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花と触手

食堂での会話・4

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「あの~、それらをね、どういう理由で選んだの?」
「テンタクルに見せようと思って!」
「えっ」

が、ミミックからの返答に、トレントは再び驚愕することになる。

「ぼくらの棲んでいるところは暗いので、あんまり色が濃すぎるとせっかくの色が目立たなくなっちゃうから、白い方がいいかなって。
あと、このピンク色はテンタクルに似てたから」
「ほっほあ……なるほど、二体ってそういう~……?」

ミミックが理由を詳しく説明している間、トレントの方はといえばしかめっ面で考え込んでいるようだった。
しばらくして顔を上げた彼女は、解決したらしく頭上の花にも負けぬ華やかな笑みを浮かべていた。

「そっか、そっか! そういうことならいいんだ~、誤解がなければなにも問題ないんだから」
「は、はあ……?」

つまりどういうこと……? とトレントの思考にまるでついていけていないミミックは困惑しきりだったが、やっぱりマイペースな彼女はミミックのリクエストした花を枝や茎ごとポキポキ折って真っ黒な手に握らせる。

「あ、渡す時はちゃんと『きみのことを考えて選んだんだ』って言うんだよ~」
「えと、はい、がんばります……?」

なぜかすっかり部屋に帰る流れとなってしまい、ミミックはトレントの満面の笑みに押されるがまま共有スペースを後にした。
食べ損ねたため持って帰ろうと花と共に握った果物を見て、またインキュバスが爆笑していた。
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