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17代表同士
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場所は退魔の森から変わって、王国内、オリエントの小屋。
―王国内・オリエントの小屋―
リストにクビを宣告してから数十分後、シャルルは小屋から出てある所に向かおうとしていた。
小屋のドアをガチャッと開けて、外を見渡す彼女はどこか悲しそうな顔をしていた。
「もう、いないですね」
その目で、リストがこの場から立ち去ったか否かを確認していたのだ。
ドアを完全に開けて小屋から出た彼女は拳を握りしめて前を向く。
そこには家々の灯りが消え、暗闇に沈む王国の街並みが映った。静かで暗い世界。まるで自分一人しかいないような感覚に襲われる。
「また一人になってしまいましたか。でも、リストさんを死なせるわけにはいきませんからね」
シャルルはキリッとした顔を前に向けて、歩き出した。その足取りは重い。
せっかく見えたオリエント復興の一筋の希望が潰えてしまったからだ。先程の王政府からの依頼は、受ければ死ぬし、断れば信頼が失墜してクエストが受注されなくなるであろう。
「リストさんともっと、クエストしたかったなぁ」
シャルルは目から滲み出る涙を拭って、一歩一歩確実に進んでいる。向かう先は……。
シャルルの父親の盟友、ガロス率いる名門ギルド【キング・シュナイザー】だ。
キング・シュナイザーの本拠地は小屋ではなく、レンガ造りで二階建ての立派な建造物だ。
その建物の中央上部にはギルドのシンボルである鷹が刻印されている。
シャルルはその大きな建物の前に立つと、コンコンッ、と扉を叩いた。
「あれ? もういないですかね」
シャルルが建物の窓を見上げると、キング・シュナイザーの建物は暗くなっており灯りがついていない。
もう真夜中だ。ギルドのメンバーが帰宅したとしても不思議でもない。何しろここは一流ギルドだ。
団員たちに他に住む場所を提供する事は造作もない。
「はぁ~。また明日来ますか」
シャルルが溜息をついたその時、扉が少し開いた。
どうやら誰かがまだキング・シュナイザーにいるようである。
その扉の隙間から声が聞こえた。
「誰だ?……」
「オリエント代表のシャルルです」
「なんだシャルルちゃんか。入れ、今は誰もいない」
「ありがとうございます。ガロスおじさん」
シャルルは周囲に誰もいない事を確認すると、サッと建物の中へと入った。
入ってみると真っ暗な空間が広がっている。シャルルが右往左往しているとロウソクの灯りがついた。
ガロスがつけたのだろう。
「すまないなシャルルちゃん。灯りはこれくらいでいいかな?」
「はい! これで大丈夫です」
「立ち話もなんだから、座って話そう」
「はい」
ガロスが案内したのはギルドの奥にある立派な椅子とテーブルだ。椅子を引いてシャルルを案内した。
両者がバフっと座るとシャルルの方から会話が始まった。
「ガロスおじさん。私、どうしたら……」
「うむ。俺も困っているんだ。もしかしたら王政府は、俺が裏からオリエントに援助してるのを知ってるのかもな」
「すみません」
「いや、謝らなくていい。俺は、シャルルちゃんの親父さんから世話になったからな」
「……」
「ただ、親父さんに頼まれた事は出来ていないが……」
「ガロスおじさん、私」
「あぁ、分かっている。ギルドを続けたいんだろ? 娘を危険なクエストから遠ざけてくれ、と頼まれたけど、冒険者としての気持ちは親父さん譲りだもんなぁ」
「はい。だから私、今回の共同クエスト受けようと思っています」
「うむ……依頼を断れば王政府に難癖つけられて、ギルド自体を潰されかねないからな。あいつらも卑怯な手を使いやがって」
ガロスは椅子に深く座って、腕を組んだままユラユラと輝くロウソクの火を見つめていた。
―王国内・オリエントの小屋―
リストにクビを宣告してから数十分後、シャルルは小屋から出てある所に向かおうとしていた。
小屋のドアをガチャッと開けて、外を見渡す彼女はどこか悲しそうな顔をしていた。
「もう、いないですね」
その目で、リストがこの場から立ち去ったか否かを確認していたのだ。
ドアを完全に開けて小屋から出た彼女は拳を握りしめて前を向く。
そこには家々の灯りが消え、暗闇に沈む王国の街並みが映った。静かで暗い世界。まるで自分一人しかいないような感覚に襲われる。
「また一人になってしまいましたか。でも、リストさんを死なせるわけにはいきませんからね」
シャルルはキリッとした顔を前に向けて、歩き出した。その足取りは重い。
せっかく見えたオリエント復興の一筋の希望が潰えてしまったからだ。先程の王政府からの依頼は、受ければ死ぬし、断れば信頼が失墜してクエストが受注されなくなるであろう。
「リストさんともっと、クエストしたかったなぁ」
シャルルは目から滲み出る涙を拭って、一歩一歩確実に進んでいる。向かう先は……。
シャルルの父親の盟友、ガロス率いる名門ギルド【キング・シュナイザー】だ。
キング・シュナイザーの本拠地は小屋ではなく、レンガ造りで二階建ての立派な建造物だ。
その建物の中央上部にはギルドのシンボルである鷹が刻印されている。
シャルルはその大きな建物の前に立つと、コンコンッ、と扉を叩いた。
「あれ? もういないですかね」
シャルルが建物の窓を見上げると、キング・シュナイザーの建物は暗くなっており灯りがついていない。
もう真夜中だ。ギルドのメンバーが帰宅したとしても不思議でもない。何しろここは一流ギルドだ。
団員たちに他に住む場所を提供する事は造作もない。
「はぁ~。また明日来ますか」
シャルルが溜息をついたその時、扉が少し開いた。
どうやら誰かがまだキング・シュナイザーにいるようである。
その扉の隙間から声が聞こえた。
「誰だ?……」
「オリエント代表のシャルルです」
「なんだシャルルちゃんか。入れ、今は誰もいない」
「ありがとうございます。ガロスおじさん」
シャルルは周囲に誰もいない事を確認すると、サッと建物の中へと入った。
入ってみると真っ暗な空間が広がっている。シャルルが右往左往しているとロウソクの灯りがついた。
ガロスがつけたのだろう。
「すまないなシャルルちゃん。灯りはこれくらいでいいかな?」
「はい! これで大丈夫です」
「立ち話もなんだから、座って話そう」
「はい」
ガロスが案内したのはギルドの奥にある立派な椅子とテーブルだ。椅子を引いてシャルルを案内した。
両者がバフっと座るとシャルルの方から会話が始まった。
「ガロスおじさん。私、どうしたら……」
「うむ。俺も困っているんだ。もしかしたら王政府は、俺が裏からオリエントに援助してるのを知ってるのかもな」
「すみません」
「いや、謝らなくていい。俺は、シャルルちゃんの親父さんから世話になったからな」
「……」
「ただ、親父さんに頼まれた事は出来ていないが……」
「ガロスおじさん、私」
「あぁ、分かっている。ギルドを続けたいんだろ? 娘を危険なクエストから遠ざけてくれ、と頼まれたけど、冒険者としての気持ちは親父さん譲りだもんなぁ」
「はい。だから私、今回の共同クエスト受けようと思っています」
「うむ……依頼を断れば王政府に難癖つけられて、ギルド自体を潰されかねないからな。あいつらも卑怯な手を使いやがって」
ガロスは椅子に深く座って、腕を組んだままユラユラと輝くロウソクの火を見つめていた。
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