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凍てつく心に安らかな温もりを

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「嫌ぁ!あれ?……」
夢……だったの?なんだったの今の。鼓動が嫌に早い。パパとママは?冷たい汗が止まらない。なんでこんな夢を見たの?呼吸が出来ない。
「なんか大きな声がしたけど大丈夫か?」
パパ?パパだよね!
「どうしたんだい?怖い夢でも見たのかい?」
でも、本当にパパなの?さっき見た肉塊じゃないの?
「入るよ」
嫌!入らないで、入ってこないで!
「ゲルダだいじょ、どうしたんだい!?顔が真っ青じゃないか!具合悪いのかい、い、今薬を持ってくるよ」
パパだった、ほんとのパパだった。よかった、よかったよぉ。
「具合悪いわけじゃないよパパ。ただ怖い夢を見ただけ」
「そ、そうか。なら良かった。大きな声がしてきたらゲルダの顔が真っ青でパパびっくりしたよ。でも、そういうことなら大丈夫だね。おやすみ、ゲルダ」
「あっ、パパ」
「ん?なんだい?」
「あの、この年になってちょっと恥ずかしいんだけど……、パパ達のベッドで寝ても良い?」
「ああ、怖い夢を見たって言ってたもんね。良いよ、おいで」
「うん」
やっぱりパパは優しい。だから、きっとさっきの夢は何か悪いものが私に見せたんだ。そうだよ、そうに違いないんだ。
「あら、ゲルダ。今日はこっちで寝るの?」
「うん、駄目?ママ」
「良いに決まってるじゃない。おいで」
「……ありがと///」
「あら?こんな大きな年にママ達と寝るのが恥ずかしいのかしら?」フフッ
「わ、笑わないでよ~」
「遅いんだからもう寝るぞ~」 
「ゲルダは私の横ね」
「パパの横でも良いんだぞ」
「ママの隣で」
「そんなぁ……」
「ママのほうが良いものね~」
「ママまで……、いじけちゃうぞ」
「「「フフフ、アハハハ」」」
   さっきのはただの夢、ただの夢。






「ついに見てしまったか……決行は明日ね」
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