黒騎士爆走物語

恐るべき真実の部屋6

手がかりが得られるやも。
期待に胸を膨らませながらレバーに似た形のドアノブを掴むが、しかし。

ガチャン。
硬い手応えと、わずかに振動しただけの扉は沈黙を守っている。
鍵がかかっているのは明白だった。

つまりこの向こうには勝手に入られたくない、という意図があるのだ。
ますます部屋の中が気になってきた。

「ここは一つ、万能鍵開け術を使うしかあるまい」

私はかつてオーガ将軍がご存命であった頃に教えていただいた技術を駆使することを決めた。
かの方はたくましい顔つきに柔らかな笑みを浮かべ、こうおっしゃった。

『スライよ、よく覚えておくがよい。まずドアノブを掴むのだ』

「ほっ」

がし。

『そして稼働域を超えて手応えがなくなるまで力を込めろ。勢いをつけるとなお良い』

「ふん！！！」

ばぎゃお！

『これで大体の扉は開く。斧などの道具があるならそちらを使いなさい、手を痛めてしまうかもしれないからね』

「ありがとうございます将軍、貴殿の教えが役に立ちました」

こちらの身体さえ慮ってくれた優しき御仁に感謝の黙祷を捧げ、私は扉の方へ向き直る。
将軍直伝の鍵開け術にはさしもの扉も白旗を振るしかなかったようで、隠れていた空間への道が開いていく。

「よし。行くぞ」

扉の軋む音は悲鳴のようにも聞こえて恐怖を駆り立てたが、そんなもので臆してはいられない。
私は一つ気合いを入れ直すと、扉の向こうへと足を踏み出した。
勢いが良すぎてもぎ取れたドアノブと共に。