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幼少期編
乙女ゲームにいた少女
しおりを挟むシャルティの可愛さを一言て表すなら超絶可愛い可憐系美少女だ、流石乙女ゲームのヒロインと双極を成す悪役令嬢と言った素晴らしい美しさを持っている
まさか、シャルティや学園にいる予定の聖女なヒロイン並に可愛い美少女が他にもいるとは…乙女ゲームだから女子はおれと一緒にモブ扱いで、攻略対象含め絵が出てる野郎が美形ばっかと思ってたわ
いや、このシーン乙女ゲームに無いけどね!でも主要キャラ並に超絶可愛い美少女が目の前にいる
腰まで伸びるアルビノだと思われる真っ白な髪に真っ白な睫毛…赤い瞳…ウサギの妖精みたいだ
元気で可愛いシャルティとは違い、儚げな今にも倒れそうな程のか弱い感じ…
急に現れたおれたちにビクリと少しだけ怯えたように震える姿はまさにウサギ
「だ、だれ…?」
「ごめんね、泣き声が聞こえてたから…心配になって…大丈夫?どこか怪我でもしたの…?」
誰とかそんな驚きの声もとても可愛い…怖がらせないように優しく話しかけながら何気なく隣に進み腰掛けた
近くで見ても美少女、やったことないけどギャルゲーの攻略対象みたいな美少女に見える…イケメンの巣窟乙女ゲームの世界であろうこの世界でこんな子も居るのか…
マイケルも片膝を立て背後で圧を掛けないようにおれたちを見守ってくれる…イケメンだろお前
急に現れたおれたちに驚きながらも美少女は涙を浮かべながら一人では心細かったのだろう泣いていた理由を話してくれた
「怪我はしてないの…ごめんなさい…
ただ、悲しくて…私だけのけ者だから…
私、私が光属性じゃなったからみんな残念な顔してて…お祖父様の様な素晴らしい人になれないって…それで…ううっ…………悲しくてっ…………ふぇっ……ううっ…………」
ボロボロと涙を零して泣きじゃくるか弱い女の子…
ついさっきおれじゃなかったら落ち込んで疑っていたよなっていう、魔力の属性について悩んで泣いているようだった…
詳しく聞くと、つい最近魔力適正を見てもらったが、期待されていた一族に遺伝しやすい属性ではなかったとのこと…周囲から冷たい目でみられ、将来を心配され、その目に耐えきれなくなりここで泣いていたみたいだ
やっぱり一族的にはこれって属性があると落ち込んじゃうよな…自分だけ違うとか悲しいって子供なら誰でも思うことだもんな…
しくしくと美少女が大粒の涙を零して泣いているのは絵になる…いや、そうじゃなかった
泣いている子を放っておけるほどおれは薄情な人間では無い、泣いてる姿がシャルティと重なってしまいセクハラとか考えずに頭を撫でてしまったのは条件反射だったのだと思う
「よしよし、自分だけ違うって悲しかったんだよね…?わかるよ、君の気持ちすごくわかる…ぼくも父様たちと違う魔力属性だったんだ、だから君の気持ちがすごくわかる」
「あなたもっ………ううっ……っ、違う、属性だったの?なのに、なんでそんな笑ってられるの…?皆と違うんだよ…?こんな見た目なのに闇属性だなんてお祖父様に顔向け出来ないのに…なのにぃ………うっ……うう…………ひっく………」
真っ赤な目をさらに赤くして泣きじゃくるか弱い女の子…そうか…アルビノで闇属性なのか…おれてきにはかっこいい組み合わせだと思うけど、きっと望んだ属性は家族と一緒のもので、目標がお祖父様って人だったんだろうな…
頭を撫でながら嫌がられてない事を確認し肩を抱き寄せあやしてしまう…シャルティが泣いてるみたいに見えるんだもの…許せ、知らない美少女よ
背中を擦りながら頭をよしよししつつ、おれの人生経験を語ってみることにした
「すごく悲しいね…それは辛いね…でも、ならなんでぼくはこんなにも笑ってると思う?家族とも違う、目標とする父様とも違う、ぼくも…ぼくだけが違う魔力属性だけど全然辛くないんだ」
「………っ、ひっく…………なんでつらくないの………?自分だけ仲間外れなんだよ…?嫌じゃないの……?」
「うん、全然嫌じゃない、むしろ嬉しいんだ…そう思えたぼくの経験談教えてあげるね
人には個性って言葉があるでしょ?
魔力属性もそうじゃないかなってぼくは思う、ぼくの家族は昔から火属性が多いんだって…でもぼくは水と土とほんの少し闇の属性だった…それはぼくの個性だからだ
これを家族と違うと悲しむのか、家族に無い属性だからこそ協力し合う事が出来ると思うか…その違いで気持ちって変わるんだよ?
ぼくの夢、君にだけ教えてあげるね…ぼくは水と土属性でしょ?そして僅かに闇…
それで何ができると思う?土を水で練り上げて大きな釜を作りたいんだ…!その釜に家族が炎を放ってくれたら料理が出来る、そこでピザっていう食べ物を作りたい、闇属性があるのもいいよね?焼き加減自由自在にできてしまうんだよ!
火属性だけじゃ出来ないことを、ぼくがいるから発見できる、新しく取り組める…家族を助けられるかもしれない…それって自分の個性が輝いてて素敵だと思わない?」
おれの話を最初涙を流して聞いていた少女は釜の辺りから大丈夫かこいつって顔をしてきていた…大丈夫だ本気でするつもりなんだよ、この世界乙女ゲームだろう世界なのに正当な料理しか無いんだもん!ジャンクフード!!ピザ食べたい!
料理が出来るぜ自分輝いてると自信満々に言うおれをみて、涙は自然に止まり、そして最後には小さく笑ってくれた
「えっ………?釜?、料理?………っ、ふふっ………あははっ!直に焼いたら泥臭くなっちゃいそうだよっ………ふふっ………くすくす………なにそれ…、悲しんでた私が馬鹿みたい………ふふっ………」
背後でマイケルも笑いを堪えているのはわかる、わかるぞ?イケメンお前な…真剣なんだよおれ
公爵子息が庭でピザ作りたい夢なんてね中に社畜が入ってなきゃ普通言わないからね!
それでも、か弱い女の子が涙から笑顔を見せてくれるのはとても安心した
「笑ってるけど、大事なことなんだよ?あ、美味しく出来たら君にも食べさせてあげたいなー…君は闇属性なんだろ?ぼくよりももっとすごい闇属性…!パン焼いてウサギさんとか蝶とか…その闇でもしかして絵柄を焦げプリントできるんじゃないかな…!?」
「ふふっ……!あはは…っ!まって、魔法の使い方間違ってるよ…くすくす……パンの焦げに魔法使うのっ………あはは!」
………………
…………
……
「ふふっ………こんなに笑っちゃったの久々かもしれない……くすくす………」
「ぼくの真剣な夢なんだよ?君もこうなったら焦げ担当で共犯してよね?」
微笑みながら頷く彼女
アルビノの超絶可愛い美少女が声を出して笑う姿に夢を暴露してよかったと思う
本当に家に来てくれるなら焦げで絵を描くなんてやってみたくてうずうずしている自分もいる
笑ってるほうが可愛いよ女の子は
魔力属性が他人と違うから嫌なんて思わなくていい、自分が自分らしく輝けるのが何よりもいいと思う
暫く笑って、女の子はスッキリとした表情でおれを見てきた…あ、すいません頭撫でたまま抱き締めてたわセクハラじゃないです、すいません
急いで離れようとするおれに、今度は女の子から抱き締めてくる…スキンシップ系女子か!
唖然としていると嬉しそうな声が聞こえる
「ありがとう…私、あなたに会えて無かったら落ち込んで駄目になってたかもしれない…
個性っていい言葉だね…素敵だ…教えてくれて本当にありがとう
私はマイズ、あなたとお友達になりたい…!
パンに焦げ絵をしにほんとに遊びに行くからね!お茶会しようね…?」
「うん、もちろんだよ!ぼくはルディヴィス、よろしくね!こっそりと貴族らしくないお茶会しよう!」
美少女は満足そうに頷いて笑い、立ち上がった
お祖父様の所へ行くのだという、泣いていた姿が嘘のように楽しそうに大聖堂の方へと戻っていく…
よかった…泣いてるの放って置かなくてよかった
美少女のお友達もできちゃったやったぜ
…………………
……………
………
素晴らしい良いことをした後のような感覚だ…
おれも満足そうに微笑みその場を後にした
マイケルと父様を待つために馬車へ戻るためだ
「ルディヴィス様、待ってる間に大司教殿のお孫さんと仲良くなるなんて凄いことしますね…公爵様もさぞ驚くと思いますよ?流石です」
可愛い美少女の友達なんてそう友達になれないから凄くい………んっ?今なんて言った…?大司教…孫…?
え?孫って男だろ?あの子は女の子…女の子……………
『私はマイズ、君とお友達になりたい』
私は、マイズ
マイズ…………?
攻略対象者の名前なんだっけ…?
マイズ.エースメイス………
え、男?
あんな可愛い美少女が、おれと同じ物が生えた男だなんて、乙女ゲームは恐ろしい…
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