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運が良かった
しおりを挟む私はジャックリーン・エルドラ男爵令嬢、茶色のふわふわの髪にエメラルドグリーンの瞳をした愛らしい容姿をしているので男性から声をかけられることが多い
が、あまり勉強などは得意ではないし、少しおバカな方が男性受けはいいと思うの
流石に必要な外国語の補習があり、久しぶりに遅くまで学園に残ってしまったわ
「本当にジャスは可愛いな」
あら、わたしのことかしら?聞き覚えのある声にちょっと嬉しくて聞き耳を立てる
「あぁ、誰がエルドラ嬢を先に落とせるかな。もうキスまでした奴はいるか?」
「頭は軽いのに意外と身持ちはかたいんだよな、もう少しなんだけど」
「遊ぶにはうってつけだとおもったんだがな」
「あぁ、頭が軽いからちょろいし、爵位も丁度いい、スタイルも抜群だ。遊んだからといって彼女は跡取り娘だから本人が縁談に困ることもない。」
「ちょっとしたことで喜ぶし、男をたててくれるから、小難しい話をするプライドの高い婚約者とは大違いだ」
「跡取りじゃないと愛人としてきちんと囲わないといけないからな」
「ちょっとした息抜きにとても都合がいいよな」
「まったくだ、でも俺たちも夢を壊さないようにしてるんだからいいだろう」
「そうだな、きちんと婚約者がいることも伝えているからな」
「婚約者もそれがわかっているから黙認してくれるしな、高級娼館より寛容だよ」
「性格も育ちも悪くないからお金もかからない」
「あぁ、ひまな学園生活のよい暇つぶしだよ」
あははははと笑いあう声が遠くにいくまで足が動かなかった
あぁなんと浅はかなんだろう私は、、、
私は、、、
その日帰ってから部屋からでられなくなり、夢をみた
私は跡取り娘、領地持ちの私は社交界に上がったのは14歳の学園入学と同時で、高貴な令息達に声をかけられるようになった
王太子の側近の侯爵家次男のクラウド・グリフィンドール、宰相家嫡男のマイケル・スリザリン、騎士の名門の辺境伯家三男グラフ・レイブンクロウ、外交の公爵家嫡男のエイドリアン・ハッフルパフ
特に彼らは黄金の4人として年周りが近い
特にわかりやすくアプローチしてきてからは身分の近い年まわりのよい令息からは声をかけられなくなった
身分も見目もよい彼らに愛をささやかれて喜ばない子女は皆無だ
もちろん!彼らに懇意にしてもらい田舎娘は青春を謳歌したまるで乙女ゲームのように目立つ一群の中にいた
何度か子女に苦言を呈されたが、嫉妬だと思いききながしていた
しかし、みなとは一線は超えていない
仲良くおしゃべりやデートをしたくらいだ
もちもん宝石やドレスなんてねだっていない
観劇や画廊に足を運ぶ程度だ
そうして3ヶ月くらい経ち社交界シーズンが明けて、領地へ戻る時期になった頃に今回事件が起きた
いや、ハリーポッターかよ
やっぱり乙女ゲームのような世界はない
無常だがない、
別の世界での私の記憶がショックとともに夢で走馬灯のように駆け巡っていく
あぁ、、なんて私は浅はかだったのか
一線を越える前でよかった
なんとなく彼らからは感じ取ってはいた
だからこそ本気にはならなかった
朝焼け前の薄暗い中で目を覚ました私はさっそく行動を開始した
明日から領地に帰れるように手配し、学園では4人の令息を含めて友人達に、身内の病気で一足先に領地へ戻ることを告げた
さみしい、帰りたくないなどとこぼしながらその日は早く帰宅した
「それで、私を病気にしてまでどうして早く戻ってきたのかしら?」
14歳の子供を持ちながら抜群のプロモーションと色気を漂わせながら金髪でエメラルドグリーンの瞳の母がきいてきた
母は元高級娼館の売れっ子で、父はそんな母を射止めた優秀な領主だ
そう、どちらも優秀なのだ
私は両親に憧れてロマンチックな結婚がしたくて学園で婿探しを希望していた
学園生活のこと、彼らの話を母に伝えると
母はあらあらとにっこり笑った
「逆に伯爵くらいの身分の高い令嬢の方が身持ちが悪いのに、その令息達はまだまだね。それに女性の方が早熟ですもの彼らの婚約者の方が従者なんかと寝てることが多いわよ。身分が低い方が避妊薬も買えないことがあるから遊ばないし、ジャスには私がおしえてたものね?
男は手に入らない女に弱いのよって」
「ええ、本当に夢から醒めたわ。今思い出してもむかむかするわ。」
「ふふっ、まだこの時期で良かったわ次の社交界シーズンまでそんな感じならさすがに婿入りをそんなに選べなくなるもの。だって貞操を疑われるし狙われるもの。思春期の男の子は危ないのよ。しかも彼ら、去年も新入生を狙って落としたそうよ。」
社交シーズン以外領地からあまり出ないのに母の情報網に驚く
「それで?ジャスの作戦は?」
いたずらをするような眼で母は訊ねる
「教養と語学、芸術を極めるわ!!そして婿入りによさそうな方のピックアップと情報をお願いしたいの!!」
「あら、ロマンチックな恋に憧れてたんじゃないの?」
「恋愛は受け身だといけないもの!!」
「まぁ、作戦は及第点ね。ただ身体も磨いて所作も磨きなさい、次学園に行くうちに高嶺の花になるのよ。あんなお坊ちゃんなんかあしらってしまえばいいのよ」
ひとり娘で甘やかされていた私はとにかく勉強が苦手だった
でも、夢の中で私は大学職員だった30手前の女性だった。もともと文系でフランス語やスペイン語も勉強していたから、今勉強しても苦痛ではない。むしろ女性名詞や男性名詞などの概念があったため、文法を意識して外国語を勉強できた
夢のことは徐々に忘れてしまったけど、
元々、優秀な両親の娘だ
音楽や体幹トレーニングなどの筋トレでダンスも上手に踊れるようになった
2ヶ月で所作もどんどん磨かれる
冬になり久しぶりに登校した学園、一段と綺麗に外見も所作も磨かれた私に、意気揚々と彼らは声をかけてくる
避けたり拒絶なんてしない
なかなか得られない縁だ
頭のいい女は頭がいいと思わせない能力もある
そしてあざといとも気づかせない自然な余裕もある
彼らを踏みだいに男のあしらい方や
派閥関係などのなかなか得られない情報をそれとなく聞き出す
令息達がまだまだといった母の見立ては正しかった
私なんかに話していけない機密ももらしてしまう
まぁ私の話を、誰がきいているかわからない学園で話ししている時点でお察しなのだが
また、男爵令嬢では見れない芸術品や参加できない音楽会やガーデンパーティーなども呼んでもらい
着実に繋がりを広げていった
私の男のあしらいが上手だったのか、マイケルとグラフは途中私に本気になってしまった
婚約解消に乗り出しそうになっていると彼らの婚約者から苦言を呈された
そのため、私自身が婚約することを伝えることにした
南の田舎領地の子爵の三男
成績優秀、人当たりも良く不快に感じない程度の見目でややぽっちゃりで小さい年下の彼
何より波長がとても良く合う
良いと思う言葉選びや、笑うセンスが近い
また、視野の広さもあり困っている人を助ける実行力もある
彼はなかなかいけないサロンでたまたま縁を繋いだ
本当に4人には感謝している
4人が私を落とそうとしていることで、逆に貞操が護られていることが明らかであり
今回の社交シーズンではとくに悪い噂なく、縁を繋いだおかげでむしろ私の評判はよかった
4人の話をきかないままだったらますます舞い上がって自惚れて純潔がなくなって評判が逆振りになっていた可能性が高い
「ジャス!!婚約したんだって??どうして?もう少しで私も婚約解消してフリーになって君に結婚を申し込もうとしていたのに!!」
「そうだ!私も両親に本当に君のことを相談していたところだったんだよ」
私が婚約して、4人とも私に不満を伝えにきた
「ふふっ、私は男爵令嬢ですし、跡取り娘ですもの? いつも親切にしてくださって嬉しいわ、でももう愛称で呼ばないでって伝えていたじゃない?
私両親のように恋愛結婚がしたかったのよ??エドウィンにびびびって恋に落ちちゃったのよ!!祝ってくださるわよね?」
そうにっこり幸せそうに微笑めば、プライドの高い彼らは、もちろんとぎこちなく笑うしかなかった
学園で高嶺の華として一目おかれ、成長期でみるみるかっこよくなっていく婚約者に毎日恋しながら幸せな毎日おくった。
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