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第三章 彼が王子になった訳
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しおりを挟む「じゃあ、フォア、バック20回ずつ
素振りできた子から壁打ち練習していいよ。」
「はい。」
先輩の合図で一年がそれぞれ動き出す。
素振りが終わると壁打ち練習。
毎日の流れもだんだん慣れてきたものだ。
一回、二回、三回…と数えながら集中していると、
私のすぐ隣にある卓球場へ入る扉が勢いよく中から開いた。
ガラッ―――
「…わ?!」
「あ、ごめんね。」
「…いえ。」
扉の音に思わず驚いて声が出てしまった私。
そして、それに気付き謝る上級生と思われる男子。
それこそが、優羽先輩と私のファーストコンタクトだった。
先輩のとっさの気遣いと
自分好みの塩顔で少したれ目な顔面により一瞬で恋に落ちた私。
これが一目惚れってやつかと初めての経験に胸がギュッと熱くなった。
「ねぇ、さおちゃん。あの先輩なんて名前かな?」
「え、知らないよ、誰あれ。」
「今卓球場から出てきた私の王子。」
「…は?」
すっとんきょうな顔をしているさおちゃんをよそに、
私は先輩の歩いていく方向を必死に目で追った。
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