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一件落着の部屋5
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「まあ、……あいつがラタ街に来た時に、頼んでみような」
それも彼が荷馬車を持っているという前提の話だが。
再会した時に何事もなかったように荷馬車が復活していますように。
キューは柄にもなく天へ祈った。
「それまではできることもない。労働力としては使わせてもらうが、あんたも完全に力が戻ったわけじゃないんだ。ゆっくり療養していくといい」
「かたじけない」
「じゃあ触手の準備しときますね」
「機械触手の方は壊れてるからな……操作の勘も戻ってきたし、壁穴の方にしてくれ」
どうせなら施設の性能を存分に試していくといい。
そちらの方が回復までの時間も短縮できるだろう。
と、最初の部屋で行った魔力吸収装置稼働を行おうとしていた二体だったが。
「あの、ちょっといいだろうか」
そこへスライが待ったをかけた。
兜に阻まれ見えないとは言え、わかりやすく言うのをためらった後、思い切ったように口火を切る。
「一般的に……その、私は専門家ではないしこちらの常識を押し付けるようで申し訳ないのだが、私がいた国では……
治療手段としての魔力回復に、触手は、使わないと思うのだが……」
『そういえばそうだっけ!?』
大変に言い淀みながら告げられた言葉に、インキュバスとテンタクルは目から鱗が落ちるほどの衝撃を受けた。
冒頭で中年男性をエッチな仕掛け満載の施設に放り込む特殊性癖悪魔となったことを嘆く初心が失われていた事実の発覚であった。
うちでは常識でも、よそでは非常識。
どんな時でも、心に留めておきたいものだ。
《おわり》
それも彼が荷馬車を持っているという前提の話だが。
再会した時に何事もなかったように荷馬車が復活していますように。
キューは柄にもなく天へ祈った。
「それまではできることもない。労働力としては使わせてもらうが、あんたも完全に力が戻ったわけじゃないんだ。ゆっくり療養していくといい」
「かたじけない」
「じゃあ触手の準備しときますね」
「機械触手の方は壊れてるからな……操作の勘も戻ってきたし、壁穴の方にしてくれ」
どうせなら施設の性能を存分に試していくといい。
そちらの方が回復までの時間も短縮できるだろう。
と、最初の部屋で行った魔力吸収装置稼働を行おうとしていた二体だったが。
「あの、ちょっといいだろうか」
そこへスライが待ったをかけた。
兜に阻まれ見えないとは言え、わかりやすく言うのをためらった後、思い切ったように口火を切る。
「一般的に……その、私は専門家ではないしこちらの常識を押し付けるようで申し訳ないのだが、私がいた国では……
治療手段としての魔力回復に、触手は、使わないと思うのだが……」
『そういえばそうだっけ!?』
大変に言い淀みながら告げられた言葉に、インキュバスとテンタクルは目から鱗が落ちるほどの衝撃を受けた。
冒頭で中年男性をエッチな仕掛け満載の施設に放り込む特殊性癖悪魔となったことを嘆く初心が失われていた事実の発覚であった。
うちでは常識でも、よそでは非常識。
どんな時でも、心に留めておきたいものだ。
《おわり》
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