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第二章 奇跡の光
2-11.皇子の示した獣人国の向かう先
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「国の中枢が無くなるってことは、大海原で船の舵輪を無くすのと同義だ。この意味は分かるか?」
「ええ、勿論です。ですから全騎士と衛兵達を総動員して……」
「周りに島もなければ進む事さえままならない。それはつまり、残された水と食料だけで飢えを凌がなきゃならない状況が確実にやってくるってことだ。そんな状況で良くこんな贅沢なお茶会を開けるよな。
それとも何か?国民に我慢を強いて自分達だけは今まで通りの生活を送ろうってか?」
「お前!!」
「それ以上口を開くなら退席させますよ?キリク」
「クッ!!」
二度目の警告に退席はかなわないと、拳を握りしめたキリクは憎しみの篭った目でレーンを睨みつける。
しかし当のレーンはカトレアーヌを見たまま気にも留めない。それがまた気に入らなくてキリクの怒りは憎悪と化していく。
「レーンさん、貴方の言いたいことは分かります。しかし私達は実際に遭難した訳でもなければ、食料を供給する畑や家畜を失った訳でもありません」
「口先だけで何も分かっちゃいねぇよ、お姫さん」
「……なんですって?」
人間の生活圏とは離れており、さしたる争いもなく平和が続いていた獣人の国【ルピナウス】。その国の王女として育てられたカトレアーヌにはこの生活が普通であり、過度な食べ物を提供している訳でもない今を贅沢だと言われても何がおかしいのか理解できないでいる。
「非常時につき騎士達を総動員していると言ったな?」
「はい。国の中枢機関をいち早く立ち直らせるためには王城並びに王宮の……」
「国の復興には王城が不可欠だと?」
「国を導くのは王の務め。その王が居るべき場所こそが王城なのです。ですから……」
「ハッ!城なんぞただのお立ち台だ、指揮を取るだけならその辺の木箱に立てば良い」
「なっ!?」
「百歩譲って王城が必要だとしよう。それに全力を注ぐと言ったアンタだが、何故ここに居る?
人手が足りない、でも早く復旧したい。ならばアンタが現場に立ち、指揮を取るのがリーダーって奴の役目じゃないのか?」
「それはっ!」
「名前だけの王様のことを誰が敬う?今アンタの側に居るだけの貴族連中など十中八九、混乱したこの国で権力を握りたいだけの胡麻擦りクソ野郎しか居やしない。
何故なら、他にやるべき事があるのにくだらない瓦礫の片付けが終わらないとそちらに全力が注げないように頭の悪い指導者が命令を下したからだ。本当に国のために動いている奴らは四苦八苦して事態の収拾に躍起になり、こんな場所になど居られる筈がないんだよ」
「何も手伝える事のない現場に行け、と?」
「ホントあったま悪りぃな、お前。 可愛い王女様なんてなぁ、何もせずとも現場で愛想振りまいてるだけでも仕事に従事する連中には活力になるんだよっ。そんで一声でもかけてみろ。飛び跳ねて喜び、何倍もの仕事をするだろうさ。
自分の持てる能力くらい把握しやがれってんだ、ばーか」
「で、では今すぐにでも……」
「待て馬鹿っ、本題はそこじゃねぇ」
「ばっ、ばか!? それも二度も……」
「頭が悪い奴には何度だって言ってやる。それとも、言って欲しくてわざと仕向けているのか?」
「そんな……違いますっ!!」
「なら、その無い頭を使って考えろ。 お前はお前の考えに従い行動を起こしている。やり方は間違っているが、それでも国のために良かれと思い、率先して先頭に立ったのだろう?
だが一番目立つところに梃子を入れるのがお前のやるべきことか?」
「一番目立つのは王城。じゃあ目立たないのは……町の建物?」
「そうだ、考えりゃ分かるだろ? 王城や王宮に居た人間なんか、あの爆発から考えても既に死んでいる。それはお前自身が口にした事だろう?
だったら、そんな無駄なことに労力を注ぐ前に、他で被害に遭って困ってる奴、助けを求めている奴等に手を差し伸べるのが王様って奴の仕事じゃないのか?」
「そ、そうです!その通りですっ!なんで私は今までそんな簡単なことに気付かなかったの!?
メリー!今すぐ騎士団長を呼んで……いいえ、違うっ!すぐに王城跡へと向かいますから馬車の手配をっ!」
突然起こった王城の破壊、それは彼女の両親や多くの兄妹を奪い去る出来事。
──肉親の死
そんな事実を突きつけられ、一縷の希望を胸に救出作業に当たっていたとて誰が文句を言うことが出来よう。いくら平静を装おうとも所詮は若い娘、家族を持つ “一人の人” であることに変わりがないのだ。
だがそれは、いくら平穏を生きてきたからといっても国を導く王族たるカトレアーヌに許されることではなかった。
持てる権力を私的に使う、指導者たる立場の人間が一番やってはならない行動だとレーンは考える。だからこそ、我慢がならず説教じみたことをしてしまったと、彼女の背中を見ながら少しばかりの後悔する。
なぜならレーンは、その役目を放棄して利己的な生き方を手に入れようとしているからだ。
「あっ、姉上っ!」
呪縛が解かれたかのように慌ただしく駆け出したカトレアーヌはキリクの呼びかけなど耳に入らない様子で飛び出して行った。
残されたキリクはより一層の憎悪滾る目をレーンへと向ける。
「!!」
しかし意外なことに、まともに向けられもしなかった宝石のような碧い瞳が自分を見ており、なぜか悪いことでもしたかのように背徳感に襲われた。
「おい、クソガキ」
「なにぃ!?」
奥歯を噛み締め視線を逸らしたのも束の間、呼ばれた事のない下衆な呼びかけが自分に向けられたものと反射的に悟り、再び視線を向けることとなる。
「お前はいずれ王となるのか?」
「王とは男の仕事だっ! 今はまだ力が足りなくカトレアーヌ姉上に責務を肩代わりさせてしまっているが、父上の跡を継ぎ【ルピナウス】の民を導くのは僕の仕事だ!」
「気概だけは立派だが、それで成れるほど王様ってヤツは簡単なものじゃねぇぞ?」
「うるさいっ!!お前なんかに何が分かる!」
「分かるさ、今のお前がどれだけお勉強を頑張ろうともまともな王になどなりゃしない。つまり、この国の未来が真っ暗だってことはお前が実際になってみるまでもなく想像がつく」
「なにぃっっ!?」
「ほら、そういうところがダメだっつってんだよ」
「……どういうことだ?」
「これから頑張る、なんて口では簡単に言える。けど、お前も理解している通り、王様ってやつは誰しもが簡単に務められる立場じゃないってことさ」
「…………」
「お前は選ばれし王族なんだろ?王様になる第一条件である人としての器は与えられているはずだぞ?
しかし、ただ与えられた物に胡座を掻くだけじゃ、まともな王になどなれるはずがない」
苦い表情は崩さないものの、俯いてしまったキリクは口を一文字に閉じて言葉を発しなくなった。
「……じゃあ、どうすればいいんだよ」
「クククッ、そう、それで良いんだ。 もし本気で王様をやるんだと意気込むのなら、嫌いな相手だろうが、例え親の仇だろうが、どんな奴からでも自分が成長する糧を得ろ。
確かに卓上の勉強も大事なのかも知れない。けどな、最も大事なのはお前自身が親から貰った器をどれだけ拡げられるかなんだよ。全てを許し、全てを受け入れる。国民全ての受け皿となってやれるような大きな器をお前の心に作ってやれ。
そのために必要なのは他人との関わりだ。貴族や大商人も大事だが、お前を護る騎士や身の回りの世話をしてくれる宮仕え達。コックに庭師、教師やその他大勢の職人、お前が出会う全ての者と交流を持ち、その考え方を吸収しろ。そうすれば自ずとお前は王様に相応しいデカい男に育っているはずだ」
浴びせられた言葉を噛み砕くよう、俯いた姿勢のまま目を瞑り動きを見せないキリクへと近寄るレーン。
肩に置かれた手の力強さに驚き顔をあげたキリクだが、レーンの視線はカトレアーヌが出て行った扉へと向いていた。
「先ずは姉ぇちゃんの尻を付け回せ。そうすりゃ自ずと多くの人と関わることになるし、何かしらの手助けができるカモ知れねぇ。
姉ぇちゃんのこと、好きなんだろ?」
少しだけ口の端を吊り上げたレーンが横目でキリクの事を見る。
それに応えて力強く頷いた十二歳の少年は、憑き物が落ちたかのような晴々とした笑顔。
「あばよ、クソガキ。後悔しねぇように全力で生きろ」
ポンポンと二度肩を叩いたレーンは振り返りもせず部屋から出て行こうとする。
それを追いかけるディアナとグルカも同じように少年の肩を叩き、身分差に遠慮したルイスと我関せずのニナが挨拶がわりに軽く手を上げ退室して行った。
「姉上のこと、【ルピナウス】のこと、お前に任せたぞ?」
「はい、ご無事に行ってらっしゃいませ、シェリラルル姉上。お早いお帰りを……」
クシャリと髪を一撫でしたシェリルもまた、侍従であるカーヤと彼女専属となる旨を伝えたノルンを引き連れ部屋を出て行った。
「トール、カトレアーヌ姉上を追う。馬車の手配を頼む」
残されたキリクはカップを煽り、冷めてしまった紅茶を飲み干し大きなため息を吐く。
「姉上と二人きり……か」
キリクには分かっていた。レーン達に付いてエルフの国【レユニョレ】に向かうと告げたシェリルがもうここには戻らぬつもりだという事を。
「ええ、勿論です。ですから全騎士と衛兵達を総動員して……」
「周りに島もなければ進む事さえままならない。それはつまり、残された水と食料だけで飢えを凌がなきゃならない状況が確実にやってくるってことだ。そんな状況で良くこんな贅沢なお茶会を開けるよな。
それとも何か?国民に我慢を強いて自分達だけは今まで通りの生活を送ろうってか?」
「お前!!」
「それ以上口を開くなら退席させますよ?キリク」
「クッ!!」
二度目の警告に退席はかなわないと、拳を握りしめたキリクは憎しみの篭った目でレーンを睨みつける。
しかし当のレーンはカトレアーヌを見たまま気にも留めない。それがまた気に入らなくてキリクの怒りは憎悪と化していく。
「レーンさん、貴方の言いたいことは分かります。しかし私達は実際に遭難した訳でもなければ、食料を供給する畑や家畜を失った訳でもありません」
「口先だけで何も分かっちゃいねぇよ、お姫さん」
「……なんですって?」
人間の生活圏とは離れており、さしたる争いもなく平和が続いていた獣人の国【ルピナウス】。その国の王女として育てられたカトレアーヌにはこの生活が普通であり、過度な食べ物を提供している訳でもない今を贅沢だと言われても何がおかしいのか理解できないでいる。
「非常時につき騎士達を総動員していると言ったな?」
「はい。国の中枢機関をいち早く立ち直らせるためには王城並びに王宮の……」
「国の復興には王城が不可欠だと?」
「国を導くのは王の務め。その王が居るべき場所こそが王城なのです。ですから……」
「ハッ!城なんぞただのお立ち台だ、指揮を取るだけならその辺の木箱に立てば良い」
「なっ!?」
「百歩譲って王城が必要だとしよう。それに全力を注ぐと言ったアンタだが、何故ここに居る?
人手が足りない、でも早く復旧したい。ならばアンタが現場に立ち、指揮を取るのがリーダーって奴の役目じゃないのか?」
「それはっ!」
「名前だけの王様のことを誰が敬う?今アンタの側に居るだけの貴族連中など十中八九、混乱したこの国で権力を握りたいだけの胡麻擦りクソ野郎しか居やしない。
何故なら、他にやるべき事があるのにくだらない瓦礫の片付けが終わらないとそちらに全力が注げないように頭の悪い指導者が命令を下したからだ。本当に国のために動いている奴らは四苦八苦して事態の収拾に躍起になり、こんな場所になど居られる筈がないんだよ」
「何も手伝える事のない現場に行け、と?」
「ホントあったま悪りぃな、お前。 可愛い王女様なんてなぁ、何もせずとも現場で愛想振りまいてるだけでも仕事に従事する連中には活力になるんだよっ。そんで一声でもかけてみろ。飛び跳ねて喜び、何倍もの仕事をするだろうさ。
自分の持てる能力くらい把握しやがれってんだ、ばーか」
「で、では今すぐにでも……」
「待て馬鹿っ、本題はそこじゃねぇ」
「ばっ、ばか!? それも二度も……」
「頭が悪い奴には何度だって言ってやる。それとも、言って欲しくてわざと仕向けているのか?」
「そんな……違いますっ!!」
「なら、その無い頭を使って考えろ。 お前はお前の考えに従い行動を起こしている。やり方は間違っているが、それでも国のために良かれと思い、率先して先頭に立ったのだろう?
だが一番目立つところに梃子を入れるのがお前のやるべきことか?」
「一番目立つのは王城。じゃあ目立たないのは……町の建物?」
「そうだ、考えりゃ分かるだろ? 王城や王宮に居た人間なんか、あの爆発から考えても既に死んでいる。それはお前自身が口にした事だろう?
だったら、そんな無駄なことに労力を注ぐ前に、他で被害に遭って困ってる奴、助けを求めている奴等に手を差し伸べるのが王様って奴の仕事じゃないのか?」
「そ、そうです!その通りですっ!なんで私は今までそんな簡単なことに気付かなかったの!?
メリー!今すぐ騎士団長を呼んで……いいえ、違うっ!すぐに王城跡へと向かいますから馬車の手配をっ!」
突然起こった王城の破壊、それは彼女の両親や多くの兄妹を奪い去る出来事。
──肉親の死
そんな事実を突きつけられ、一縷の希望を胸に救出作業に当たっていたとて誰が文句を言うことが出来よう。いくら平静を装おうとも所詮は若い娘、家族を持つ “一人の人” であることに変わりがないのだ。
だがそれは、いくら平穏を生きてきたからといっても国を導く王族たるカトレアーヌに許されることではなかった。
持てる権力を私的に使う、指導者たる立場の人間が一番やってはならない行動だとレーンは考える。だからこそ、我慢がならず説教じみたことをしてしまったと、彼女の背中を見ながら少しばかりの後悔する。
なぜならレーンは、その役目を放棄して利己的な生き方を手に入れようとしているからだ。
「あっ、姉上っ!」
呪縛が解かれたかのように慌ただしく駆け出したカトレアーヌはキリクの呼びかけなど耳に入らない様子で飛び出して行った。
残されたキリクはより一層の憎悪滾る目をレーンへと向ける。
「!!」
しかし意外なことに、まともに向けられもしなかった宝石のような碧い瞳が自分を見ており、なぜか悪いことでもしたかのように背徳感に襲われた。
「おい、クソガキ」
「なにぃ!?」
奥歯を噛み締め視線を逸らしたのも束の間、呼ばれた事のない下衆な呼びかけが自分に向けられたものと反射的に悟り、再び視線を向けることとなる。
「お前はいずれ王となるのか?」
「王とは男の仕事だっ! 今はまだ力が足りなくカトレアーヌ姉上に責務を肩代わりさせてしまっているが、父上の跡を継ぎ【ルピナウス】の民を導くのは僕の仕事だ!」
「気概だけは立派だが、それで成れるほど王様ってヤツは簡単なものじゃねぇぞ?」
「うるさいっ!!お前なんかに何が分かる!」
「分かるさ、今のお前がどれだけお勉強を頑張ろうともまともな王になどなりゃしない。つまり、この国の未来が真っ暗だってことはお前が実際になってみるまでもなく想像がつく」
「なにぃっっ!?」
「ほら、そういうところがダメだっつってんだよ」
「……どういうことだ?」
「これから頑張る、なんて口では簡単に言える。けど、お前も理解している通り、王様ってやつは誰しもが簡単に務められる立場じゃないってことさ」
「…………」
「お前は選ばれし王族なんだろ?王様になる第一条件である人としての器は与えられているはずだぞ?
しかし、ただ与えられた物に胡座を掻くだけじゃ、まともな王になどなれるはずがない」
苦い表情は崩さないものの、俯いてしまったキリクは口を一文字に閉じて言葉を発しなくなった。
「……じゃあ、どうすればいいんだよ」
「クククッ、そう、それで良いんだ。 もし本気で王様をやるんだと意気込むのなら、嫌いな相手だろうが、例え親の仇だろうが、どんな奴からでも自分が成長する糧を得ろ。
確かに卓上の勉強も大事なのかも知れない。けどな、最も大事なのはお前自身が親から貰った器をどれだけ拡げられるかなんだよ。全てを許し、全てを受け入れる。国民全ての受け皿となってやれるような大きな器をお前の心に作ってやれ。
そのために必要なのは他人との関わりだ。貴族や大商人も大事だが、お前を護る騎士や身の回りの世話をしてくれる宮仕え達。コックに庭師、教師やその他大勢の職人、お前が出会う全ての者と交流を持ち、その考え方を吸収しろ。そうすれば自ずとお前は王様に相応しいデカい男に育っているはずだ」
浴びせられた言葉を噛み砕くよう、俯いた姿勢のまま目を瞑り動きを見せないキリクへと近寄るレーン。
肩に置かれた手の力強さに驚き顔をあげたキリクだが、レーンの視線はカトレアーヌが出て行った扉へと向いていた。
「先ずは姉ぇちゃんの尻を付け回せ。そうすりゃ自ずと多くの人と関わることになるし、何かしらの手助けができるカモ知れねぇ。
姉ぇちゃんのこと、好きなんだろ?」
少しだけ口の端を吊り上げたレーンが横目でキリクの事を見る。
それに応えて力強く頷いた十二歳の少年は、憑き物が落ちたかのような晴々とした笑顔。
「あばよ、クソガキ。後悔しねぇように全力で生きろ」
ポンポンと二度肩を叩いたレーンは振り返りもせず部屋から出て行こうとする。
それを追いかけるディアナとグルカも同じように少年の肩を叩き、身分差に遠慮したルイスと我関せずのニナが挨拶がわりに軽く手を上げ退室して行った。
「姉上のこと、【ルピナウス】のこと、お前に任せたぞ?」
「はい、ご無事に行ってらっしゃいませ、シェリラルル姉上。お早いお帰りを……」
クシャリと髪を一撫でしたシェリルもまた、侍従であるカーヤと彼女専属となる旨を伝えたノルンを引き連れ部屋を出て行った。
「トール、カトレアーヌ姉上を追う。馬車の手配を頼む」
残されたキリクはカップを煽り、冷めてしまった紅茶を飲み干し大きなため息を吐く。
「姉上と二人きり……か」
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