悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです! こっちに来ないでください

たなぱ

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陽動編

面倒な事

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Side ラッジ




毎年行われている全校生徒が学年.クラスの壁を越えて互いに交流を図るための行事、合同魔法演習である意味事故が起きてから数日、毎日職員会議を開きあの事故についてどう対応するか…話し合うも答えが出ずにいた


あの日、合同魔法演習の場で、結果を取りまとめるため先生達が集まっていた中で、待機中だった生徒に魔力暴走と言う形で起きた事故…
今回の事件で被害にあったと泣きじゃくり、公爵令嬢であるシャルティが悪いと訴えるのは今代の聖女ルチア
その聖女からよくわからない事を言われ、何が起きたかわからないまま魔力が溢れてしまって怖かったと、話すのがサングイス公爵令嬢であるシャルティ…



他生徒の目撃状況から聖女がシャルティに向かっていった事は証明できたが、その後が問題だった
互いの言い分のすれ違いは勿論だが、何故シャルティが魔力暴走をしたのか…聖女は本当に害されそうだったのか?事件性はあったのか?
それが判明も証明も出来ないのだ…毎日職員会議を繰り返し、今日もその話から先に進まないでいる
納得のいく調査の結果が出ない…


本来であれば合同魔法演習での表彰を踏まえて俺たちが準備した達成報酬で生徒たちを喜ばせている筈なのに…未だに事件調査中で表彰すら出来ていないんだから…かなり面倒な事になっている、それは事実だろう
我が国の高貴な貴族の令嬢と、王家の側妃と第二王子…奇跡を与えられた者達が後ろ盾になっている聖女様…前者はまだしも後者は存在自体、取り扱いが難しい存在だと言える



「はぁ…参ったな毎日毎日…埒が明かない…」

「お疲れですね、ラッジ先生
理由は分かりますが…今日もどう公表するか決まりませんでしたね…」


あの日、魔力暴走の末に気絶したシャルティを介抱していた保健医、ローダン先生が話しかけてきた
俺と同じ、極秘とも言える情報を聞いた仲間でもある
職員会議では勿論言うことなど出来ないが…俺たちには共通の秘密が出来ていた
この世界が乙女ゲームという、定められたシナリオ通りに進む可能性を秘めたゲームの世界なのだと言う事…

それを話してくれたのは、この世界ではない別の世界で生まれ…死んだ事を覚えていると話す、俺が1年の頃から担任をしている優秀な生徒、ルディヴィスだ
彼は今回魔力暴走を起こしたシャルティの義兄でもある



正直、余りにも想像できなかった話で、その場でこの世界がゲームだとは信じられなかったが、ルディヴィスがシャルティを心配し、聖女の本性を暴くと言ったその目は確かに真実を言っているように感じた

悪役令嬢として断罪されるシャルティの未来を変えるのだと、強く決意し…自分の前世の妹が事件の発端かもしれないと泣く姿はあまりにも苦しそうに見え助けてやりたいと思ったのも、俺がルディヴィスを1年の頃から知っていて、嘘を付く事なんて無い本当にいい生徒だから…それもある


「「前世の妹の可能性がある今代の聖女は自分やシャルティを悪役にし自らをハッピーエンドにしたい筈、その為なら手段は選びません」」


そうも言っていた
その言葉を表すかのように、合同魔法演習での事故翌日から次期王太子妃となる可能性が高いレオンハルト殿下の婚約者、ルディヴィスに苛められていると言い張る聖女ルチアが居たのだから驚きだ
それこそ何も証拠が無い聖女の訴えのみ…
ルディヴィスの言っていたことは本当なのかもしれない…信じてやりたい

しかしルディヴィスが悩んでいた事と同じ様に、現実味が薄い話は人に信じて貰えないんだ…



「なぁ、ローダン先生…俺が職員会議で聖女様は転生者です、今回の事件は聖女様が!何か良からぬことを考えているのは聖女様です…なんて言ったとしても信じて貰えないよな…?」

「…………難しいでしょうね…おとぎ話が何かと思われるのが普通かと…それに、貴族科の保健医の先生始め、学年主任、数人の先生…1年生の半数程度…彼らは聖女様の聖光魔法によって家族を救われて居るそうです、無償で奇跡を起こす素晴らしい聖女様と狂信に似た感謝をする程、聖女様を尊い者とし後ろ盾になっている…
だからこそ、職員会議が荒れているんです…証拠も無い話をすればラッジ先生が左遷とかされかねません」




だよなぁ…左遷…されるよな…確実に

サングイス公爵とも話したが、ヘルリの時も対応に困ったと言ってた…本当に聖女様という存在が面倒な立場にあるのだと
元々市街出身の庶民であったも、歴史上奇跡を起こす存在であり、今代は成人を待たず多くの人に奇跡起こし後ろ盾を得ている…自分を尊ぶ人を増やしたいのかと思う程積極的に

そんな聖女様が事故の犯人とも言える証拠が無い、シャルティのような優秀な生徒が犯人な理由が無い…何度考えてもいい落とし所も見つからない…はぁ、本当に困った




「ローダン先生、今日仕事終わったら飲みに行きませんか?考え過ぎてなんだが頭痛がしてきた…」

「いいですよ、確かに素行の悪い生徒の対応以上に頭を使いますものね…頭痛がするなら店じゃなくて家に来てください
リラックス効果のあるハーブのお酒、出しますよ?」



ローダン先生の優しさに甘えておこう…
美味い酒に美味い料理でも食って頭を整理したい




その翌日、ルディヴィスから気分転換にと茶会の誘いがあった…みんなして気遣ってくれるのか?ここは先生に優しい世界だ








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