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第18話 味方
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停車場に着き、瀬尾さんにお礼を伝え、車を降りる。
さてここらか二人で会社に向かうのだけれど、そわそわしてしまう。
手を繋ぐようなことはしないけれど、ピタリと隣を歩かれてしまう為時折手が触れてしまいつい意識してしまうのだ。
周囲に見られてないかなと、つい恥ずかしくなってしまうのよね。
「そうそう林堂姫華には気をつけろよ」
会社に入る直前にそう言われ、気持ちを引き締める。
「はい」
私が休んだからと言って、北杜さんをランチに誘った、そして良くない事を吹き込もうとしたり、姫華さんは何を考えているのだろう。
(私が浮気なんてするはずもないし、男性と話す事なんて仕事以外でないのだから、そんな事は絶対にあり得ないのに)
どこからそのような話を持ってきたのだろうか。なんだかとても悲しくなってしまうわ。
「君の潔白は俺が一番知っている。だから俺には通用しないが、根拠のない噂を信じるものは居るし、証拠など捏造できるものだ。残念ながら、罪は作れてしまうので気をつけて過ごしてくれよ」
万が一言い触らされても、そんな嘘は消してしまうから安心しろと、頭を撫でられる。
他の人にどう思われても仕方ないけれど、北杜さんに嫌われるのは嫌だわ。
もしも北杜さんが姫華さんを信じてしまったら私に覆す力はないもの。
(色々な人と交流して顔も広い彼女に。私なんかが勝てるとは思えないわ)
北杜さんが社長の身内であると知られてから、尚更私は肩身の狭い思いをしている。
表立って言われるわけではないが、明らかに周囲の人がよそよそしくなったのだもの。きっと釣り合わないなどを言われてるのだろうと思うのだけれど、チクチクした視線にいまだ慣れず、それが負担となっているのは間違いない。
(何事もなく落ち着いていってくれるなら良いのだけれど)
◇◇◇
「おはようございます、お休みありがとうございました」
そう言ってフロアに入ると一斉に視線が集まってきた。
「おはようございます」
一応まばらにだが、挨拶は返って来る。皆の表情は笑顔なのだが、それは隣にいる北杜さんに向けてのもののように感じる。
(私には、何だか刺々しい? 気のせいかしら……)
病気明けなのもあり、色々ネガティブな気持ちになってしまっているのかもしれない。
北杜さんの離れ、久々に自分のデスクに来れば様々な書類やメモが置いてあった。
休んだ分の諸々があるのだから仕方ないけれど目を通していくが、どれも期日が直近のものばかり。
(北杜さんが課長に話をして出来る限りの事はしたと言っていたけど)
別にサボりたいとか仕事が嫌だというわけではない、想定していたよりも多い仕事量にやや困惑してしまっただけだ。
とりあえず何があるのかと目を通せば、私が担当しなくてはならない仕事ばかりではない事に気づく。
(これ、本来私に回される仕事ではないわ)
勿論中には私が請け負うべき仕事もあるけれど、時折差し込まれている書類は明らかに回されてきたものだ。
けれど休んで他の人に迷惑をかけたのは私だし、仕方ない事だとも思う。
きっと他の人が私の分をしたからその代わりにと置いたのだろう。
(どちらにせよ終わらせてしまえばいいのよね)
期日を見て、優先準備を確認しながら急いで取り掛かろうと思ったのだが。
「天羽生さん、無理しないでいいよ。それ嫌がらせですもん」
こそっと隣に座る緒形さんが小声で教えてくれた。
「林堂さん達が見てるから大きな声で言えないんだけど、さっき課長が来る前に置いてたんですよ。後で報告する気ではいたんだけど」
「そうなんですね」
明らかに量が多いのはそういう事なのね。
ぱっと見では書類が混ざっているなんてわからないけど、こうして言われてようやく確信が持てた。
「期日が余りないものを送られても困るわね。これ遅らせたらいけないのに、私の所に置いてどうしようと思ったのかしら」
「どうせ責任をなすりつけたかったんじゃないですか? 天羽生さんがやると言ったからとかなんとか。あたしも余計なこと言わないようにとか睨まれましたから」
緒形さんはうんざりした顔だ。
「ごめんなさい、巻き込んでしまって」
「え? 天羽生さんは悪くないですよ。いつだってあの人たちがうるさくしているだけじゃないですか」
その様に言ってもらえるのは嬉しいけれど、緒形さんまで巻き込むのは申し訳ない。
「天羽生さんは考え過ぎですよ。いいですか、そもそもあの人たちがきちんと仕事もせずに話ばっかりしてるのが悪いんです。他の皆も苛々していますし。そう考えると頭来た。これもう全部突っぱねて来ます」
「え?」
言うが早いか、緒形さんは私のデスクにあった彼女達の書類を持って、課長と何やら話しをしている。
どうやら課長を通して書類を突き返そうというものらしい。
「こちら天羽生さんのデスクにありましたが、林堂さんや二条さん、そして田代さんのものが混じっていました。これらを課長から彼女達に返してください」
「え? そうだったの?」
課長が確認しているうちに緒形さんは戻って来る。
「さぁ、後は課長に任せてこちらの仕事をしちゃいましょ。あたしもあまり手伝えないけれど、こちらが終わったら手を貸しますから」
そう言うと緒形さんは自分の仕事に取り掛かる。
今まで隣ではあったけれど、世間話以上にこうして話す事はなかったから驚いた。
「ありがとうございます、緒形さん」
「いえ、天羽生さんにはいつも優しくしてもらってましたから」
少し照れくさそうにしながらもそう言ってくれる。
少しずつ物事というのは変わるものだけれど、このように嬉しい方向に変わる事は心が温まるものだ。
私も気合を入れて自分の本来の仕事に取り掛かり始めた。
さてここらか二人で会社に向かうのだけれど、そわそわしてしまう。
手を繋ぐようなことはしないけれど、ピタリと隣を歩かれてしまう為時折手が触れてしまいつい意識してしまうのだ。
周囲に見られてないかなと、つい恥ずかしくなってしまうのよね。
「そうそう林堂姫華には気をつけろよ」
会社に入る直前にそう言われ、気持ちを引き締める。
「はい」
私が休んだからと言って、北杜さんをランチに誘った、そして良くない事を吹き込もうとしたり、姫華さんは何を考えているのだろう。
(私が浮気なんてするはずもないし、男性と話す事なんて仕事以外でないのだから、そんな事は絶対にあり得ないのに)
どこからそのような話を持ってきたのだろうか。なんだかとても悲しくなってしまうわ。
「君の潔白は俺が一番知っている。だから俺には通用しないが、根拠のない噂を信じるものは居るし、証拠など捏造できるものだ。残念ながら、罪は作れてしまうので気をつけて過ごしてくれよ」
万が一言い触らされても、そんな嘘は消してしまうから安心しろと、頭を撫でられる。
他の人にどう思われても仕方ないけれど、北杜さんに嫌われるのは嫌だわ。
もしも北杜さんが姫華さんを信じてしまったら私に覆す力はないもの。
(色々な人と交流して顔も広い彼女に。私なんかが勝てるとは思えないわ)
北杜さんが社長の身内であると知られてから、尚更私は肩身の狭い思いをしている。
表立って言われるわけではないが、明らかに周囲の人がよそよそしくなったのだもの。きっと釣り合わないなどを言われてるのだろうと思うのだけれど、チクチクした視線にいまだ慣れず、それが負担となっているのは間違いない。
(何事もなく落ち着いていってくれるなら良いのだけれど)
◇◇◇
「おはようございます、お休みありがとうございました」
そう言ってフロアに入ると一斉に視線が集まってきた。
「おはようございます」
一応まばらにだが、挨拶は返って来る。皆の表情は笑顔なのだが、それは隣にいる北杜さんに向けてのもののように感じる。
(私には、何だか刺々しい? 気のせいかしら……)
病気明けなのもあり、色々ネガティブな気持ちになってしまっているのかもしれない。
北杜さんの離れ、久々に自分のデスクに来れば様々な書類やメモが置いてあった。
休んだ分の諸々があるのだから仕方ないけれど目を通していくが、どれも期日が直近のものばかり。
(北杜さんが課長に話をして出来る限りの事はしたと言っていたけど)
別にサボりたいとか仕事が嫌だというわけではない、想定していたよりも多い仕事量にやや困惑してしまっただけだ。
とりあえず何があるのかと目を通せば、私が担当しなくてはならない仕事ばかりではない事に気づく。
(これ、本来私に回される仕事ではないわ)
勿論中には私が請け負うべき仕事もあるけれど、時折差し込まれている書類は明らかに回されてきたものだ。
けれど休んで他の人に迷惑をかけたのは私だし、仕方ない事だとも思う。
きっと他の人が私の分をしたからその代わりにと置いたのだろう。
(どちらにせよ終わらせてしまえばいいのよね)
期日を見て、優先準備を確認しながら急いで取り掛かろうと思ったのだが。
「天羽生さん、無理しないでいいよ。それ嫌がらせですもん」
こそっと隣に座る緒形さんが小声で教えてくれた。
「林堂さん達が見てるから大きな声で言えないんだけど、さっき課長が来る前に置いてたんですよ。後で報告する気ではいたんだけど」
「そうなんですね」
明らかに量が多いのはそういう事なのね。
ぱっと見では書類が混ざっているなんてわからないけど、こうして言われてようやく確信が持てた。
「期日が余りないものを送られても困るわね。これ遅らせたらいけないのに、私の所に置いてどうしようと思ったのかしら」
「どうせ責任をなすりつけたかったんじゃないですか? 天羽生さんがやると言ったからとかなんとか。あたしも余計なこと言わないようにとか睨まれましたから」
緒形さんはうんざりした顔だ。
「ごめんなさい、巻き込んでしまって」
「え? 天羽生さんは悪くないですよ。いつだってあの人たちがうるさくしているだけじゃないですか」
その様に言ってもらえるのは嬉しいけれど、緒形さんまで巻き込むのは申し訳ない。
「天羽生さんは考え過ぎですよ。いいですか、そもそもあの人たちがきちんと仕事もせずに話ばっかりしてるのが悪いんです。他の皆も苛々していますし。そう考えると頭来た。これもう全部突っぱねて来ます」
「え?」
言うが早いか、緒形さんは私のデスクにあった彼女達の書類を持って、課長と何やら話しをしている。
どうやら課長を通して書類を突き返そうというものらしい。
「こちら天羽生さんのデスクにありましたが、林堂さんや二条さん、そして田代さんのものが混じっていました。これらを課長から彼女達に返してください」
「え? そうだったの?」
課長が確認しているうちに緒形さんは戻って来る。
「さぁ、後は課長に任せてこちらの仕事をしちゃいましょ。あたしもあまり手伝えないけれど、こちらが終わったら手を貸しますから」
そう言うと緒形さんは自分の仕事に取り掛かる。
今まで隣ではあったけれど、世間話以上にこうして話す事はなかったから驚いた。
「ありがとうございます、緒形さん」
「いえ、天羽生さんにはいつも優しくしてもらってましたから」
少し照れくさそうにしながらもそう言ってくれる。
少しずつ物事というのは変わるものだけれど、このように嬉しい方向に変わる事は心が温まるものだ。
私も気合を入れて自分の本来の仕事に取り掛かり始めた。
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