不要な僕と化け物公爵様

たなぱ

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触れていたい





初めて大勢の人がいる外の世界に出て、色々な事があって…知らず知らずの内に僕の心は疲弊していたようで…
お風呂っていう密室にフレイズ様と2人きりになってから、どうしようもなくフレイズ様に触れたくて、密着したくて仕方が無くなってしまった



身体を互いに洗い合って、湯船に浸かってから僕はずっとフレイズ様にしがみついている訳で…………




僕はフレイズ様と肌を合わせるのがたぶん…とても好きなんだと思う
お風呂に一緒に入って頂くのも、一緒に寝て頂くのも…服越しに体温を感じるより、素肌で温もりを感じていたい…一番側でこの安心感を得ていたい…そう、無意識に考えている自分がいる



大きな胸板に自分の肌を密着させると物凄く安心する…僕とは違う、戦場での小さな傷が沢山ついて少しだけザラザラしている厚い肌、そしてそこから聞こえる人と同じ心音がとても好き
温かくて…フレイズ様がちゃんと側に居ると感じられる安心感も大好きだ

緊張してた事や聞きたいこと、沢山あった筈なのに…それを全部忘れるほど…心地良い…



「アレン…大丈夫か?非常に可愛いのは有り難いんだが…初めての外の世界で…疲れたたんだろう?風呂で寝ては風邪をひくかもしれない…そろそろ上がるか?」

「…………いえ、眠くはないんです…ただ、フレイズ様に触れてると安心できるので…ずっとこうしていたくて…ご迷惑でしたか?」

「………………ぐっ、そんな事は決して無い…だが、俺も男なのは理解しろ…今日はかなり疲れている筈だから無理はさせたくないんだ…
………………だから、あまり俺を煽るな」



そう言ってフレイズ様は僕の頭を大きな手で優しく撫でながら腰を引き寄せて下さる
僕がもっとフレイズ様と密着出来るように…

その優しさが嬉しくて…愛おしくて、もっともっとフレイズ様が好きになってしまう
けど…たぶん、今日は疲れた僕の身体を気に掛けて愛し合うって事はして下さらない…身体の奥からフレイズ様の温かさを感じるっていうのはお預けだ


「今日はゆっくり休もう…本当によく頑張った
ルドレッド公爵夫人としての振る舞いは勿論だが、アレンのあの魔法…アレの効果は絶大だった…取り調べも順調にいくだろう
取り敢えず色々聞きたいこともある筈だ…このままでいいから聞いてくれるか?」

「……………はい、お願いします」



ちゃんと振る舞いが出来て良かった…そう思いつつ
のぼせない程度に湯船でゆっくり過ごす間、フレイズ様は僕の頭を撫でながら聞きたかった事を教えてくれた



フレイズ様がツヴァイ侯爵様と共に今日まで色々調査をしてきた結果、元父様達については僕が映像として見せた監禁とも言える状況と虐待、そして計画的にサージェス伯爵家を乗っ取ろうとしていた事の証拠がゴロゴロ出てきたらしい…
複数の使用人からも証言を得られており、更には周囲を騙してお金を集めていたりとか…色々余罪もあるという

そしてガレット公爵家を含めた複数の貴族については元々自らの権力を増やそうと画策しルドレッド公爵家を化け物だと排除したがってたが、今回サージェス伯爵家との接触が増えている事に気付き、本格的に調べている内に僕の母様の死に関与していると分かったそうだ

しかもそれだけではなく、母様を殺したように食人花の犯行に見せかけて人を殺める…そんな行為をかなり前から繰り返していた可能性もあるのだと言う


基本的に食人花族であるフレイズ様達は、その強大な力を隠さず、自らを化け物だと否定しない事で周囲が恐怖から化け物を排除しろ!と、勝手に乗り込んでくる状況を作り餌を集めていたが…
今回、化け物へ罪を擦り付けて自らの私腹を肥やす輩がいる、無関係な人を殺めて犯罪を犯す場合もある事を知ったらしい


完全犯罪を狙うかのような自らの関与がバレないギリギリの範囲を見極めての犯行…
一見すると悲しい事故でしか無い状況をこれまでにも作り出していたとは気づけなかったそうだ



「アレン…すまなかった
俺がもっと早くその様な考えを持っている事に気づければ、お前の母も救うことができたかもしれないのに…人間が他の人間を巻き込み私腹を肥やすなど、想像していなかった
…………………もしもお前が復讐を…そう考えるなら可能な限り協力はするが…どうする?」

「フレイズ様が、食人花の皆さんが悪い訳ではありません…心が汚れている人間が悪いんです…
母様の事、巻き込まれ殺されてしまったのは残念ですけど、ごめんなさい…復讐とかはいいです…残念ってそれ以上の感情が生まれてこなくて…たぶん母様も復讐とかは望んでいないと思うから…」

「………………そうか」





元々、人は違う種族…見た目は人に擬態しているけど本当は違う彼等が人間の汚い部分を知っていなくてもそれは仕方ない
けど、これからは未然に防げるかもしれないとは思う…僕も学は無いけど、これからは人間の視点でフレイズ様達の手助けを出来るかもしれないのだから…



今日、舞踏会の会場でフレイズ様達が蒔いた化け物達への疑問と疑念の種…それが芽吹く時、僕は僕にしか出来ない事をできる人間になろう…そう、フレイズ様が色々教えてくれる間、心の中で考えていた








ゆっくりとお風呂を楽しみ、寝室に戻ってからフレイズ様と眠る前に沢山キスをして、優しい温もりもを感じつつ眠りにつく…





夢の中で優しく微笑む母様の夢を見たのは偶然だろうか…?もしかしたら復讐なんて本当に考えなくていいと、教えてくれたのかもしれない












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