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暴露する折り鶴

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 赤い折り鶴が、校舎内に飛び込んできた。
 紙でできた翼を起用に羽ばたかせ、折り鶴はどこかへ飛んでいく。
 そいつはただの折り紙じゃない。
 折り鶴を広げると、裏の真っ白な部分に特定人物のやましい秘密が書いてある。
 だからそいつは「暴露鶴」。全国に1000羽は飛んでいるという。

 赤い暴露鶴は、職員室のドアが開いた瞬間を狙い、中へ入り込んだ。
 そして公民の田中先生の机の上に舞い降りる。
「これは暴露鶴か? まさか」
 田中先生はそうつぶやきながら鶴を広げ、折り紙としての裏側を見た。そこにはこう書いてある。
「亜島高校1年C組の谷山圭一は、最近都内のカラオケボックスで同級生女子をつかまえ、セクハラをしていた。ほかにも似たような事件を、10件ぐらい起こしている」

「すぐに谷山を問い詰めなければ」
 そうつぶやきながら、田中先生は職員室を飛び出した。
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