勇者に捨てられた死霊術士~彼女が最強に這い戻るまで~

LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定

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第3章「帝国の賢者」

第9話「帝都攻防前哨戦(後編)」

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「な、何が起こった!」

 竜騎兵たちの副長は、ようやく集合の終わった兵を引き連れ、本隊を形成していた。

 その数、帝都中からかき集めた竜騎兵のほぼすべて───。

 なんと、100余騎の精鋭達だった。

「わ、わかりませんが……! み、みみ、見てください、アレを!!」

 若い竜騎兵に促されて視線を投げると、その方向では竜騎兵の先行50余騎が、何か鳥の様なものに追い回されている。

 深い青色をしたそれは、ともすれば海と混ざり──見失いそうになる。

「青い───怪鳥ガルダだと!?」

 帝国をはじめ、各国には、竜騎兵には劣るも、巨大な鳥を飼いならした航空部隊も存在する。

 それは、どちらかというと、南方諸島群やエルフ達が森で多用することが多いと言うが、帝国の平地でも多少ないし使っているものだ。

 だが、いずれにしても飛竜に敵うほどの脅威ではない───ないが……。

 ──ボォォォオオン……!

 本隊が見守る中、あっという間に兵長以下が空の滲みになった。

 ブチャァ……と、赤い血潮が撒き散らされていく。

「ば、ばかな!! 全滅! 全滅しただと?!」

 眼下で繰り広げられる空戦は、一方的かつあっという間に終了した。

 いや、空戦と言っていいのかどうか……。

 そうだ。
 あれは、ただの殲滅だ。

 ワナワナと震える手を握りしめた副長が、隷下の部隊に叫ぶ!

「くそ!! 全騎、聞けッ!」

 よく通る大声で副長は言った。
 彼に取れる選択肢は二つ。

 退くか
 征くか

 だが、当然ながら───。

「……我々は退かない! 見ろ! 敵は高度を失った───今こそ絶好の機会であるッ」

 そうだ。
 空を飛ぶものなら、何をおいても同じこと───。

 下から上に上がると言うのは、多大な労力がかかる。
 いかに、飛竜を圧倒した怪鳥といえど、それは同じこと。

「───我らは一丸となって、敵の発進基地を討つ! 続け、兵長の仇をとれぇぇえ!!」

「「「おう!!!」」」

 高所が有利。
 それは間違いない───。
 事実、副長の読みは正しいだろう。

 だが、
 だが!!

「目標!! 奥の4つの城だ!! 全騎一斉に攻撃開始」

「「「おぉう!!」」」


 そう。間違ってはいない───。
 だが、間違いだ。


 海上の4隻のノースカロライナ級が無防備に見えるのだろうか?
 ただ、ただ、火を噴き───肩を寄せ合う烏合の衆に見えるのだろうか?

「──突撃ぃぃいいい!!!!」

 副長は竜騎兵を引き連れ、ノースカロライナ級に一斉に襲い掛かった。

 上空からの急降下。

 そして、ドラゴンブレス───……。


 襲い掛かった?

 誰が何に?

 竜騎兵が4万トン級戦艦・・・・・・・に?



 逆だろう!!!!!!



 クゥィィィイイン……。

 ノースカロライナの備える高角砲と機銃群が、一斉に空を指向する。
 4隻合わせて、数百にのぼる対空砲が整然とした動きで飛竜たちを見上げていた。

 今か今かと時を待ち、
 ───連装5インチ高角砲が涎を垂らす。

 さぁ来いさぁ来いと手をこまねき、
 ───1.1インチ75口径機関砲が満面の笑みを浮かべる。

 やぁやぁヨロシクと、
 ───ブローニングM2、12.7mm機関銃が余裕綽々と手を差し伸べる。

 高性能の対空照準器は、とっくに彼らを捉えている。

 あとは待つだけ──────滅びの時を!

 そして、

「者ども───かか」
 れぇぇえ!! と言おうとしたときだ。


 ドォォォーーーォオオン……!


 あの副長が吹っ飛んだ。
 何の前触れもなく、一瞬で空に消えた。

 ちょっとした黒煙を残して────……。

「え?」
「あ?」
「ちょ……?!」

 出鼻をくじかれ、唖然とする竜騎兵100余騎───。

 次の瞬間。
 海上に火山が生まれた。

 比喩表現としてそれとしか言いようがない。

 ノースカロライナ級4隻。
 数百門の対空砲が一斉に砲撃を開始したのだ。


 ズズン!!
 ドガガガガガガガガガガン!!

 空に真っ黒な爆炎が花咲き───……。
 竜騎兵たちを押し包んだ。

 そして、あっという間に、間抜けで鈍い飛竜部隊は消滅した……。
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