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恐るべき真実の部屋11
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本命の部屋へ至る扉にはガラスがはめこんであり、向こう側がよく見えた。
真っ白だった壁には十数を超える数のフックが備えつけてあり、鉄製と思われるその先端は鋭利だ。
なぜ真っ白『だった』と言ったのか。
それは壁の至るところにシミが広がり、変色していたからだ。
滴り、飛び散ったと思われるその汚れは、見覚えのある色だ。
訓練中に怪我を負い、衣服に染みてしばらく経った時に同じ色を見た。
視線を上へ。
そこには、汚れの元となっただろう物体がフックに引っ掛けられていた。
言葉は喋らず、ボディランゲージも取れない身体。
記録に載っていた下手な絵と同じ、落書きのような不定形。
濁りきったゲル状の体色に、もはや命はないと一目で分かる。
そこに吊るされていたのは、何体ものスライムの死体だった。
「うわぁああああああ!!」
喉の痛みで、張り裂けんばかりに叫んでいるのが自分であると気づく。
なりふり構わず扉を開き、フックへ手を掛ける。
やや高所にあったそれを苦労して下ろせば、デロリと力なく手のひらに広がっていく同胞の体。
私達の身体に唯一存在する固形、核が見つからない。
人間で言うところの心臓に等しいそれがない以上、生存は絶望的だ。
「なんと……言うことだ……」
他に吊り下げられていた同胞たちも同様に。
誰も彼も、核を抜き取られて死んでいる。
物言わぬ死体を腕の中に抱きしめ、漏れたのは嗚咽だった。
あまりに残酷な仕打ち。
同時に、民のためと謳っておきながら、たやすく心の折れる己の脆弱さに吐き気がする。
真っ白だった壁には十数を超える数のフックが備えつけてあり、鉄製と思われるその先端は鋭利だ。
なぜ真っ白『だった』と言ったのか。
それは壁の至るところにシミが広がり、変色していたからだ。
滴り、飛び散ったと思われるその汚れは、見覚えのある色だ。
訓練中に怪我を負い、衣服に染みてしばらく経った時に同じ色を見た。
視線を上へ。
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言葉は喋らず、ボディランゲージも取れない身体。
記録に載っていた下手な絵と同じ、落書きのような不定形。
濁りきったゲル状の体色に、もはや命はないと一目で分かる。
そこに吊るされていたのは、何体ものスライムの死体だった。
「うわぁああああああ!!」
喉の痛みで、張り裂けんばかりに叫んでいるのが自分であると気づく。
なりふり構わず扉を開き、フックへ手を掛ける。
やや高所にあったそれを苦労して下ろせば、デロリと力なく手のひらに広がっていく同胞の体。
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人間で言うところの心臓に等しいそれがない以上、生存は絶望的だ。
「なんと……言うことだ……」
他に吊り下げられていた同胞たちも同様に。
誰も彼も、核を抜き取られて死んでいる。
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あまりに残酷な仕打ち。
同時に、民のためと謳っておきながら、たやすく心の折れる己の脆弱さに吐き気がする。
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