生きているのは、辛いけど。

るい

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必要に感じない人間を認識するのは脳みその容量の無駄、だと思ってた。

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各々が席につき、授業の準備を始める。
私も同様に教科書とノートを机に出し、担当教諭が来るのを待つ。
 
今朝の件で、何か合ってくるのが遅れているのだろう。
始業の待ち時間に私的な本を読んでいて怒られたことがあるので、教科書を読み始めた。
 
1時限目は歴史だ。
歴史の勉強は小説を書くにあたって参考になるので、かなり真剣に授業を聞いている。
 
ただ、教科書の内容、テストに必要な内容と、個人的に読んだ歴史書の内容がまった違うことに戸惑いがあったりもするのだ。
 
学校の授業が所詮は「テストのため」であり、深読みや歴人たちの生い立ち、心理的な動向などは関係がない。
前にテストで「歴史的には正しいし、この答えも間違っていないのだが、授業で教えた答えを書いてくれ」と言われたこともある。
 
なんでも私が書いた答えは中学生レベルではなく、大学の論文に匹敵するのだとか。
その当時、歴史に関する小説を執筆していたので、色々調べたこともあり、ノリノリで回答したのが仇になった。
 
始業から5分ほど遅れてやってきた歴史教師は、「遅れてすまない」とだけ言って、いつも通り授業を始めた。
 
まだ戻ってきていない彼女たちのことは何も言わず、
私の方をチラリと見たけれど、何も言わなかった。
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