上 下
11 / 13

弁解のつもりが…

しおりを挟む
「…なんかごめんな。」
「なん…で…結月が、謝るの?」
「いや…話聞いてて思ったんだけど、お前俺のことまだ好きなの?」

「へ?!」


思わず声が裏返ってしまった。
結月の突然の発言に、止まらなかったはずの涙がピタッと止まった。



「だって、ずっと俺のこと思ってたんでしょ?
 起きてる時も、寝てるときも(笑)」

「…!」


結月が笑いながら言う言葉に自分が
ありのままに話してしまったことが今になって恥ずかしく思える。


「七年間、ずっと一途だったんだ。」

「…っそれはっ…。」
「でも、たまたま昨日ワンナイトしちゃったんだ?」

「…っ!」
「そして、それが運のツキなのかたまたま俺に会ってしまって。」

「…。」
「幸か不幸か俺に連れ去られ。」
「え…?」
「んで、誤解を必死で解いて俺にアピールしてるって訳ね。」
「そ、それはっ…違う!」


「…俺も同じだよ。」
「え…?」


私の苦し紛れの抵抗を翻したのは結月の方だった。


「え?今なんて?」
「いや、俺もさ。別れてから七年間彼女いなくて。
 …杏奈のこと思ってたよ。」
「うそ…。」
「嘘じゃねぇよ。
 元々別れたのもお互い就職して生活リズムが合わなくなって
 自然消滅みたいな所あったじゃん?」

「…まぁ。」
「仕事が落ち着いてふと気づいた時に、
 めちゃくちゃ惜しいことしたなって後悔してた。」

「…私もだよ。」
「え?」
「私も、仕事落ち着いたら結月に会いたくてしょうがなくて…
 でも、勇気が出なくてずっと連絡できないでいたの。」


「…俺らどんだけ似たもの同士なの(笑)」


思わず笑った結月の顔が妙にかっこよくて顔が赤くなる私。
しおりを挟む

処理中です...