君につづく道〜禁断の13〜

びぅむ

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第12章 聖なる夜

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千春さんが明るく笑って言うと、私は壁に掛けてあるコートを取りに行くと、そこに理が入ってきた。他の社員たちや千春さんも驚いて理を見て、

「あれ?坂井さん、まだいたんですか?お疲れ様です」

「どうしたんですか?調べ物、難航してますか?」

と係長と千春さんも驚いて理を見て言うと、私も理を見つめていた。

レストランのある駅前で待ち合わせだったのに、こんなとこにいるなんて。そう思いながら、私はとりあえず自分のコートを取ると、

「迎えにきたぞ、雪子」

と言いながら理は私のそばに歩み寄ってきて、コートを私の腕から取りあげると、

「ほら、腕」

と言って私の後ろでコートを広げてくれた。

え?何してんの?理…。

みんなも、ザワッとして驚いて私たちを見つめている。

「え?雪子さん?」

よく分からないうちに、とりあえずコートに袖を通して羽織ると、理は私の肩を掴んで振り向かせ、コートの前のボタンをかけてくれた。いや、家では確かに理がやってくれてるけど。ここ、会社…!

「ちょ、ちょっと、理。みんな見てる」

「は?別に。社内恋愛でもないし」

そ、それは…確かに…そうなんですけど。そ、そういう話ではなくて……。

私はドキドキして固まっていると、理は私の肩を抱いてみんなを見回した。
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