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第5章 奇跡のあと
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私は泣きながらも、こんなに嬉しいことはない。私と理は見つめあって、どちらからともなく唇を重ねた。私にとっても、今日は本当に幸せな日になった。
坂井さんとやっと両想いになって、こうして肌を重ねることができた。同じ日に、萌梨も幸せな日の始まりになる。
これから、一緒に今日のこの日をお祝いしようね。
*
翌日。
私と坂井さんは早く目を覚ましたので、すぐに静岡のメンタルケアセンターに向かった。滋も、朝一で東京を出て、こっちに向かっているらしい。萌梨の部屋の前で、私は坂井さんと顔を見合わせて微笑むと、私は部屋のドアをスライドして開けた。
でも、部屋の中は想像していたような幸せに満ち溢れている光景とは打って変わって、そこにいるみんなが泣いていた。
「え、なに?」
凍りついたような、冷たい空気。美夜と祐さんは泣き崩れて、床に膝を付けて抱き合っていて、圭太くんも一人で窓際で蹲り、声を上げて泣き喚いている。
私と坂井さんはゆっくりと部屋の奥に入り、ベッドの上の萌梨を見つめた。萌梨はベッドの上に仰向けになって、目を閉じて穏やかな表情で青白くなっていた。頬の柔らかさなど、触らなくとも分かるくらい、硬直している。
「ど、どういう、こと!?」
私が愕然として言うと、坂井さんも言葉を失くして私の後ろに立って、私の肩を掴んだ。祐さんは顔を上げて私を見ると、その瞳にまた涙が溢れて俯いてしまった。
坂井さんとやっと両想いになって、こうして肌を重ねることができた。同じ日に、萌梨も幸せな日の始まりになる。
これから、一緒に今日のこの日をお祝いしようね。
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翌日。
私と坂井さんは早く目を覚ましたので、すぐに静岡のメンタルケアセンターに向かった。滋も、朝一で東京を出て、こっちに向かっているらしい。萌梨の部屋の前で、私は坂井さんと顔を見合わせて微笑むと、私は部屋のドアをスライドして開けた。
でも、部屋の中は想像していたような幸せに満ち溢れている光景とは打って変わって、そこにいるみんなが泣いていた。
「え、なに?」
凍りついたような、冷たい空気。美夜と祐さんは泣き崩れて、床に膝を付けて抱き合っていて、圭太くんも一人で窓際で蹲り、声を上げて泣き喚いている。
私と坂井さんはゆっくりと部屋の奥に入り、ベッドの上の萌梨を見つめた。萌梨はベッドの上に仰向けになって、目を閉じて穏やかな表情で青白くなっていた。頬の柔らかさなど、触らなくとも分かるくらい、硬直している。
「ど、どういう、こと!?」
私が愕然として言うと、坂井さんも言葉を失くして私の後ろに立って、私の肩を掴んだ。祐さんは顔を上げて私を見ると、その瞳にまた涙が溢れて俯いてしまった。
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