魔王の霊魂を背負う少女

アベルンルンバ

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第一章 夢見る少女、幻滅する

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「国に着いたらどうしようかな~。ふかふかのベッドに寝転がって~それで────」
《本当に所在ない日々をお過ごしするおつもりですか、それほどの『力』を持って。冒険者として生活した方がよっぽど良いと思い────ますが……おい、聞いてんのかカス》
 毒づくアイナに一切耳を傾けず、ツルカは面倒くさそうに鼻へと小指を突っ込む。
「い や だ。のんびりするって決めたの。確定事項! だから異論は認めませんっ!」
《……ホントに社会のクズですね。社会不適合者とはこのことを言うのでしょう。ニートの代表例です。はあ、これではマスターを救って下さった命の恩人も報われませんね》
「言いすぎだろ⁉ それに、やることはしっかりやるつもりだから。そんなこというなよ!」
《まっ、ひとまず目的地はすぐそこです。城門も見えてきましたし、ほら》
 徐に歩みを進めていると、グランディール国城門前に到着。
 早速、ツルカは入国しようとしたが、門番に足を止められた。
「ごきげんよう、お嬢様。僭越ながらお聞きしたいのですが、何という一門の令嬢で」
 予想外の事を言われてツルカは苦笑する。
「お、俺は……いや、私はただの旅人なの。それでグランディール国に来たってことよ」
 令嬢と言われ、何となく嬉しそうにツルカは頬をかいた。
「な、なんと。大変、失礼致しました……。どうぞ、お入りください」
「ええ、ありがとう……まさか令嬢と勘違いされるとは……」
 不思議にも事実であるのに、すました顔でツルカはグランディールへ入国した。
 ──石材や木材で建設されているチューダースタイルの重厚な町並みが特徴的な人間国グランディール。このグランドシオルの中心に栄える大国で、全ての地方に行き交いできる中継点でもある。グランドシオルの七地方──ノリマルンナ地方、モリマヌラ地方、バルダンク地方、ダマユナセール地方、ボロッコル地方、ビジルゴス地方、ドリバルグ地方にはそれぞれ国が栄えており、その中核であるグランディール国は世界の覇権国家なのだ。
 平民から高貴な身分まで、幅広い階級の人族が住まうグランディール国は、多くの歴史と文明があり、他国と比べて雲泥万里。城下町には国が象徴する顕在的な施設や建造物などが多数存在しているが、最奥に建つグランディール王城だけでもかなりの歴史があるといわれ、外観は聖堂のようにも見える。何よりも際立つのが、城から築かれている天雲すら突き出るほど高い塔と、その周りを魔力によって公転する三つの巨大な光球だろう。あの塔は世界の端から見ても視界に捉えることができる、誇り高きこの国のシンボルと言われているのだ。しかし、塔の中を知る者は、噂では国王しかいないとのこと。
 栄えあるグランディール国は謎が多いということも否めないが、中央国だけあって普段見られないようなものや、他の町や国では存在しないものが多く見受けられる。
 例えば一つが騎士団。剣術や知略が抜きん出ている騎士団は、グランディール国に本部を置いている。立派に羽ばたく白鳥をあしらった紋章が特徴的なプレートアーマーは、まさに崇高で立派な騎士団の誇りである。最も勢力が強い兵隊であるので、この規模の国を管轄するためには騎士団が肝要だ。もちろん、グランディールだけでなく、他国にも派遣されていることから、平和を維持するために警察官とも言える騎士団は重宝されている。
 二つ目がグランドシオルの勇者と言われるアイギス率いるギルド『不朽の栄光』という世界最強の団体が存在していること。勇者含むこの五人組のギルドは、英雄とも呼ばれるほど偉大な存在。冒険者であれば一目でも拝見したいほど高名で、平民であっても憧憬の存在である。
────もっとも、ツルカにとってはどちらも歯牙にかけないことだが。
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