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このたんこぶが何でも教えてくれる

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 通学中につまづいた僕は、歩道の柵で頭を打った。立ち上がって家まで帰ったが、自宅の鏡を見ると大きなたんこぶができた。ぶどう一粒分に近い大きさだ。
 そのまま日本史の宿題をしていると「室町幕府が滅んだのは1573年」「織田信長は桶狭間の戦いに勝った」などと声が聞こえた。周囲を見渡しても誰もいないので、ちょっと怖くなった。
「僕はたんこぶサルタント。人生のコンサルタントとして、金田恭吾に何でも教えてあげる。僕の声は君の頭の中にしか聞こえないから安心して」
 たんこぶが僕の名前を知っていることにゾッとしたが、すぐにこれは使えると思った。

 僕はテスト中、たんこぶからあらゆる答えをアドバイスしてもらった。おかげで全教科90点以上。それまでの平均50点ぐらいから大躍進だ。一部アドバイスを聞き逃したり、ケアレスミスしたりもあって100点は少なかった。でも僕の人生は、たんこぶのおかげでバラ色になりそうだ。
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