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第18話 エピローグ
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そうして選定の儀は終わった。
途中フィリオーネが刺客に襲われる事態はあったものの、ゼインの活躍で未然に防がれた事で選定に支障は起きなかった。
刺客を放ったのはセルガだ。
セルガは選定の儀を邪魔しようとした事、そして令嬢誘拐を企てたとして、投獄される。
その後については……内密に処理をされた。
カナリアにもなれず、父もいなくなり、一人残されたククルだが、変わらずにカナリアを自称をし、周囲を困らせるようになってしまう。
「本物のカナリアはあたしよ、フィリオーネではないわ!」
そう言って憚らず、そうしてその行為はどんどんとエスカレートしてしまう。
一向にキャネリエ家の本邸から出て行こうとしないククルのもとへ、エイディンが訪れる。
「ねぇククル嬢。カナリアというのは国の大切な役割だと話をしたよね」
「えぇ。ですから容姿も、そして歌もフィリオーネよりも優れたあたしが継ぐべきです。だってこんなにも歌がうまくて、綺麗ですもの」
「わぁ凄い。そんなにも自分に自信があるって羨ましいなぁ。ねぇセクト、シャラ」
エイディンが目配せをするとエイディンの後ろに控えていた二人がククルの腕を掴む。
「な、なに? 離してよ!」
暴れようとするククルの手と口を素早く塞ぐと、二人は荷物のようにククルを抱える。
「カナリアを詐称するものには罰が下るんだよ。言ったでしょ? 国からの大事な役割だって。あまりにもひどい振る舞いだから、君は牢に入らなくてはならない。あぁ、君の親族からの了承も得ているから心配しないで」
ククルは暴れるが体格の良い二人はびくともしない。
「フィリオーネ嬢はこれからこの国の顔となる大切な女性だ。それに僕の大事な親友の妻で大好きなアマリアのお友達、ね、君よりも全然大事な存在だろ?」
エイディンはすっと笑顔を殺す。
「だから君は要らない。僕の前から消えて」
怯え震えるククルに目をくれる事もなく、エイディンはその場を後にする。
まるで何事もなかったのように。
「さて、そろそろアマリアの誕生日の用意をしなければ。今年はどんなぬいぐるみを送ろうかな」
◇◇◇
「あのゼイン様、そろそろお仕事の時間では?」
「嫌だ、行きたくない」
そう言ってゼインはフィリオーネを抱きしめる。仕事へ行く時間が迫っているのに、ゼインは全く離れる気がないようだ。
あの選定の儀でフィリオーネはカナリアに選ばれた。
それ故生活が忙しくなり、二人きりの時間がなかなか取れなくなってしまったのだ。
「そうは言いますが、今日は一緒に王宮へ行く日ですもの。まだ良い方ではないですか?」
今日は月に一度の王宮で歌を披露する日となっている。行き先が同じなので馬車も一緒なのだけれど、それでもゼインはごねていた。
「そうだけれど、あなたが他の男に見られるところを間近で見るのもつらい」
ゼインとしてはフィリオーネが誰かと話したり、見つめられるのも嫌だそうだ。
(こんな事ならカナリアに選ばれない方が良かったのでは?)
そんな考えが頭をよぎる事もあるが、フィリオーネには言えない。
フィリオーネがカナリアになったことで、キャネリエ家を取り戻すことが出来たのだ。親戚づきあいも復活し、近々会う予定もある。
皆で歌うという楽しい集会も復活するのだ。
「それはどうしようもない事なので……どうしたら納得していただけるでしょう」
困ったように笑うフィリオーネを見て、ゼインの眉間にまた皺が寄る。
「そんな顔をさせたいわけではないし、我儘を言っている自覚はある。すまない」
渋々といった様子でゼインはフィリオーネから離れた。
「私もゼイン様を悲しませたいわけではないので、何とかよい解決が出来ればと思います」
離れてしまったゼインの手をフィリオーネが繋ぎ止める。
「もうすぐ夫婦となるのですから、あまりもやもやを抱えないように二人で考えていきましょう」
「あぁ」
ゼインもまたフィリオーネの手を握り返して、ようやく馬車へと乗り込んだ。
「もやもやというか、一つ心残りがある。フィリオーネと一緒に行きたいところがあるんだ」
「行きたいところ、ですか?」
「フィリオーネさえ良ければだが、結婚式の前にフィリオーネの両親のお墓参りに行きたい」
フィリオーネは小さく息をのむ。
「あなたがまだ気持ちの整理が出来ていないのならば、出来た時でいい。ただ結婚の挨拶をしたくて」
その言葉にフィリオーネの目元にじわりと涙がこみ上げる。
「そう言ってくださるの、すごく嬉しいです。そうですね。私もカナリアになれたのだと、両親に報告をしたいです」
亡くなってから一度もお墓参りにいけなかった。外に出てはいけないと言われた事もあるが、いまだに心の整理が付いていなかったからもある。
葬儀に出られなかった負い目も感じていた。
「こんな蛇のような目つきの悪い男だが、結婚を許してもらえるだろうか」
「ふふ、絶対に許してもらえますよ。だってこんなにも優しい人ですから」
フィリオーネはゼインに体を寄せ、ゼインもまた腕を回す。
「ぜひ今度一緒に行きましょうね、約束ですよ」
ゼインと一緒であればきっと行ける。
そう、どこへだって。
途中フィリオーネが刺客に襲われる事態はあったものの、ゼインの活躍で未然に防がれた事で選定に支障は起きなかった。
刺客を放ったのはセルガだ。
セルガは選定の儀を邪魔しようとした事、そして令嬢誘拐を企てたとして、投獄される。
その後については……内密に処理をされた。
カナリアにもなれず、父もいなくなり、一人残されたククルだが、変わらずにカナリアを自称をし、周囲を困らせるようになってしまう。
「本物のカナリアはあたしよ、フィリオーネではないわ!」
そう言って憚らず、そうしてその行為はどんどんとエスカレートしてしまう。
一向にキャネリエ家の本邸から出て行こうとしないククルのもとへ、エイディンが訪れる。
「ねぇククル嬢。カナリアというのは国の大切な役割だと話をしたよね」
「えぇ。ですから容姿も、そして歌もフィリオーネよりも優れたあたしが継ぐべきです。だってこんなにも歌がうまくて、綺麗ですもの」
「わぁ凄い。そんなにも自分に自信があるって羨ましいなぁ。ねぇセクト、シャラ」
エイディンが目配せをするとエイディンの後ろに控えていた二人がククルの腕を掴む。
「な、なに? 離してよ!」
暴れようとするククルの手と口を素早く塞ぐと、二人は荷物のようにククルを抱える。
「カナリアを詐称するものには罰が下るんだよ。言ったでしょ? 国からの大事な役割だって。あまりにもひどい振る舞いだから、君は牢に入らなくてはならない。あぁ、君の親族からの了承も得ているから心配しないで」
ククルは暴れるが体格の良い二人はびくともしない。
「フィリオーネ嬢はこれからこの国の顔となる大切な女性だ。それに僕の大事な親友の妻で大好きなアマリアのお友達、ね、君よりも全然大事な存在だろ?」
エイディンはすっと笑顔を殺す。
「だから君は要らない。僕の前から消えて」
怯え震えるククルに目をくれる事もなく、エイディンはその場を後にする。
まるで何事もなかったのように。
「さて、そろそろアマリアの誕生日の用意をしなければ。今年はどんなぬいぐるみを送ろうかな」
◇◇◇
「あのゼイン様、そろそろお仕事の時間では?」
「嫌だ、行きたくない」
そう言ってゼインはフィリオーネを抱きしめる。仕事へ行く時間が迫っているのに、ゼインは全く離れる気がないようだ。
あの選定の儀でフィリオーネはカナリアに選ばれた。
それ故生活が忙しくなり、二人きりの時間がなかなか取れなくなってしまったのだ。
「そうは言いますが、今日は一緒に王宮へ行く日ですもの。まだ良い方ではないですか?」
今日は月に一度の王宮で歌を披露する日となっている。行き先が同じなので馬車も一緒なのだけれど、それでもゼインはごねていた。
「そうだけれど、あなたが他の男に見られるところを間近で見るのもつらい」
ゼインとしてはフィリオーネが誰かと話したり、見つめられるのも嫌だそうだ。
(こんな事ならカナリアに選ばれない方が良かったのでは?)
そんな考えが頭をよぎる事もあるが、フィリオーネには言えない。
フィリオーネがカナリアになったことで、キャネリエ家を取り戻すことが出来たのだ。親戚づきあいも復活し、近々会う予定もある。
皆で歌うという楽しい集会も復活するのだ。
「それはどうしようもない事なので……どうしたら納得していただけるでしょう」
困ったように笑うフィリオーネを見て、ゼインの眉間にまた皺が寄る。
「そんな顔をさせたいわけではないし、我儘を言っている自覚はある。すまない」
渋々といった様子でゼインはフィリオーネから離れた。
「私もゼイン様を悲しませたいわけではないので、何とかよい解決が出来ればと思います」
離れてしまったゼインの手をフィリオーネが繋ぎ止める。
「もうすぐ夫婦となるのですから、あまりもやもやを抱えないように二人で考えていきましょう」
「あぁ」
ゼインもまたフィリオーネの手を握り返して、ようやく馬車へと乗り込んだ。
「もやもやというか、一つ心残りがある。フィリオーネと一緒に行きたいところがあるんだ」
「行きたいところ、ですか?」
「フィリオーネさえ良ければだが、結婚式の前にフィリオーネの両親のお墓参りに行きたい」
フィリオーネは小さく息をのむ。
「あなたがまだ気持ちの整理が出来ていないのならば、出来た時でいい。ただ結婚の挨拶をしたくて」
その言葉にフィリオーネの目元にじわりと涙がこみ上げる。
「そう言ってくださるの、すごく嬉しいです。そうですね。私もカナリアになれたのだと、両親に報告をしたいです」
亡くなってから一度もお墓参りにいけなかった。外に出てはいけないと言われた事もあるが、いまだに心の整理が付いていなかったからもある。
葬儀に出られなかった負い目も感じていた。
「こんな蛇のような目つきの悪い男だが、結婚を許してもらえるだろうか」
「ふふ、絶対に許してもらえますよ。だってこんなにも優しい人ですから」
フィリオーネはゼインに体を寄せ、ゼインもまた腕を回す。
「ぜひ今度一緒に行きましょうね、約束ですよ」
ゼインと一緒であればきっと行ける。
そう、どこへだって。
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