしまうって事だろ。
「例えば、ライ様が無意識に攻撃した場合、相手は相当な傷を負うことになるでしょう。相手が人間なら、ですが」
「それがどうした」
「ですが、今回腕を吹き飛ばされたのは人間ではなく神です。それも神の頂点に立つ、グラティオラス様です。ライ様がどれだけ強くても、神には及ばない人間。ライ様が与える攻撃で、グラティオラス様の腕が吹き飛ぶでしょうか?」
確かにそうだよな……。
俺の攻撃なんかでグラの腕が飛ぶなら、もうとっくにこの戦いの決着はついていてもおかしくない。
だけど、戦いはグラの腕が飛ぶまで決着はつかず、ましてや俺は押されていた。
つまり、俺にはグラの腕を吹き飛ばすような攻撃は出来ないということだ。
「この事を踏まえて考えると、残る選択肢は1つ。ライ様は己の力で攻撃したのではなく、グラティオラスの攻撃を跳ね返した可能性が高いと考えられます」
「俺がグラの攻撃を跳ね返す?」
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シェラレイが放った跳ね返すという言葉に、俺を含む全員が目を見開いて呆然としたのだった。
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