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八章 白の断罪者編
84話 ギルド『祝福の光』
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ベローチェの暗殺依頼に上がったターゲットを見つけた。
3人の男女と三体の大型モンスターのパーティー。
戦士職の男と神官職の女、テイマー職の女のパーティーだな。
そしていかにも凶暴そうな熊に虎に鷲のラインナップ。
そのパーティを確認してギルドにいるバーバラに通話を入れる。
「例の暗殺依頼だけど断ろうと思うからベローチェにギルドに来てもらうようにお願いできるかな」
「分かりました。ではお気をつけて帰ってきてください」
今回の依頼は断ることにした。
相手はおそらく四次職の三人でかなりの強敵になると思われる。
確かに厳しい戦闘になるが、依頼を断ろうとした理由は他にある。
それをベローチェに確認しなければいけない。
ベローチェからはすぐにギルドに向かうと連絡があり、再び影の館の応接室で対面することとなった。
「粗方のお話は聞いていて、依頼を断るとのことですがどうしてですか?」
バーバラが依頼を断ると伝えてくれていたみたいだ。
ルティがお茶を出してくれる。
今でもルティにはギルドでの雑事を任せてしまっている。
俺がやると言っても本人が大丈夫ですと言っていたがギルドメンバーの負担は出来る限り減らしたいし、早く現地人を雇いたいとか思いつつ、話を切り出す。
「ベローチェさん、注意事項でもお話しした通り、相手側から明らかな迷惑行為を受けた場合に限り依頼を受けると伝えていたはずです」
「ですから、それはすでに話した通り、彼女の従魔から攻撃を受けたんですよ。ログも見せたじゃないですか」
確かにベローチェの見せてくれたログにはダメージをあの従魔達から受けたというログがある。
普通はログなんて情報の宝庫のために人に見せるものではない。
それを見せてくるということはよっぽど潔白なのか、それともよっぽどバレないことに自信があるのか。
「例えばベローチェさんから攻撃を仕掛けて、従魔に反撃されたのではないですか?」
「そっ、それは……」
「ベローチェさん、ログ云々の前に俺のスキルには対象のカルマ値を見るものがあるんですよ。あなたのいった三人は真っ当にゲームを楽しんでるようですが、あなたは随分とそっちよりですね」
クロツキの目が変化し、ベローチェの心を覗くように睨みつける。
「失礼します!!」
ベローチェはその目に恐怖を覚え、逃げ去るようにギルドを後にして行った。
「良かったんですか? 普通に帰って行きましたけど」
ルティが乱雑に開かれた扉を閉めてベローチェの座っていたソファに座りお茶を注ぎ直す。
「まぁ、後ろめたいことに手は出してるようだけど、そこまでカルマ値が溜まってるわけではなかったし、それに俺には別に裁く権利もないしね。後、付け加えるなら善性も結構溜まってたし」
相手がカルマ値悪性が溜まっていてもいきなり攻撃してはこちらの悪性が溜まるだけである。
依頼があって初めて断罪の権利が発生する。
よっぽど悪性が溜まっていれば国に報告をしても良かったのだが、そこまでではなかった。
そして、善性が溜まっていたのも気になる。
カルマ値の善性と悪性は単純なプラスマイナスではない。
両方がストックされていくのである。
片方にはいいことであっても片方には悪いことということは世の中にはざらにある。
§
ベローチェは影の館を後にして、もう一つの依頼を投げていたギルドへと向かう。
祝福の光は王都を拠点にしているギルドで護衛を専門にしている。
メンバーの多くが聖なる力を扱い、守りに長けたスキル構成であったり魔法を使ったりする。
高級区からワンランク下がった区にギルドを構えているがこれでも規模も実力もトップクラスのギルドである。
そもそも高級区に拠点を構えているギルドなど影の館くらいで、あちらが異常なのだ。
「ベローチェさん、どうしたんですか?」
ベローチェの前に現れたのは祝福の光の副ギルドマスターのヒジリ。
少女の周りには常にお付きが複数人ついていて、守りを固めているが、本人も四次職で実力はお付き以上である。
しかし、お付きがついているのはギルドマスターの命令でヒジリを守るというよりはヒジリの暴走を止めるためにつけられている。
しかし、今日のメンツはいつもとは違ってヒジリを崇高しているメンバーが固まっていた。
「すみません。以前話していた暗殺ギルドに目をつけられたようで……」
「影の館ですね。街でも噂になっていますね。平然と街中で戦闘を行い、市民を恐怖させる悪の権化。浄化しなければいけないようですね」
ヒジリは自分たちのギルドに誇りを持っている。
それが怪しげなギルドが自分たちよりもランクの高い高級区に拠点を構えるなど信じられなかった。
そしてその拠点は汚いことで手に入れたと確信している。
そうでなければありえない。
「そうですよ、ヒジリ様の力を見せつけてやりましょう」
「今こそ正義の鉄槌を下しましょう」
「うぉぉぉぉぉぉ」
いつもなら周りの人間が止めるところだが今日のメンバーはむしろヒジリを焚きつける。
「ベローチェさん、案内してもらってもいいですか」
ヒジリを中心に祝福の光が動き出す。
3人の男女と三体の大型モンスターのパーティー。
戦士職の男と神官職の女、テイマー職の女のパーティーだな。
そしていかにも凶暴そうな熊に虎に鷲のラインナップ。
そのパーティを確認してギルドにいるバーバラに通話を入れる。
「例の暗殺依頼だけど断ろうと思うからベローチェにギルドに来てもらうようにお願いできるかな」
「分かりました。ではお気をつけて帰ってきてください」
今回の依頼は断ることにした。
相手はおそらく四次職の三人でかなりの強敵になると思われる。
確かに厳しい戦闘になるが、依頼を断ろうとした理由は他にある。
それをベローチェに確認しなければいけない。
ベローチェからはすぐにギルドに向かうと連絡があり、再び影の館の応接室で対面することとなった。
「粗方のお話は聞いていて、依頼を断るとのことですがどうしてですか?」
バーバラが依頼を断ると伝えてくれていたみたいだ。
ルティがお茶を出してくれる。
今でもルティにはギルドでの雑事を任せてしまっている。
俺がやると言っても本人が大丈夫ですと言っていたがギルドメンバーの負担は出来る限り減らしたいし、早く現地人を雇いたいとか思いつつ、話を切り出す。
「ベローチェさん、注意事項でもお話しした通り、相手側から明らかな迷惑行為を受けた場合に限り依頼を受けると伝えていたはずです」
「ですから、それはすでに話した通り、彼女の従魔から攻撃を受けたんですよ。ログも見せたじゃないですか」
確かにベローチェの見せてくれたログにはダメージをあの従魔達から受けたというログがある。
普通はログなんて情報の宝庫のために人に見せるものではない。
それを見せてくるということはよっぽど潔白なのか、それともよっぽどバレないことに自信があるのか。
「例えばベローチェさんから攻撃を仕掛けて、従魔に反撃されたのではないですか?」
「そっ、それは……」
「ベローチェさん、ログ云々の前に俺のスキルには対象のカルマ値を見るものがあるんですよ。あなたのいった三人は真っ当にゲームを楽しんでるようですが、あなたは随分とそっちよりですね」
クロツキの目が変化し、ベローチェの心を覗くように睨みつける。
「失礼します!!」
ベローチェはその目に恐怖を覚え、逃げ去るようにギルドを後にして行った。
「良かったんですか? 普通に帰って行きましたけど」
ルティが乱雑に開かれた扉を閉めてベローチェの座っていたソファに座りお茶を注ぎ直す。
「まぁ、後ろめたいことに手は出してるようだけど、そこまでカルマ値が溜まってるわけではなかったし、それに俺には別に裁く権利もないしね。後、付け加えるなら善性も結構溜まってたし」
相手がカルマ値悪性が溜まっていてもいきなり攻撃してはこちらの悪性が溜まるだけである。
依頼があって初めて断罪の権利が発生する。
よっぽど悪性が溜まっていれば国に報告をしても良かったのだが、そこまでではなかった。
そして、善性が溜まっていたのも気になる。
カルマ値の善性と悪性は単純なプラスマイナスではない。
両方がストックされていくのである。
片方にはいいことであっても片方には悪いことということは世の中にはざらにある。
§
ベローチェは影の館を後にして、もう一つの依頼を投げていたギルドへと向かう。
祝福の光は王都を拠点にしているギルドで護衛を専門にしている。
メンバーの多くが聖なる力を扱い、守りに長けたスキル構成であったり魔法を使ったりする。
高級区からワンランク下がった区にギルドを構えているがこれでも規模も実力もトップクラスのギルドである。
そもそも高級区に拠点を構えているギルドなど影の館くらいで、あちらが異常なのだ。
「ベローチェさん、どうしたんですか?」
ベローチェの前に現れたのは祝福の光の副ギルドマスターのヒジリ。
少女の周りには常にお付きが複数人ついていて、守りを固めているが、本人も四次職で実力はお付き以上である。
しかし、お付きがついているのはギルドマスターの命令でヒジリを守るというよりはヒジリの暴走を止めるためにつけられている。
しかし、今日のメンツはいつもとは違ってヒジリを崇高しているメンバーが固まっていた。
「すみません。以前話していた暗殺ギルドに目をつけられたようで……」
「影の館ですね。街でも噂になっていますね。平然と街中で戦闘を行い、市民を恐怖させる悪の権化。浄化しなければいけないようですね」
ヒジリは自分たちのギルドに誇りを持っている。
それが怪しげなギルドが自分たちよりもランクの高い高級区に拠点を構えるなど信じられなかった。
そしてその拠点は汚いことで手に入れたと確信している。
そうでなければありえない。
「そうですよ、ヒジリ様の力を見せつけてやりましょう」
「今こそ正義の鉄槌を下しましょう」
「うぉぉぉぉぉぉ」
いつもなら周りの人間が止めるところだが今日のメンバーはむしろヒジリを焚きつける。
「ベローチェさん、案内してもらってもいいですか」
ヒジリを中心に祝福の光が動き出す。
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