61 / 152
現実編
温度差
しおりを挟むマイズの優しい治癒魔法はおれ以外も感動させていた
やり方はみな知っていても、ある程度はできても…知識と技量が無ければひどい火傷を完治させることはできないから
多くの蝶が美しく舞う中で大丈夫だと、微笑み…治癒魔法を施してくれるマイズは誰が見ても生きる女神にしか見えなくて…レオンハルト殿下もラッジ先生もその美しさと奇跡の光景に言葉を失って…イグニスなんて途中から拝んでたな…
マイズの宣言通りおれの火傷はまるでなかったかのようにその場で治癒された
先ほどまで感じていた激痛が嘘のように、痕の一つも残らず治癒してくれたのだ
「何これ、天才すぎるっ…!ありがとうマイズ!」
「わっ…!?ちょっと大げさですよ?ルディヴィス…!!無事治癒できてよかった…痛みも無さそうですね…?」
思わず感動のあまりマイズを抱き締めてしまったが、それでも全然痛くない…凄すぎる
シャルティが心配する危険すら無いほど痛くも痒くもない…素晴らしいとしか言えない
暫く美しい奇跡の感動に浸りつつ、レオンハルト殿下に抱えられていたシャルティの唸る様な小さな声を聞いて、聖女の事を忘れていたとみんな思い出した
聖女が何かをしてシャルティを暴走させた可能性がある…それを聞き出さないといけない
他の生徒は既に各自教室に戻っており、ラッジ先生も同伴しおれたちも保健室に向かった
………………
…………
……
「…のに!ぐずっ……あたしは何もしてないの…シャルティ様が…ううっ………急に…………わかってよ………じゃない!」
「それ………にならないんだよ?正直に何………してくれ…………」
保健室へ着くと、部屋に入る前から聖女の泣き声が響いてくる…まるでヘルリに何をしたか事情を確認した時と同じような声だ
授業中は従者控室にいるマイケル、ヘルリも合流し、保健室の前でラッジ先生と現状の確認をする
まだ気絶しているシャルティは話せないためマイケルとマイズに付き添いを任せ、当時近くにいたレオンハルト殿下と、聖女と同じ班だったイグニス…そしておれが室内に入る
聖女と接触を拒否しているヘルリにはサングイス公爵家に向かってもらう事にした
「いいか、当事者からの確認の意味も込めて同伴はさせるがあまり事を荒立てるな…前のルディヴィスの従者に対する事もあったからな…
その時は教員で対応していたが、2度も同じ様な…魔力暴走のような事が起こるのはおかしい
だからこそ、お前たちの同伴を許す…わかったな?」
「もちろんです…直接聖女様の言い分を聞いてみたいんで…静かにしてます」
前回ヘルリが暴走した時も対応してくれたラッジ先生の言葉には、聖女を信じていると言うより何か疑っている…そんな雰囲気があった
保険医の先生は乙女ゲームサポーターとしての登場人物、ラッジ先生はおれと同じ名前も出ないモブ…
それが関係しているかはわからない…でも、合同魔法演習と言うストーリーでこんな展開になる事は決して無かった
あの乙女ゲームではシャルティが意図的に暴力を振るったと謹慎を言い渡されるがそれを肩力で捻じ曲げて有耶無耶にする、それで終わりの筈だから
ラッジ先生がおれたちを見て頷き、保健室の扉をノックする、その直後「どうぞ」と声を掛けられ室内に入室した
中には椅子に腰掛け聖女に向かい合う保険医の先生と…壁際になんとも言えない顔をして立ち尽くすネオイグニスくん…そして、ベッドに寝た状態で震えながら涙を流す聖女がいた…レオンハルト殿下達の顔をみた瞬間嬉しそうな顔をした聖女が………
「レオンハルトくん!イグニスくん!お見舞いにきてくれたの…!?」
急にガハッと起き上がり、そんな言葉を平然と言える聖女がいた
まさかの聖女の反応に誰もが半歩後ろに下がり引き返したかったのか、おれを含め歩行が一瞬止まる
聖女の言葉にレオンハルト殿下達は何も答えず、ラッジ先生が前に出てくれた
「ルチア、その様子だと怪我は無かったようだな?先程も別の先生に事情を聞かれたとは思うが、俺の方でも聞きたい、早速だが何が起きたか話してくれるか?
ああ、後ろの3人は気にするな…とりあえず先ほど何があったか、正直に話せ」
「………え、…はい…怪我は無いです…大丈夫です…
…………っ、あの時…さっき…は……えっと………うっ……うう………シャルティ様が、あたしに火炎魔法を使おうとしたんです…下賤な庶民って言って…」
「……………それが本当なら大事だ
然るべき対応の為に詳しく聞かなければいけない…ルチア、シャルティから攻撃されそうになる状況…何故そうなった?」
先生の然るべき対応をしてくれる、その言葉に気を良くしたのかヘルリの時と違い、泣きじゃくりながらも聖女は説明を始めた
聖女が涙を零しながら説明する姿をみんな誰も口を挟まず聞く…
「………っひっく………シャルティ様はあたしが憎いんです…たぶん…っううっ……あの時、シャルティ様が急にあたしを睨んで…そして、近づいてきて…
つっうう、耳元で下賤な庶民が高貴な方に近付くなって…言われて…それで、それで………
皆とただ仲良くなりたいだけなのにって、ひっく、いったら、うううっ………急に火炎魔法を放とうとしてきて…咄嗟に防御魔法を唱えたらあんな事に……っ!!うわぁああんんんこわかったよぉおおおおーーーー!!!」
聖女がベッドに伏せるように泣きじゃくり始めた、その光景を見て保険医の先生は大丈夫です、良く話してくれましたと背中を擦る
でも、おれを含め他のみんなは一歩も動かない
何故だろう、おれもラッジ先生も現場を見ていない…レオンハルト殿下達も実際の現場をどこまで見ていたかはわからない…
けど、聖女を可哀想、哀れだと思っているのは保険医以外いないような…異様とも言える温度差を感じていた
3,353
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。