そこにはきっと、 がいた

亜埜瀬

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序章

炎天下ヲ生キル者ドモヘ

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    どうにか死地を乗り越え学校へと着いた私だったが、私のクラスだけエアコンが壊れていることを思い出し、本当の戦場はこっちだったのだなと実感する。大して効き目もない代替策としての扇風機も、その前に居座る、部活の朝練を終えてきたであろう戦士たちによって役割すら果たしていない。いやむしろ、よく分からない制汗シートやらの匂いが教室中へと広がり大変不快である。
「それじゃ、朝のHRを始める、号令を。」
こんな時でもきちんと長袖のスーツを着ている渡辺先生は一体何者なのだろうか。他人に厳しい分、自分にも厳しくしているのだろうか。稀に見るこういう大人は本当に尊敬に値する。
「日直は、近藤と佐々木な。お知らせは特にないからHR終わり。それじゃ、号令。」
いや適当じゃないですか、やだー(棒)。一刻も早くこの地獄から抜け出して、涼しい楽園、職員室へと戻りたいのだろう。とゆか、よく見たらネクタイ付けてないし、じゃあ何で長袖着てんだよ。本当に何者だよ。稀にも見ねぇよ。尊敬返せ(知らんがな)。

    明日まで耐えきれば休みに入れるという思いのみを原動力に何とか七限まで生き抜いた。死人出るんじゃないかと冷や冷やしたが、手に持つタイプの扇風機を使用する者やら、周りの目を気にせずワイシャツを脱いでる者やら皆さん工夫してらしてるようで一人の早退も出なかった。
(あれ?1番窓側の列、席もうひとつ無かったっけ?)
人数を数えるときちんと四十二人揃っているし、私の勘違いだろうか。どうにもモヤモヤする。まぁいいや、とにかくここから今すぐ脱出して愛すべきマイホームへと急がねば!
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