13 / 13
第13話 幸せ
しおりを挟む
ここはマクライン公爵邸だ。
あり得ない来訪者に、ディアナは笑顔を忘れてしまう。
頼みの綱の父もいないし、尚更ムスッとなる。
「なぜわたくしを婚約者に?」
目前の男をつい非難がましく見てしまう。
「君が良いと父に言ったら即決定したよ」
「でもシリウス様にはアリス様が」
「彼女とはあり得ない」
シリウスははっきりと言った。
「もう決定したことだ。この婚約は覆らないし、俺は浮気もしない」
その言葉にドキッとした。
夢の中ではシリウスは浮気し、その為にディアナは酷い嫌がらせに走った。
「君は本来心優しい人なのだとあの茶会で知ったよ」
キャシーを責めもせず庇い建て、しかも婚約者まで作ってあげた。
浄化の魔法を使用するとアリスが疲弊すると知っていて断り、また場の雰囲気を壊さぬよう茶会の途中で退席した。
王家主催の茶会なのに途中で帰るとは、非難されてもおかしくないのに。
「だから俺は君との婚約を選んだ」
夢の中の彼女があんなにも性格悪く醜かったのは、自分が道を違えたからだ。
本当の彼女は人を想える優しい人だ。
「どうかこの婚約を受けて欲しい。俺が生涯をかけて守るから」
シリウスの目を見て、ディアナは本気なんだと知る。
「夢なのではないでしょうか。まさかわたくしにこのように言って下さるなんて」
涙がジワリとこみ上げる。
「夢ではない、現実だよ」
そっと手の甲に口づけをされ、ディアナの全身の血が沸騰する。
「なななな何をっ?!」
こんな事は経験がないので、ディアナは発熱したかの如くふらふらとなってしまった。
「愛しいという気持ちを伝えようと思ってね」
シリウスも若干照れながらそう言う。
初々しい反応だ。
夢の中での彼女は、身分と財産そして自分の体を武器にシリウスに迫ってきた。
触れるだけものであったが、あの柔らかさは忘れられない。
今は子供故にまだまだ魅力は低いが、学園に入学する年に大人の女性に変わるのだ。
こんなに優しくて顔も可愛い、そして女性らしいスタイルを持つ彼女はまさに完璧な淑女だ。
夢の中ではシリウスに一途であったが、今はどうにも避けられている。
このままでは彼女を誰とも知らない男に取られてしまう。
夢の中とは言え、一度は手にした女性をみすみす奪われたくはない。
「俺が愛しているのは君だ」
「わたくしも、あなたを愛しています」
夢で見たものと違っていたが、ディアナとシリウスは幸せを手に入れた。
シリウスはきちんと約束を守ってくれ、ディアナもまたシリウスを信じ、嫉妬心を抑えるように努めた。
というか学園に入ってから嫉妬するのは主にシリウスの方だ、愛を知って穏やかになったディアナに惹かれるものが増えたという背景がある。
アリスは何とかシリウスの好意を引き付けようとするが、
「すまないがディアナ以外に興味はなくてね」
と一蹴され、すごすごと引き下がるしかなかった。
そして夢の中では婚約破棄のあった卒業パーティが訪れた。
シリウスは同じように挨拶を頼まれ、壇上に上がり、そして高らかに宣言した。
「ディアナ=マクライン。俺は君と一生添い遂げたい、だから結婚してくれ!」
まさかの言葉だ。
壇上から降りてきたシリウスはディアナの前で膝をつき、手を差し出した。
「君を傷つけることは二度とない。だから俺を信じて」
冷たさなど感じない、熱く求める視線だ。
「あなたを信じます。不束者ですがどうぞよろしくお願いします」
ディアナは震えながらそっとシリウスと手を重ねた。
あの悪夢から数年後、ようやく夢から解き放たれたのだ。
あり得ない来訪者に、ディアナは笑顔を忘れてしまう。
頼みの綱の父もいないし、尚更ムスッとなる。
「なぜわたくしを婚約者に?」
目前の男をつい非難がましく見てしまう。
「君が良いと父に言ったら即決定したよ」
「でもシリウス様にはアリス様が」
「彼女とはあり得ない」
シリウスははっきりと言った。
「もう決定したことだ。この婚約は覆らないし、俺は浮気もしない」
その言葉にドキッとした。
夢の中ではシリウスは浮気し、その為にディアナは酷い嫌がらせに走った。
「君は本来心優しい人なのだとあの茶会で知ったよ」
キャシーを責めもせず庇い建て、しかも婚約者まで作ってあげた。
浄化の魔法を使用するとアリスが疲弊すると知っていて断り、また場の雰囲気を壊さぬよう茶会の途中で退席した。
王家主催の茶会なのに途中で帰るとは、非難されてもおかしくないのに。
「だから俺は君との婚約を選んだ」
夢の中の彼女があんなにも性格悪く醜かったのは、自分が道を違えたからだ。
本当の彼女は人を想える優しい人だ。
「どうかこの婚約を受けて欲しい。俺が生涯をかけて守るから」
シリウスの目を見て、ディアナは本気なんだと知る。
「夢なのではないでしょうか。まさかわたくしにこのように言って下さるなんて」
涙がジワリとこみ上げる。
「夢ではない、現実だよ」
そっと手の甲に口づけをされ、ディアナの全身の血が沸騰する。
「なななな何をっ?!」
こんな事は経験がないので、ディアナは発熱したかの如くふらふらとなってしまった。
「愛しいという気持ちを伝えようと思ってね」
シリウスも若干照れながらそう言う。
初々しい反応だ。
夢の中での彼女は、身分と財産そして自分の体を武器にシリウスに迫ってきた。
触れるだけものであったが、あの柔らかさは忘れられない。
今は子供故にまだまだ魅力は低いが、学園に入学する年に大人の女性に変わるのだ。
こんなに優しくて顔も可愛い、そして女性らしいスタイルを持つ彼女はまさに完璧な淑女だ。
夢の中ではシリウスに一途であったが、今はどうにも避けられている。
このままでは彼女を誰とも知らない男に取られてしまう。
夢の中とは言え、一度は手にした女性をみすみす奪われたくはない。
「俺が愛しているのは君だ」
「わたくしも、あなたを愛しています」
夢で見たものと違っていたが、ディアナとシリウスは幸せを手に入れた。
シリウスはきちんと約束を守ってくれ、ディアナもまたシリウスを信じ、嫉妬心を抑えるように努めた。
というか学園に入ってから嫉妬するのは主にシリウスの方だ、愛を知って穏やかになったディアナに惹かれるものが増えたという背景がある。
アリスは何とかシリウスの好意を引き付けようとするが、
「すまないがディアナ以外に興味はなくてね」
と一蹴され、すごすごと引き下がるしかなかった。
そして夢の中では婚約破棄のあった卒業パーティが訪れた。
シリウスは同じように挨拶を頼まれ、壇上に上がり、そして高らかに宣言した。
「ディアナ=マクライン。俺は君と一生添い遂げたい、だから結婚してくれ!」
まさかの言葉だ。
壇上から降りてきたシリウスはディアナの前で膝をつき、手を差し出した。
「君を傷つけることは二度とない。だから俺を信じて」
冷たさなど感じない、熱く求める視線だ。
「あなたを信じます。不束者ですがどうぞよろしくお願いします」
ディアナは震えながらそっとシリウスと手を重ねた。
あの悪夢から数年後、ようやく夢から解き放たれたのだ。
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
【完結】私の愛する人は、あなただけなのだから
よどら文鳥
恋愛
私ヒマリ=ファールドとレン=ジェイムスは、小さい頃から仲が良かった。
五年前からは恋仲になり、その後両親をなんとか説得して婚約まで発展した。
私たちは相思相愛で理想のカップルと言えるほど良い関係だと思っていた。
だが、レンからいきなり婚約破棄して欲しいと言われてしまう。
「俺には最愛の女性がいる。その人の幸せを第一に考えている」
この言葉を聞いて涙を流しながらその場を去る。
あれほど酷いことを言われってしまったのに、私はそれでもレンのことばかり考えてしまっている。
婚約破棄された当日、ギャレット=メルトラ第二王子殿下から縁談の話が来ていることをお父様から聞く。
両親は恋人ごっこなど終わりにして王子と結婚しろと強く言われてしまう。
だが、それでも私の心の中には……。
※冒頭はざまぁっぽいですが、ざまぁがメインではありません。
※第一話投稿の段階で完結まで全て書き終えていますので、途中で更新が止まることはありませんのでご安心ください。
殿下!婚姻を無かった事にして下さい
ねむ太朗
恋愛
ミレリアが第一王子クロヴィスと結婚をして半年が経った。
最後に会ったのは二月前。今だに白い結婚のまま。
とうとうミレリアは婚姻の無効が成立するように奮闘することにした。
しかし、婚姻の無効が成立してから真実が明らかになり、ミレリアは後悔するのだった。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
運命の番より真実の愛が欲しい
サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。
ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。
しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。
運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。
それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
天真爛漫な婚約者様は笑顔で私の顔に唾を吐く
りこりー
恋愛
天真爛漫で笑顔が似合う可愛らしい私の婚約者様。
私はすぐに夢中になり、容姿を蔑まれようが、罵倒されようが、金をむしり取られようが笑顔で対応した。
それなのに裏切りやがって絶対許さない!
「シェリーは容姿がアレだから」
は?よく見てごらん、令息達の視線の先を
「シェリーは鈍臭いんだから」
は?最年少騎士団員ですが?
「どうせ、僕なんて見下してたくせに」
ふざけないでよ…世界で一番愛してたわ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる