君につづく道〜禁断の13〜

びぅむ

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第10章 歪んだ愛は狂喜

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理が来てる。灰みたいになったとか言ってたけど、さっき会った時、顔色が確かに良くなかった。どこにいるんだろう。私はため息をつきながらパソコンのキーボードを叩いていると、ふいにみんながザワザワし始めた。

「ん?」

私は辺りを見て、

「なに?どうしたの?」

と言うと、千春さんが私の後ろを指さした。

「え?」

「後ろに、なんか顔色悪いへんな刑事が…」

千春さんが言いかけると、理が私の真後ろに立っていて、肩の横から顔を突き出して来て、

「ふぅん。ブラインドタッチ、すごいね。早いね」

と感心しながら言うと、私はドキッとして理を見つめた。

「おさ……、坂井さん…?!」

「入力早いなら、ちょっと、手伝ってもらいたいんだけど。報告書、ここでやった方が早いだろうし」

「え?」

「だめ?こんな俺じゃ嫌われても当然だし、いや、そもそも嫌われてるのも分かってるから、こんなこと頼まれても迷惑だよね。うん。迷惑だね。じゃ、他の女の子に…」

理は、一人で言って一人で突っ込んで、やっぱり凄く元気がない。

「隣のキミ…」

理は千春さんの方を見て言うと、千春さんはパッと顔を上げて、

「は、はい!」

と咄嗟に返事をすると、私は理を見つめて身を乗り出して、

「私がやりますから」

と強く言って立ち上がった。

理はちょっと嬉しそうに微笑んだ、かと思うと、我に返って、寂しそうに少しだけ目を伏せた。

ほ、本当にヘタレってる…。
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