スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ

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36話 最悪かつ最凶

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 悪魔、という言葉にグラ達はさっきまでの表情とは打って変わり、それを見れば危機的状況に陥っているという事だけは分かる。

 「なあ、悪魔ってそれほど大したことなくないか?」
 「わたくしも何度か悪魔を殺したことありますが、問題なく倒せましたよ」

 俺と同様、グラ達の言動に疑問を持ちシェラレイはそう口を開いた。
 
 俺も悪魔の討伐には向かったことはあるが、全く大したことはなかった。
 並の冒険者が1人だけなら危険かもしれないが、3人いれば誰も犠牲を出さずに討伐出来るレベルだ。
 それなのに、どうしてグラ達はこんなに焦っているんだ?

 「この人間界に来ていたのは全て下級悪魔だ。だが、上級悪魔は違う。上級悪魔は神の中でも上位に立つルーレルと同等、もしくはそれ以上の力を持つ」
 「それならまだマシだよ。でも、はもしかしたら……」
 「ああ……あいつが復活していたがったら、グラでも抑え切れるかどうか……」

 え……、嘘だろ……?
 グラが抑え切れるかどうか……そんなのどうしろっていうんだよ……。
 あの反射の力が使えれるようになれば、そいつと戦えるかもしれないが、まだ発動条件も分からない上に特訓をする余裕もない。
 つまり俺は、グラと同等の力を持つヤツを相手にできないということだ。

 「それにしてもどうしてだ。上位悪魔は全て封印していたはずだ。もしかして……下級悪魔だけで攻めて来ようとしているのか……?」
 「それはないよ」

 グラの疑問をヘルラレンはそう否定すると、話を聞いていたジューザラスは怪訝な表情を浮かべた。

 「なんでそう言い切れんだよ」
 「だって普通に考えてよ。下級悪魔なんて冒険者にでも殺されるんだよ? それが分かっていて攻めてくるなんて、ただの馬鹿でしかないよ」
 「あいつらは馬鹿だろうが」
 「確かにそうだけど、それをする目的が分からない。それに……」

 ヘルラレンはそこで黙って、決心したような顔で前を向いた。

 「私見たんだ。フネアスの魂を持って生きている人間をね」
 「なんだと!?」

 予想外の発言にジューザラスは目を思い切り見開いた。

 フネアスって確か闇の神だったよな。
 シーミナと一緒に消滅したって聞いたけど……でもなんでそれが悪魔の封印が解かれたことに関係があるんだ?

 「あいつを復活させるには、上級悪魔10体と同等の闇の力が必要だよね。だけど、上級悪魔も一緒に封印した。だけどね、上級悪魔10体の力を1人で持っている者がいる」
 「それってつまり……」
 「そう。フネアスの魂なら余裕で上級悪魔10体を超える」

 つまりフネアスの魂を使って、グラ達が封印した悪魔を復活させたってことか。
 でもそれが事実かどうかはまだ分からないよな。

 ヘルラレンは否定したが、本当に下級悪魔だけで攻めてきたのかもしれないし、グラ達が考えていること以外の方法で復活させたのかもしれない。
 それにしてもフネアスの魂か……。
 一体誰に生まれ変わったんだろうか。
 
 「そういえばよぉ、あいつってどこに封印したんだ?」
 「そんなものとっくに忘れた。上級悪魔諸共封印したのは覚えているが、どこに封印したのかは覚えていない。こんなことになると思ってなかったからな」
 「あのー……」

 俺の遠慮気味の声に、話し込んでいた全員の視線が俺に移り変わった。

 「さっきから話に出てるあ・い・つ・って誰?」

 下級悪魔は見たことあるし、上級悪魔はなんとなく想像はできるが、あいつって呼ばれている奴は中々想像することができない。
 だけど俺の中では、悪魔の頂点に立っている者だと予想している。

 「ああ、そう言えば言ってなかったな。あいつっていうのは悪魔を統べる者、グレデラ・フィンガー。グレデラは最悪かつ最凶の悪魔だ」
 
 グレデラ・フィンガー……グラと同等の力を持つ悪魔か。
 もし本当にそいつが復活したんだったら、結構本気でやばいかもしれないな。
 この場にグラがいなかったらと考えるとゾッとする。

 「とにかくだ。今は判らないことが多い。恐らく、悪魔達がここに来るのも時間の問題だろう。だから、今早急にすべき事は情報収集だ。まずは、フネアスの生まれ変わりかもしれない人間に会ってみよう」
 「情報収集とかめんどくせぇなぁ……」
 「ヘルラレン、フネアスの魂を持つ人間の顔を教えてくれないか」
 「はーい。確かこんな顔だったよ」

 そう言って空中に手を伸ばすと、出現した水を自由に操り人の顔を作り上げていった。
 輪郭、耳、鼻、口、目、そして髪。
 それらが構成されて作り上げられた顔は――。

 「え……?」
 
 俺が最も会いたい人物、ハーシュの顔そのものだった。
 
 
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