生きているのは、辛いけど。

るい

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必要に感じない人間を認識するのは脳みその容量の無駄、だと思ってた。

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いつもより早く食べ終え、胸の前で手を合わせ心の中で「ご馳走様でした」と呟く。
 
食後に水筒に入れたお湯を紅茶のティーバッグを入れたプラスチックのマグカップに注いて、食後のお茶を用意する。
 
食後のおやつであるクッキーを小さなジップロックから取り出し、紙ナプキンの上に並べて、ティータイムだ。
 
 
やはりランチタイムのあとは、こうでないといけない。
 
 
紅茶はスーパーで100個入りで数百円のものだし、
クッキーもスーパーで特売だったものだ。
 
高級なものでなくても、学校という忙しなく勉学に励む合間にこうして落ち着けるのだから、安いものだ。
 
あと10分したら職員室に行こう。
学年主任も昼食を終えているだろう。
 
 
職員室へ行く途中でも、生徒たちの視線を感じた。
おそらくは今朝の一件が噂として広がっているのだろう。
 
気にする必要はないが、気持ちいいものでもない。
 
 
職員室へ入り、目的の人物へ近づいた。
 
「おお、来たか」
 
先に私を見つけた学年主任は、手を挙げて手招きした。
 
「今朝はお手数をおかけしました」
「思ってもいないことを言ってるだろう」
「そんなことありませんよ」
 
この学年主任は、短時間で私のことを理解しすぎではないだろうか。
 
「これが言っていた奴の連絡先だ」
 
1枚の紙を渡される。
そこには、某有名な飲食店掲載サイトが印刷されていた。
 
コメントも評価も何も書かれていない。
ただ、お店の情報だけが載っている。
 
事業主も関与しておらず、運営がただ載せているだけといった感じで、売れていない店というよりは、やる気のない店という感じがする。
 
「先生とはどういったご関係なんですか?」
「俺のいとこの嫁さんがやってるが、高校の同級生でもある」
 
一応、身内の店ということなのだろう。
 
場所は、駅の近くだがあまり行くこともない裏通りだ。
 
「私、そんなに使えるお金がないんですが、大丈夫でしょうか」
「この店は特殊というか、趣味というより節税対策でやってるようなものだから、気にしなくていい」
 
世の中、金はあるところにはあるということか。
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