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その円盤からは農作物が育つ

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 ウチの高校では、理科の授業が変わっている。
 生徒ひとりひとりに、ダーツボードサイズの円盤が与えられた。その名も「農業円盤」。
 中は土で埋め尽くされているが、ひっくり返してもまったくこぼれない。
 僕たちは1カ月間、この円盤から農作物を育てるという。毎日1回、肥料と水を与えるだけでいいらしい。
 保管先は裏庭の専用の畑。僕はそこで毎日、クラスメイトと一緒に肥料と水をやり続けた。
 1カ月後、生徒たちの円盤から作物が顔を出す。
 ある生徒のものからは人参だ。ほかにもほうれんそう、りんごなど、個体によって円盤から育つものは違った。
 僕の円盤からは、何の変哲のない葉っぱが出るだけだった。
「それは茶葉だよ。お茶にして飲んでごらん」
 クラスメートの栞がそう言うので、僕は茶葉の一部を家へ持ち帰り、本当にお茶にして飲んでみた。

 ……異常に苦い。
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