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第一章『初陣へ』
伊達政宗、プロポーズは伊達じゃない その弐
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俺は息継ぎをせずに話したから、一回咳き込んでしまった。「以前、愛姫に佐久間信盛を信長が追放すると言ったが、そのことも『信長公記』には記されている。佐久間信盛は柴田勝家と並んで織田軍の両総督と呼んでも良いくらいの存在だ。佐久間信盛は信長からの信頼も厚かった。だが、信長からの評価が落ちるきっかけとなった戦いがある。徳川家康が糞尿を漏らしたことで有名な三方ヶ原の戦いだ。
三方ヶ原の戦いでの、徳川家康の対戦相手は武田信玄だ。その戦いにて、徳川家康は武田信玄に大敗した。通説では武田信玄軍は二万から三万人、徳川家康軍は八千人と織田信長からの三千人の援軍。その織田信長からの三千人の援軍の中に、佐久間信盛がいたわけだ。佐久間信盛は三方ヶ原の戦いで成果を上げず、一緒に三方ヶ原の戦いに派遣された平手汎秀を見殺しにした挙げ句の果てに、自分と家臣を無傷のまま帰還した。そんな背景もあり、1580年8月には佐久間信盛は織田信長によって追放された。
佐久間信盛の追放も『信長公記』に記されていることなのだが、予言の書『予言未来書 一之巻』の内容は『信長公記』を参考にしているはずだ。内容はどちらも酷似しているからだ」
思ったより長く話してしまったが、小十郎と愛姫には大体伝わっただろう。『予言未来書 一之巻』を書くために『信長公記』を参考にしたのなら、作者は未来の人間だということは明々白々だ。やはり、転生者・転移者・時間旅行者が作者だと考えて大丈夫だ。
江渡弥平一味が時間旅行者集団だとしたら、江渡弥平が一味のトップだとしても一人で大人数の統率が出来るはずがない。つまり、江渡弥平一味のバックにはかなり大きな組織があるはずだ。そのかなり大きな組織は、現代日本にあるだろうし、タイムマシンを作れるほどの力のある組織は大会社か? だけど、歴史を変えて、何のメリットがあるんだ?
「政宗様」
愛姫は予言の書を眺めながら口を開いた。
「どうしたんだ、愛姫」
「この予言の書の作者を転生者・転移者・時間旅行者と考えることは容易ですが、実際に予言者はいないのでしょうか?」
「なるほど。実際に存在するかもしれない予言者か。時間があったら探してみよう」
三人で予言の書について話し合った。その翌日、輝宗からルビーの調達が完了したのと連絡が入ったので、本丸御殿に向かった。
「父上。ありがとうございます」
「ルビーといっても、それほどは大きくないが勘弁してほしい」
「いえ、私が大きさについてとやかく言えた立場ではないので」
「そのルビーだが、加工されたものだからそのまま愛姫に渡しても大丈夫だ」
輝宗は布を何重にも被せた木箱を出した。
「この箱の中にルビーが一つ入っている。持っていくがよい」
「では、失礼して......」
木箱を受け取り、布のすき間から中身を確認した。ピンク色に光り、万人を虜にする美しさだ。このルビーの形に合うように金属でリングを作ってドッキングさせれば指輪の完成だ。早速リングの設計図を書き上げて、鍛治屋に注文しよう。
「それでは、父上。私はこれで」
輝宗は無言でうなずいた。俺は本丸御殿を出ると、小十郎と合流して指輪のリングの形状について考えを出し合い、リングの設計図を書き上げた。鍛治屋にリングの注文を終えると、ルビーを大切に木箱に入れて愛姫に見つからぬように隠した。
後日、鍛治屋からリングが完成したとの報告を受けて完成品を見に行った。
「鍛治屋! リングが完成したのか?」
「かなりシンプルな構造だったので、思ったより早く作ることが出来ました」
「それは良いな。見せてくれ」
「これです」
鍛治屋からリングを受け取った。設計図通りにちゃんと作られていた。
「協力に深く感謝する」
「いえ、こちらこそ」
リングを持ち帰ると、木箱からルビーを取り出して、指輪にはめ込んだ。ルビー自体を傷つけぬように細心の注意を払ってはめ込んだため、十分ほどの時間がかかったが何とか指輪とルビーを合体させた。
小十郎を呼び、木箱に戻した指輪を見せようと木箱を手に取って布を持ちあげた。
「は!? 指輪がねぇ!」
「本当か、名坂!」
小十郎と二人て、木箱をじっくりと観察したり触ったりして確かめたが、指輪は煙のように姿を消した。
「どういうことだよ」
「名坂が言うには現在の伊達家の家臣には竺丸派の奴が多いんだろ? 何かの妨害かもしれない」
「なるほど、そういうことか! 全て竺丸の仕業か! クソがぁ!」
「ま、まあ、落ち着けよ名坂。手分けして城内を探してみよう」
「そうだな。手分けしよう」
二人で城内を走り回ったが、指輪などまったく見つからなかった。イラついた俺は火縄銃で木をバンバン撃った。辺りが暗くなり、廊下に行灯が灯された。
小十郎と合流した。小十郎も指輪を発見することは出来なかったようだ。とぼとぼ廊下を歩いていると、一人の家臣とすれ違う。光りに照らされて、その家臣の指元がはっきりと見えた。指には指輪がはめられていて、指輪には赤く光りを反射させる宝石があった。おそらく、ルビーだろう。
「おい、待て!」
俺が呼び止めると、その家臣は走り出して逃走を始めた。
「小十郎、追うぞ!」
「はい、若様!」
三方ヶ原の戦いでの、徳川家康の対戦相手は武田信玄だ。その戦いにて、徳川家康は武田信玄に大敗した。通説では武田信玄軍は二万から三万人、徳川家康軍は八千人と織田信長からの三千人の援軍。その織田信長からの三千人の援軍の中に、佐久間信盛がいたわけだ。佐久間信盛は三方ヶ原の戦いで成果を上げず、一緒に三方ヶ原の戦いに派遣された平手汎秀を見殺しにした挙げ句の果てに、自分と家臣を無傷のまま帰還した。そんな背景もあり、1580年8月には佐久間信盛は織田信長によって追放された。
佐久間信盛の追放も『信長公記』に記されていることなのだが、予言の書『予言未来書 一之巻』の内容は『信長公記』を参考にしているはずだ。内容はどちらも酷似しているからだ」
思ったより長く話してしまったが、小十郎と愛姫には大体伝わっただろう。『予言未来書 一之巻』を書くために『信長公記』を参考にしたのなら、作者は未来の人間だということは明々白々だ。やはり、転生者・転移者・時間旅行者が作者だと考えて大丈夫だ。
江渡弥平一味が時間旅行者集団だとしたら、江渡弥平が一味のトップだとしても一人で大人数の統率が出来るはずがない。つまり、江渡弥平一味のバックにはかなり大きな組織があるはずだ。そのかなり大きな組織は、現代日本にあるだろうし、タイムマシンを作れるほどの力のある組織は大会社か? だけど、歴史を変えて、何のメリットがあるんだ?
「政宗様」
愛姫は予言の書を眺めながら口を開いた。
「どうしたんだ、愛姫」
「この予言の書の作者を転生者・転移者・時間旅行者と考えることは容易ですが、実際に予言者はいないのでしょうか?」
「なるほど。実際に存在するかもしれない予言者か。時間があったら探してみよう」
三人で予言の書について話し合った。その翌日、輝宗からルビーの調達が完了したのと連絡が入ったので、本丸御殿に向かった。
「父上。ありがとうございます」
「ルビーといっても、それほどは大きくないが勘弁してほしい」
「いえ、私が大きさについてとやかく言えた立場ではないので」
「そのルビーだが、加工されたものだからそのまま愛姫に渡しても大丈夫だ」
輝宗は布を何重にも被せた木箱を出した。
「この箱の中にルビーが一つ入っている。持っていくがよい」
「では、失礼して......」
木箱を受け取り、布のすき間から中身を確認した。ピンク色に光り、万人を虜にする美しさだ。このルビーの形に合うように金属でリングを作ってドッキングさせれば指輪の完成だ。早速リングの設計図を書き上げて、鍛治屋に注文しよう。
「それでは、父上。私はこれで」
輝宗は無言でうなずいた。俺は本丸御殿を出ると、小十郎と合流して指輪のリングの形状について考えを出し合い、リングの設計図を書き上げた。鍛治屋にリングの注文を終えると、ルビーを大切に木箱に入れて愛姫に見つからぬように隠した。
後日、鍛治屋からリングが完成したとの報告を受けて完成品を見に行った。
「鍛治屋! リングが完成したのか?」
「かなりシンプルな構造だったので、思ったより早く作ることが出来ました」
「それは良いな。見せてくれ」
「これです」
鍛治屋からリングを受け取った。設計図通りにちゃんと作られていた。
「協力に深く感謝する」
「いえ、こちらこそ」
リングを持ち帰ると、木箱からルビーを取り出して、指輪にはめ込んだ。ルビー自体を傷つけぬように細心の注意を払ってはめ込んだため、十分ほどの時間がかかったが何とか指輪とルビーを合体させた。
小十郎を呼び、木箱に戻した指輪を見せようと木箱を手に取って布を持ちあげた。
「は!? 指輪がねぇ!」
「本当か、名坂!」
小十郎と二人て、木箱をじっくりと観察したり触ったりして確かめたが、指輪は煙のように姿を消した。
「どういうことだよ」
「名坂が言うには現在の伊達家の家臣には竺丸派の奴が多いんだろ? 何かの妨害かもしれない」
「なるほど、そういうことか! 全て竺丸の仕業か! クソがぁ!」
「ま、まあ、落ち着けよ名坂。手分けして城内を探してみよう」
「そうだな。手分けしよう」
二人で城内を走り回ったが、指輪などまったく見つからなかった。イラついた俺は火縄銃で木をバンバン撃った。辺りが暗くなり、廊下に行灯が灯された。
小十郎と合流した。小十郎も指輪を発見することは出来なかったようだ。とぼとぼ廊下を歩いていると、一人の家臣とすれ違う。光りに照らされて、その家臣の指元がはっきりと見えた。指には指輪がはめられていて、指輪には赤く光りを反射させる宝石があった。おそらく、ルビーだろう。
「おい、待て!」
俺が呼び止めると、その家臣は走り出して逃走を始めた。
「小十郎、追うぞ!」
「はい、若様!」
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