【書籍化進行中】悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

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反撃編

不快な事実

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ルイ王子の歓迎会がある意味無事に終了し、招待客が帰宅した後、おれたちは迎賓館のある一室に集まった
本来なら予定していた計画が成功してルイ王子お疲れ!協力ありがとう!ってそんな和やかな楽しい雰囲気なる筈だった…けど、そんな雰囲気なんて全くなく、静かに皆席に座り…おれを見つめてくる…




おれ、そんなに酷い顔してるかな?



………………わかっていた、想像していた事だけど…あの聖女はおれの前世のクソ妹だったって事に想像以上にショックを受けている
想像から確信に、覆らない事実になってしまった事がショックなんだ…おれから何か話さないといけないのはわかるけどなんて話していいかわからない…

前世の妹、前世の身内…
それが事実だった…だから、これからどうするか決めるのはおれの役目…でも、あのクソ妹!!!って思う以上に身内が申し訳ないことを…って気持ちが湧いてきて気分が悪い…
なんかあれの気持ち…学校で身内が変な事して担任とかに呼び出された親の気持ちだ
おれがみんなに何かをした訳じゃないのに、どうしようって思う気持ちが溢れて、言葉が出てこなくて、申し訳なくて…


「………………ルディ!!
絶望っぽい顔したお前も可愛いけど、お前が何を考えてるのか想像でしかわからないけどさ、絶対余計な事考えてるだろ?前世の身内がすいませんとかそんな事考えてるとかか?
なら、よく考えろ、ルディは何も悪く無い!そうだろ?俺の顔を見ろ、俺たちの顔をちゃんと見てみろ!…………なぁ、どんな顔してる?」


そう言われて顔を上げると、失望とかの表情じゃなくて、レオンハルト殿下もみんなも…おれを見て心配してる顔をしていた


「…………し、……心配した顔、してる」


だろ?みんなそう言う顔してるんだよってレオンハルト殿下は笑うんだ
そのまま年下って思えない程、逞しい腕に抱き寄せられる
普段なら何してんの?!みんなの前であってヒロインに陽動掛ける場面じゃ無いよってなるけど…
力強い腕の中に囚われて、大丈夫だから思ってる事話せばいいって、そう言われて…抱き締めてくれる事が何故か嬉しかった




「はわわわわっ……!尊いっ!!!!や、やっぱりここ、乙女ゲームじゃないと思うんですよね!?BLゲームだと思うんですけど!?!
ガルロ!カメラ!カメラが欲しい!あ、この世界カメラ無かったー!!」

ルイ王子のよく分からない発言を聞きつつ、抱き締められながらよしよしされていると、気持ちが落ち着いてくる…
そうだよな、おれ桃香の前世の兄だったけど親じゃない…てかどっちも成人してたじゃないか
未成年だったらまだしも互いにいい大人、自分の失態は自分で責任を取るべきだ



「ごめん、レオ、みんな…ちょっと事実が申し訳ない親心?になって動揺してた
もう大丈夫…ちゃんとこれからの事を話したい」

おれは前を向き、おれ視点からわかった事実としたい事、みんなの視点からわかった聖女に関しての事実を共有した




まずはおれから、聖女ルチアは前世のクソな性格の妹、桃香だと言うことで確証が取れた
みんなから高評だったポチ太郎のアクセサリーをゴミ呼ばわりする女、これまでも自分が愛されて当然と言った認識で他者の迷惑を考えずに接触するその性格…ある程度のヤバさは既に伝わっていたから、みんなにも分かりやすかったと思う

初対面のルイ王子に対する態度もそれだ、おれの前世の知識と経験からするに桃香であったルチアは自分がヒロインとしてこの世界で絶対的な存在だと思い込んでいる節がある
聖女でありヒロインであり、ハッピーエンドが決まっているのだから好き放題やっていいと思っている事をみんなに伝えた


「たぶん、おれを前世の兄だと認識し始めたからこれからの行動はもっと過激になる筈だ
あの時なんで気絶?したかは分からないけど、聖女は乙女ゲームとしてでなく、自分の人生を邪魔する敵としておれに関わってくる…だから………」

「……………それはルディヴィスに危険が及ぶ…とも取れます…ですが、その関わりで聖女が求める展開を変えたいと言う事ですか?」


コクリとおれは頷く
流石マイズ、教会関係者だからこそわかってくれると思ったけど、本当に詳しく言わなくても分かってくれた
おれが、これからしたい事…
それは聖女が自らの行った罪で裁かれ地に堕ち、乙女ゲームの物語で定められたハッピーエンドではない結末を迎えさせる事
どの攻略対象を選んでも聖女が聖女としてハッピーエンドを迎えれば行き着く先は高位の存在だ
人の迷惑を考えない、自分だけが良ければそれでいいって女が最悪の事態で王妃にでもなってみろ?この国が終わる


「桃香の元々の性格を考えると、自分が贅を尽くせれば他が不幸になろうが気にしないって奴だ
そんな奴を野放しにしたくない…だからこそ、前世の兄であるおれが邪魔、消したいって気持ちを逆なでして聖光魔法を仕える稀有な存在でも庇いきれない程の自滅に追い込む」


これまでの事…攻略対象であるみんなに行った礼儀を弁えない言動.接触の数々…それだけでも本来ならいくら庶民の出の聖女だからと言って許される事では無い
しかし、聖光魔法を仕える唯一無二の存在…女神の声を聞ける存在って部分が聖女を……桃香を守っているんだ


唯一無二の存在だからといって許されない程の行動とその証拠を叩きつけ、あいつにちゃんと自分が行って来たことを後悔させ罪を償わせたい




それが前世の兄であるおれの気持ちだ






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