“イチバン”好きな人とは結婚できない

ジョン・グレイディー

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第七章

秘めたる恋には邪魔はない

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 美咲、完全無視だね、吉川君を、見直したよ。美咲ちゃん、強い!

 いやいや、こんなもんで、デビルマンは諦めないって、まだまだ、バリア張っとかないとさ!

 でも、彼氏居なくて寂しくない?
 もう、高2の夏だよー

 えっ!紫穂たん、彼氏できたの?

 うん!

 知らなかった。誰、誰!

 あのね、私、告白されちゃって、高校違うんだ。中学の同級生なんだ。
 
 なになに、どんなアクションされたのさ?

 うーんとね、電話かかってきてね、彼氏からね、今週末の若宮様のお祭り、一緒に行かないかって!

(…それ、彼氏って、普通、言わないだろ…)

 いいなぁー、どんな人なの?

 うーんとね、高校で野球部に入ってるんだ。
 家も近いし、最近、朝、待ち合わせしてね、途中までだけど、一緒に登校してるだー

 嬉しそうだよね。紫穂たん…

 うん!

 (…くぅそぉー、返事が良すぎるわ…)

 だからね、お祭り、美咲と行けないから!ごめんねー

 (…聞いてないです!一緒に行くなんか!聞いてません!…)

 私、人混み苦手だから、お祭りはあんまり乗り気じゃないのよ、気にしないで…

 美咲ぃ~、最近見て思うんだけどさ、言っても怒んない?

 うん、怒んない、何よ?

 あのさ、美咲、吉川君だけじゃなくて、男子、避けてない?
 全く、男子と喋らないもんね!

 そうかなぁー、あまり気にしてはないけど…

 あのさぁ、美咲、吉川君のは、貰い事故だよ。引き摺ったら駄目だからね!

(…あんたが種撒いたじゃん…)

 それとさ、誰か好きな人、居るんじゃないの?
 吉川君が、言ってたよ。
 美咲には好きな人がいるって!

 (…最低だなデビルマン、口も軽いわ…)

 あれはね、デビルマンを葬る口実なわけ!

 なんだぁー、そっか!
 じゃぁ、早く彼氏作んないとね!

 (…完全に上から目線だな…)

 うん

(…茂樹君とお祭り行きたいよなぁ…、無理だもんなぁ…)

~~~~~~~~~~~~~~~
【祭り初日】

 美咲、バイバイ、私、ちょっと早く帰るから、浴衣、着ないといけないから、先帰るねぇ~

 うん、楽しんでね…

(…皆んなお祭りかぁ~…)

 美咲!

 茂樹君!

 お祭り行くのか?

 行かないよ!

 そしたら、こっちにおいで!

 えっ、何処行くの?

 皆んなと反対方向だよ!

 反対方向?

 森の中さ、落ち着くよ!

 うん!

 運動場の裏山、静かな所、見つけたんだ。

 行く、行く!

 よし、付いておいで。

 うん!

『そこは、墓地公園の裏山、少し怖かったけど、皆んなお祭りで、誰一人、姿がありませんでした。
 そして、墓地から階段を登り、その中段に大きな楠木がありました。』

 うわぁ、茂樹君、凄い、簡単に登っちゃうんだ!

 よし、美咲、手をかしてごらん!

(…あの時、病院で握った茂樹君の手の温かみ…)

 ヨイショっと、大丈夫か?

 うん!大きな枝だね。

 うん、俺ね、よく授業サボって、この枝の上で煙草吸いながら寝てるんだ。

 茂樹君、駄目だよ、授業サボったら!

 うん!もう、しないよ!

 見てご覧、街が綺麗に見えるだろう!

 うん!凄い~、綺麗だよ~、あれ、神社、お祭りの灯りかなぁ~

 そうだよ!祭り一緒に行くより、ここの方が、美咲と一緒に居れると思ってね。

 うん!ここが好き!茂樹君が好き!

 こっちにおいで、俺の胸に顔寄せてご覧、美咲を抱き寄せたいんだ。

 うん!こぉ?

 うん、そうそう、しっかり抱き寄せてあげるからね。

 うん、なんか、安心するねぇ~

 うん、安心する。

 2人だけだもんね!

 邪魔者は誰も居ないさ!

 本当、茂樹君の胸、安心するよ。

 俺もだ!美咲の柔らかい身体、抱き寄せると、気持ちいい、安心するよ。

 眠たくなるね。

 寝ても良いよ、俺がしっかり、抱き寄せてあげてるから、ゆっくり寝なよ。

 うん!

 2人だけの世界、他に誰も居なくても、寂しくないかもな。

 寂しくない。森と鳥の囀りと風の匂い、こんなに静かなのに、全然、寂しくないよ。茂樹君が居ればそれで良いよ!

 ありがとう美咲、俺もさ、お前だけ居れば、何も寂しくない!
 何も怖くない…

 (…茂樹君、私が居るからね…、私が茂樹君、守ってあげる、だからね、私を守ってください…)

 ちょうど、真っ赤な真夏の太陽が海の彼方に半分入り込み、やっと我々の時間が来たかのように東の空に一番星と月がその存在をアピールし出した。

 森に差し込む光は、赤色から黄色になり、やがて、青色から鮮やかな黒色に変わっていった。
 闇夜がこんなに綺麗だなんて…

    そして、2人は同じ願いを心に唱えていた。

…このまま、時が止まれば良いのにと…
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