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第二章 愛する人
24.エレナのヒント
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「もっとメリハリを付けなさいっ!もっと早く魔法を展開出来なきゃ私に勝つなんて出来ないわよ!もっとよ!そんなに使い過ぎると魔力がすぐに無くなるっ、メリハリ大事って言ってるでしょ!ほら、魔力だけじゃなく周りもよく見る!どれか一つ出来ても駄目なのよぉ?全て同時に、効率良くやれなきゃ強くなんてなれないわぁ」
朝からトップギアでしごかれる俺は、外に置かれた日除け付きテーブルでお茶を飲んでいる仲睦まじき二人の老人の良いお茶請けとなっていた。
「のぉルミア、ユリアーネはチト厳しすぎないか?そんなにいきなりいっぺんに言われても、いくらレイとてついて行けぬのではないか?」
師匠の肩にもたれ掛かるように手を置くと耳に息を吹きかける勢いで口を寄せ、これ見よがしに視線を送りながら耳打ちをする。
「ベッドの中では責められっぱなしだから、こういう時に責め返すんだそうよ。バランスって大事でしょ?あの子達なりのやり方みたいよ。ねぇ、わたしはいつ責められるのかしら?」
「んん~?今からかの~ぉ?」
一つになってしまったかのようにベッタリとくっついて部屋に戻って行く二人、それを横目に見ながらユリアーネに言われた事を必死にこなす──エロ老人共め!聞こえてるっつぅのっ!
魔法を割る練習を挟みつつユリアーネの指導のもと身体強化のコントロールの訓練を重ねた。魔力のコントロールは慣れたもので経験を重ねる毎に上手くなっている実感はある。
しかし問題は魔法の分割だ。ユリアーネに炎を貰い睨めっこする時間だけが過ぎて行くが一向に進歩が無い。ユリアーネも隣で一緒になって練習しているが、卓越した力を持つ彼女でも難しいようでまだ出来ていない。ルミアはあんなにも簡単にやってのけたのに……だ。
焦っても出来るようにはならない、それくらいは理解しているつもりなのでなるべく気張らないようにやっているつもりだ。
俺の心境を察してユリアーネも一緒に練習してくれてるんだろう事は考えるまでもなく、感謝の気持ちが増えすぎてチューしたくなるほど。愛だな、愛。
「レイさ~ん、ユリ姐さ~ん、ご飯出来たよぉ」
木陰で炎と睨めっこしていれば白い耳を靡かせたエレナが宙を舞い俺達を呼びに来てくれた──もうそんな時間か。
「冷めないうちに食べちゃいましょうっ。今日はミートソースのパスタだよ。先生が作り方教えてくれたから作ってみたのっ、自信作なのっ!早く早くぅっ」
空中に浮いたまま俺の手を引き家に向かい引っ張って行く、もう殆ど完璧に空を飛べるようになったな。エレナも努力してるんだ、俺も頑張らないとな。取り敢えず今は飯だ、飯食ってまた昼から頑張ろう。
「わかった、行くから引っ張るなよ」
「いっくよぉっ!」
反対の手を引き走り出したユリアーネ、楽しそうな二人に釣られて笑顔になると、そのまま三人でリビングまで向かった。
「美味しいでしょ?ねぇ美味しいよね?うふふっ、おかわりあるからいっぱい食べてね!」
嬉しい感情を物語るようにフワフワと揺れる長い耳。「美味いよ」と言えば満面の笑みを浮かべてテーブルに身を乗り出し、両手で頬杖を突きながら俺達が食べるのを嬉しそうに見ている──近いって!ソース飛んでも知らないぞ?
でもそんな顔されるとこっちまで嬉しくなってきちゃうな。
「エレナ、料理も上手になったけど魔法の方も凄く自然に使えるようになってたな、凄いよ」
「えへへっ。良い妻になる為、日々努力しておりますぅ~。そろそろ私も奥さんにする気になりました?わたしの料理無しでは生きられない体になってると思うんですけど……ね~ぇ?」
いやいや、エレナの料理、美味しいよ?そりゃ、毎日美味しい料理作ってくれる事には感謝してるけど、それと嫁とはまた別問題だしっ!既に嫁の席は埋まってるしっ!
料理も褒めたけど聞いて欲しかったのは魔法の方なんだけどなぁ……。
思い出したかのようにデカンタを持ってきてワインをグラスに注いでくれる。その様子をもぐもぐしながら見ていた時、俺の中で ピンッ と閃くモノがあった。
「!!」
思わず音を立てて立ち上がる俺を不思議そうな顔して見つめるエレナとユリアーネ。しかし食事中だと思い出してすごすごと座り直す。
「ごめん、エレナのお陰でちょっと思い浮かんだ事があったんだ。ご飯食べ終わったらやってみるよ」
ソファーに移動すれば俺を挟んで両側に腰を下ろす二人。ユリアーネに二つの炎を貰い両手に一つずつ浮かべると、右手の炎の魔力を左手の炎に移そうと試みる。炎の中の魔力をそれぞれ調整して大きさを変えるのではなく、使ってる魔力は一定を保ったまま炎の魔力を右から左に移動させて二つの大きさを変えるのだ。
いきなり分割する事が困難でも “魔力を移動させる練習” という段階を踏む作戦だ。
やってみると出来なくはない、ゆっくりだが左右の炎が大きくなったり小さくなったりする。たぶん身体強化の魔力コントロールに似ていたから割とすんなり出来たんだと思う。
その後はスムーズに魔力移動が出来るよう練習を重ねて数日後、一つの炎の中で右側と左側とに魔力を振り分けて行けば、双子山のような形をとる炎が離れてそれぞれ独立した炎となる。
「ユリアーネ!出来たよっ、やっと出来た!」
「うんうん、おめでとぉ~。頑張ってたもんねぇ」
「これでまた一つ、戦い方の幅が広がるな。なぁ、俺、頑張ったろ?ご褒美なんてないのかなぁ?」
ニヤつく俺の顔を見て察したのか「え?」と言いつつも頬が赤くなるユリアーネ。「しょうがないなぁ」と嬉しそうに言いつつ俺にキスをすると、そのままベッドに押し倒された。
朝からトップギアでしごかれる俺は、外に置かれた日除け付きテーブルでお茶を飲んでいる仲睦まじき二人の老人の良いお茶請けとなっていた。
「のぉルミア、ユリアーネはチト厳しすぎないか?そんなにいきなりいっぺんに言われても、いくらレイとてついて行けぬのではないか?」
師匠の肩にもたれ掛かるように手を置くと耳に息を吹きかける勢いで口を寄せ、これ見よがしに視線を送りながら耳打ちをする。
「ベッドの中では責められっぱなしだから、こういう時に責め返すんだそうよ。バランスって大事でしょ?あの子達なりのやり方みたいよ。ねぇ、わたしはいつ責められるのかしら?」
「んん~?今からかの~ぉ?」
一つになってしまったかのようにベッタリとくっついて部屋に戻って行く二人、それを横目に見ながらユリアーネに言われた事を必死にこなす──エロ老人共め!聞こえてるっつぅのっ!
魔法を割る練習を挟みつつユリアーネの指導のもと身体強化のコントロールの訓練を重ねた。魔力のコントロールは慣れたもので経験を重ねる毎に上手くなっている実感はある。
しかし問題は魔法の分割だ。ユリアーネに炎を貰い睨めっこする時間だけが過ぎて行くが一向に進歩が無い。ユリアーネも隣で一緒になって練習しているが、卓越した力を持つ彼女でも難しいようでまだ出来ていない。ルミアはあんなにも簡単にやってのけたのに……だ。
焦っても出来るようにはならない、それくらいは理解しているつもりなのでなるべく気張らないようにやっているつもりだ。
俺の心境を察してユリアーネも一緒に練習してくれてるんだろう事は考えるまでもなく、感謝の気持ちが増えすぎてチューしたくなるほど。愛だな、愛。
「レイさ~ん、ユリ姐さ~ん、ご飯出来たよぉ」
木陰で炎と睨めっこしていれば白い耳を靡かせたエレナが宙を舞い俺達を呼びに来てくれた──もうそんな時間か。
「冷めないうちに食べちゃいましょうっ。今日はミートソースのパスタだよ。先生が作り方教えてくれたから作ってみたのっ、自信作なのっ!早く早くぅっ」
空中に浮いたまま俺の手を引き家に向かい引っ張って行く、もう殆ど完璧に空を飛べるようになったな。エレナも努力してるんだ、俺も頑張らないとな。取り敢えず今は飯だ、飯食ってまた昼から頑張ろう。
「わかった、行くから引っ張るなよ」
「いっくよぉっ!」
反対の手を引き走り出したユリアーネ、楽しそうな二人に釣られて笑顔になると、そのまま三人でリビングまで向かった。
「美味しいでしょ?ねぇ美味しいよね?うふふっ、おかわりあるからいっぱい食べてね!」
嬉しい感情を物語るようにフワフワと揺れる長い耳。「美味いよ」と言えば満面の笑みを浮かべてテーブルに身を乗り出し、両手で頬杖を突きながら俺達が食べるのを嬉しそうに見ている──近いって!ソース飛んでも知らないぞ?
でもそんな顔されるとこっちまで嬉しくなってきちゃうな。
「エレナ、料理も上手になったけど魔法の方も凄く自然に使えるようになってたな、凄いよ」
「えへへっ。良い妻になる為、日々努力しておりますぅ~。そろそろ私も奥さんにする気になりました?わたしの料理無しでは生きられない体になってると思うんですけど……ね~ぇ?」
いやいや、エレナの料理、美味しいよ?そりゃ、毎日美味しい料理作ってくれる事には感謝してるけど、それと嫁とはまた別問題だしっ!既に嫁の席は埋まってるしっ!
料理も褒めたけど聞いて欲しかったのは魔法の方なんだけどなぁ……。
思い出したかのようにデカンタを持ってきてワインをグラスに注いでくれる。その様子をもぐもぐしながら見ていた時、俺の中で ピンッ と閃くモノがあった。
「!!」
思わず音を立てて立ち上がる俺を不思議そうな顔して見つめるエレナとユリアーネ。しかし食事中だと思い出してすごすごと座り直す。
「ごめん、エレナのお陰でちょっと思い浮かんだ事があったんだ。ご飯食べ終わったらやってみるよ」
ソファーに移動すれば俺を挟んで両側に腰を下ろす二人。ユリアーネに二つの炎を貰い両手に一つずつ浮かべると、右手の炎の魔力を左手の炎に移そうと試みる。炎の中の魔力をそれぞれ調整して大きさを変えるのではなく、使ってる魔力は一定を保ったまま炎の魔力を右から左に移動させて二つの大きさを変えるのだ。
いきなり分割する事が困難でも “魔力を移動させる練習” という段階を踏む作戦だ。
やってみると出来なくはない、ゆっくりだが左右の炎が大きくなったり小さくなったりする。たぶん身体強化の魔力コントロールに似ていたから割とすんなり出来たんだと思う。
その後はスムーズに魔力移動が出来るよう練習を重ねて数日後、一つの炎の中で右側と左側とに魔力を振り分けて行けば、双子山のような形をとる炎が離れてそれぞれ独立した炎となる。
「ユリアーネ!出来たよっ、やっと出来た!」
「うんうん、おめでとぉ~。頑張ってたもんねぇ」
「これでまた一つ、戦い方の幅が広がるな。なぁ、俺、頑張ったろ?ご褒美なんてないのかなぁ?」
ニヤつく俺の顔を見て察したのか「え?」と言いつつも頬が赤くなるユリアーネ。「しょうがないなぁ」と嬉しそうに言いつつ俺にキスをすると、そのままベッドに押し倒された。
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