上 下
6 / 17

凍てつく心に安らかな温もりを 

しおりを挟む
これは三人の子供と雪の女王の物語


ゲルダ 活発な女子でいつもカイと行動する。親や、カイの両親は大好きだが、村の口うるさい老人が大っ嫌い。

カイ 活発なゲルダとは違い、クールな男子。古臭い村の掟をくだらないと、嫌っている。


ネーラ カイのお嫁さん!(未定)と言ってる女の子。ゲルダとは茶葉の調合を楽しむ仲。村長の娘で村の掟を守破ることはしないが、掟より、二人を選ぶことはしばしば。ゲルダにぎゅーってされるのが好き。
二人より幼い。(実年齢も言動も)


ライアー 三人が村の外で出会った少女。何処に住んでいるのか分からない。二人が住んでいる村には近づこうとしない。





「カイーー!遊びましょー!」
村全体に響く声で一つの家の前で叫ぶ。比喩でもなんでも無く、本当に小さい村だから何処にいようと、大きな声を出せば聞こえちゃう。そんな声で呼ぶのは、
「……五月蝿いな、もう少し静かに出来ないのかい、ゲルダ……」
「おはよう、カイ。相変わらず起きるのが遅いのね」
幼馴染みのカイを起こすため。そして、
「ゲルダ……もう少し静かにしないと駄目だよぉ」
「ごめんって、明日から気を付けるからさ、ほらそんな泣きそうな顔しないの」
さらに、もう一人の幼馴染みのネーラが泣きそうな顔をしながらとてとてと、走ってくる。ネーラの困った顔が何故か、小動物への庇護欲のようなものが働いて、困らせた後に優しくしてあげて安心させたい、という謎の心情が私を支配する。
「いつも、明日から気を付けるって言って気を付け無いもん……」
嗚呼、この泣きそうな感じの顔。今日も生きているって実感が湧くわ。
「カイ……ゲルダが虐めるの」
「ゲルダ……、ネーラを弄るのは大概にしろよ。ほらネーラももう少しどっしりと構えないと」
「ごめんなさい。反省してるわ、怒らせてしまったのならお詫びに何かしてあげる」
「……じゃあ、ぎゅーってして……」
あっ、可愛い。私の胸に顔を埋めて抱きしめて貰うのを待ってるこの姿。優しく抱きしめてあげよ。
「……もっと強くぎゅーってして」
あっ、もう無理。理性が理性が
「はい、ストップ」
「あぅ!」
はっ、危ない危ない。もう少しであんなことやこんなことをしてたわ。
「助かったわ、ありがとうカイ」
「はぁ……、毎回この茶番を繰り返さないといけないのかい?」
「カイもぎゅーってして?」
「えっ!いや、僕がやると、ほら倫理的にと言いますか、ね?」
「……してくれないの?……」
ネーラの泣きつき……。カイに効果抜群だ。
「ん~~。カイはちゃんとぎゅーってしてくれない……。ゲルダ~~、ぎゅーってして?」
「何この天使お持ち帰りしていい?良いよね?!」
(ネーラは、ほんと可愛いね。妹みたい)
「本音と建て前が逆になっているぞ」
「ふわぁ~、ゲルダ……、眠い。おんぶして」
「ネーラも大概だな。ゲルダがいなくってしまったらどうする」
「そしたらカイのお嫁さんになるの!」
「また、そんな冗談を」
「本気だも~ん!」
カイのことをぽかぽかと叩くネーラ……。やっば可愛いすぎるぅぅぅ!これって、娘が父親に甘えたり、何か強請って断られたりしたときの反応だよね?ネーラに対して父性が出て来た。
「はいはい、行くよネーラ。落ちないようにしてね」
「ふわぁ~い」
「もう、寝るの!?」
「これもいつものことだろう。ほら、ネーラを落とすなよ」
「そう言うなら、カイが背負ってよ」
「ゲルダ、その結果は君が一番知ってるはずだが?」
……ネーラはカイに背負われると泣き出すからね……。それを結構カイは気にしている。

私達の遊ぶ場所は村の外にある廃屋。雨漏りとか、壁に穴が空いてる訳でもなく、変な家具とかある私達の秘密基地。大人達はこの廃屋があることも知らない。
「着いたよネーラ、起きて」
「ふみゅう~?」
「ゲルダ、今日も探索をするのかい?」
「ううん、今日はかくれんぼ。隠れる側は隠れたら動いちゃ駄目だからね」
「鬼はカイ」
「ネーラ……、何故僕なんだい?」
「隠れたいから」
「ネーラの言うとおりよ!カイが鬼ね、百数えてね」
「はぁ……、分かったよ。一、二」
「あっ、急げー!」
「待ってよゲルダー」

「行くよー」
さてと、ゲルダは奇想天外の場所に隠れるのが好きだから放置して、隠れてる途中で寝ちゃうネーラを探すとするか。
ネーラは、案外暗い所が好きな傾向がある。なら、クローゼットの中か、ベッドの下か?それとも……、ん?
「ゲルダ?隠れてないじゃないか」
「あっ、カイ。ごめんなさい、この鏡が気になって」
「これかい?趣味の悪い鏡だね」
「昔、おばあちゃんに聞いたことがある物に似ているの」
「どんな話しなんだ?」
「それが覚えて無いの……」
「そうか……、それはそれとしてゲルダの負けだな」
「あっ!待って待って今の無し!」
「駄目だよ。あと、そこのクローゼットの中に隠れてるネーラも出て来て」
「バレてたの?カイは私を見つけるのが上手いね!」
ぴょんぴょんと跳ねて喜ぶネーラに服の端っこがクローゼットの扉に挟まってたと言うのは……辞めといた方が良いのかな?
「次はゲルダがお」
「誰かいるの?」
「「「!?」」」
えっ!誰だ?
「この家に誰か入っているの?」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

幼馴染 女子大生 翔子 初めての絶頂

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:68

戻さぬ関係

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:2

双璧の退魔師

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:89

私たちは、女同士でエッチする

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:156pt お気に入り:168

後輩に食べられる大学生の話

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:21

お姉様に夢中なはずなのにその他の誘惑が多すぎます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:287

お姉様は一途でいたいのに妖艶美魔女に狙われています

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:234pt お気に入り:279

【R18】大人のおもちゃと19歳

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:24

悪魔との100日ー淫獄の果てにー

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:383pt お気に入り:439

【R-18】早くイッちゃえ。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:27

処理中です...