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第8章 さよならの予感
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離れたくないのに。
まだこんなに、あなたが好きなのに。
たくさん思い浮かぶのに、何も言葉にすることは出来なかった。出てくるのは、涙ばかり。涙なんか、余計、理は引くよね。
「雪子。俺も」
「え?」
「こんなに人を好きになったのは、初めてだったんだよ。これでもね…」
「理…」
理はゆっくりと私の腕を解くと、振り向いて私を見つめた。顔を近づけてきて、唇があと少しで触れる瞬間…、理は動きを止めてきつく目を閉じると、私にまたすぐ背中を向けて、やがて病室を出て行った。
私はその場で蹲って、顔をくしゃくしゃにして子供みたいに泣きじゃくってしまった。両手に顔を伏せて、声を上げて、悲しくて堪らなかった。
「やだよぉ、理っっ!!」
そうして。
私と理は別れた。
彼は私の前から、姿を消した。
あの部屋にも、どこにも、いない。
あの警察署にも、いない。
理は、私の前から完全に姿を消してしまった。
こんな風に私の前から逃げたのは、2回目だよ、理。
まだこんなに、あなたが好きなのに。
たくさん思い浮かぶのに、何も言葉にすることは出来なかった。出てくるのは、涙ばかり。涙なんか、余計、理は引くよね。
「雪子。俺も」
「え?」
「こんなに人を好きになったのは、初めてだったんだよ。これでもね…」
「理…」
理はゆっくりと私の腕を解くと、振り向いて私を見つめた。顔を近づけてきて、唇があと少しで触れる瞬間…、理は動きを止めてきつく目を閉じると、私にまたすぐ背中を向けて、やがて病室を出て行った。
私はその場で蹲って、顔をくしゃくしゃにして子供みたいに泣きじゃくってしまった。両手に顔を伏せて、声を上げて、悲しくて堪らなかった。
「やだよぉ、理っっ!!」
そうして。
私と理は別れた。
彼は私の前から、姿を消した。
あの部屋にも、どこにも、いない。
あの警察署にも、いない。
理は、私の前から完全に姿を消してしまった。
こんな風に私の前から逃げたのは、2回目だよ、理。
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