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もう、彼らに何も与えたくない。
しおりを挟む無条件の愛など存在しない。
けれど、世の中には「自分は無条件に愛されるべき」と考えている人間がいる。
「お姉ちゃんばっかり、ズルい!!」
妹は、いつもこう言っていた。
祖父にお小遣いをもらった私を見て、母親に告げ口したらしい。
祖母も私にばかり話しかけていたし、
父も私を大事にしていたと思う。
それを見た、母と妹は、「お姉ちゃんばかりズルい」「差別だ」と喚いていた。
じゃあ、お前らが私の代わりになればいい。
祖父の畑の手伝いをして、
足腰の悪い祖母の部屋を掃除して、
父の仕事を手伝って。
そりゃあ、私が大事にされるに決まっているだろう。
お前ら、文句しか言わないし。
何もしないではないか。
私は優遇されているように見えるかもしれないけれど、
それは、対価でしかない。
プラマイゼロの関係なのだ。
それが、周囲からは、私が甘やかされているように見えるらしい。
いや、母や妹がそう言いふらしているからだろうけれど。
私が愛されているように見えて、
妹は愛されていないように見える。
しかし、私からも言いたいことがあるのだ。
家族や家の用事に振り回されて、
勉強する時間が少なくなっている。
妹はテストで高得点を取って、褒められて、
成績優秀で、近所の自慢している両親。
私はバカ扱いされて、
家の用事を押し付けられる。
妹は国公立大学に入って、私は高卒で働いている。
両親が周囲に自慢するのは妹のことで、
私のことは、ダメな娘扱い。
だから、私はその言葉通りに自分を演じた。
両親や親戚にバレないように、収入と資産を増やしながら、
何もできない低収入のバカのふりを続けた。
妹にも散々バカにされたが、
適当に受け流して、自分のことだけ考えた。
「妹にバカにされても、何も言い返せない無能」
そうバカにされても、
私には、1人で生きて行けるだけの収入もあったし、
いつもでもこいつらを捨てられるだけの貯金もある。
ある時、妹が会社を辞めた。
自主退職ではあるが、実際は解雇同然だったらしい。
妹は、昔から人をバカにする癖がある。
その原因は、両親にあるし、私にもある。
両親は私を可愛がってはいたが、
実は要領もよく、何事もうまく行くのは姉である私だとわかっていた。
だからこそ、バカにしながらも手放せずにいた。
実際に気に入らない子どもだったのは、私だ。
だから、妹が私の学用品を隠したり、壊したり、
お風呂に入っている間に、給湯器のスイッチをオフにしたり、
そういった嫌がらせを、見て見ぬふりしてきたし、
私が何を言っても、妹を怒ることがなかった。
どんなに姉のことをバカにしても、
両親は、絶対にそれを咎めることはない。
だから、私は諦めたのだ。
妹に嫌がらせされても、無視。
何ごともなかったようにする。
もしくは、嫌がらせの残骸をリビングのテーブルに並べて、何も言わない。
学用品だった場合は、学校の先生に「妹にやられた」と正直に告げる。
そんなことを繰り返していた。
妹からの嫌がらせも罵詈雑言も頻度を増していたが、とにかく無視した。
やはり、両親は妹を咎めることはない。
なので、妹は、それらが悪いことで、
人を傷つけることだという認識がないのだろう。
だから、私以外の気に入らない人間にも
平気で同じことをしてしまう。
それを、家族以外の大人、学校の先生に咎められても、
どうして、それが悪いのかわからない。
相手が傷ついていると、わからないのだ。
この点に関しては、
叱ることをしなかった、両親も悪いが、
私にも大いに原因がある。
しかし、私が妹を怒っても、
両親、特に母親は妹を庇うから、彼女は反省しない。
だから、私はあきらめたのだから。
現在、私は結婚して、それなりに楽しく毎日を過ごしている。
結婚当時にはすでに疎遠だった妹に、報告をした時には、
主人に電話がかかってきて開口一番「よくそんなのと結婚しましたね!」と喚いていた。
妹は私が幸せなのが許せないらしい。
私が彼に大切にされているのは、
無条件に愛されているからではない。
話し合いをきちんとして、
お互いのするべきことを、きちんと果たして。
無理な時は、相談して協力しあう。
そんな関係だからこそ、
私は毎日笑って暮らしていられる。
もし私が、彼に「してもらうのが当たり前」という態度を取っていたら、
関係は悪くなってしまうだろう。
妹は、私が大事にされている理由が
「相手に与えているから」というのを、理解していないのだ。
それが、わからない限り、
彼女は、いつまでも幸せになれないのかもしれない。
ただ、私だって「与えているだけ」「なんの返しもない」、
そんな相手とは、関わりたくないし、縁を切りたい。
返してもらいたくて、与えているわけではないけれど、
返ってくるのが、嫉妬や憎悪の感情でしかないのなら、
もう彼らのために、何もしたくない。
今は、妹、両親と縁を切っている。
もう、彼らには、何も与えたくない。
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