タカラ探し【深夜】

すたるなぁさん

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タカラ探し【深夜】二巻

第一話

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それは突然の出来事だった。
ベッドで寝ようと横まで来たのだが、いきなり景色が変わって、それで...
目の前にあるのは裏門。
どこからどう見てもうちの高校の裏門だ。
...あれ?
奈津海は制服を着用していた。
一体、どういう事だろう?
もしや、これは夢の一貫なのでは?
もう既に眠っていて、今夢を見ている真っ最中なのでは?
だが、容赦ない北風に吹かれる冷たさと、自分の頬をつねる痛みで、これは夢ではない事を...
いや、これをまだ現実と受け止めるのはまだ早い。
夢の中だって痛みは感じる時もある。
夢は生き物が作り出す妄想の一種に過ぎない。
そもそも、これが現実であると考えるには明らかに抵抗がある。
まず、何故私はここにいるのか。
寝ぼけてここまで歩いて来た?違う。もし寝ぼけてたとしても流石に徒歩で一時間もかかるような所へは来ないだろう。
...多分。
夢遊病?これも違う。そんなものはこれまでに一度も経験した事がない。
...そう確信してるだけで実は一回位あったりして。
ならばテレポート?多分...いや絶対違う。そんな事が起きてたまるか。
非科学的な現象は起きるはずもない。ファンタジーの世界じゃあるまいし。
では、どうしてここに?
あれこれ考えていると後方から
「奈津海?」
男子の声が聞こえた。
振り向くと、そこには或斗がいた。
「或斗君...」
私はすぐさま駆け付けた。
「どうしてこんな所に?」
「いや、俺には分からない。」
質問をする奈津海に或斗は即答した。
「ここはどうやら、うちの高校みたいだな。」
「そりゃそうでしょ。見れば分かるって。」
左の方から優奈の声が聞こえた。
「なんでアンタらまでいるわけ?」
「知らねぇよ。気が付いたらここにいたんだ。」
優奈と或斗に会い、何故かホッとする。
こんな状況に一息付けてる暇はないが。
「なんで俺達がここにいるか分からねぇけど、取り敢えず他にも誰かいるかもしれないな。」
「えぇ、そうね。なら共に行動しましょう。」
彼女の発言に、少し意外だと感じた。
わずかながら柔らかい口調。
いつものちょっぴりトゲがある様なものとは違った。
どうやら、彼女はそんなに悪い人じゃない様だ。
「なにボーッとしてんだ。あとニヤけてるぞ。」
或斗の言葉にハッとする。
「あ、ごめん」
「なんで謝るんだ?」
或斗は苦笑いをした。
そうだ、他にも人がいないか調べるんだっけ。
何故私達がここにいるのかは分からないけど、今は行動をした方が良い。私は歩を進めた。
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