黒騎士爆走物語

序章

絡みつく触手。
無機質な機械腕とも言えるそれは、蛇腹状のコードを滑らかにくねらせては先端の複雑なアタッチメントを柔らかな対象へと突き立てる。
絡みつかれる身体。
一糸纏わぬ肢体は、皮肉にもその触手のおかげで局部を晒すことを回避できているが、激しい水音を放つそこがどんな仕打ちを受けているかは想像に難くない。
瑞々しい肌が粘液にまみれ、刺激を与えられては不規則に跳ねる。

一方で。
その光景を見ざるを得なかった首謀者は、卑猥な映像を流し続けるモニターへ拳を叩きつけた。
その目には涙さえ浮かんでいる。

「こんなの、俺がエッチな仕掛け満載の施設におっさんを放り込んで楽しんでる特殊性癖悪魔みたいじゃないか！」
「実際そうなってんですから受け入れてくださいよ」

ひびどころか揺れすらしないモニターに負け、床に崩れ落ちてしまった男へ、同じく光景を眺めていた女が正論をつきつけた。

男の名はキュー。種族は夢魔(インキュバス)。
女の名はテンリィ。種族は触手生物(テンタクル)。
双方共にエロ同人に登場するモンスターツートップであると同時に、おっさんをエロトラップダンジョンに放り込んでしまったこの状況に遺憾の意を示す首謀者達だった。